知って得する先物取引(16)

■先物取引実践編(2)■

=リスク限定売買仕法―両建てはしてはならない=

○高きを売り、安きを買うというサヤ取り的発想で

 前回お勧めした、資金の3分の1で商品先物取引を行なうというのは、思惑と異なった時に対処することが必要であるからです。金の場合ですとストップ高・安の場合は9万円の証拠金に対して6万円の追加証拠金を入れなければなりません。
 ポイントは損切りをせず、追加証拠金を入れた後の対応です。ストップ高のケースで考えますと、ストップ高を付けるということは明日も高いだろうという思惑から買い物が入っているのですから余程のことがなければ続伸します。
恐らく、その時点では用意した時点の資金の半分は証拠金として充当されています。

 対処ケースとしては様々なケースが考えられます。
1)何もせず相場が下落するのを待つ
2)思いきって売り玉を手仕舞う
3)さらに下値での買い玉を建てて損失の拡大を防ぐ
4)高値と思われるところで追加売りを行なう。

1)はさらに追加資金を入れても耐えられる場合は有効ですが、往々にして耐え切れず大損してしまうケースが多いものです。資金に余裕があるなら4)がお勧めです。売り値平均が上昇幅の半分になりますので、その翌日にさらに上値追いとならない限りは助かる確率が高いといえます。
2)が最も簡単で、見切り千両とも言われますように、見通しと異なったのですから損切りして次のチヤンスを待つ、あるいは方針を変更し買いに回るというのも一つです。自分が高値だと思って売ったということはそうした人気が強かったからこそです。自分の観測は多数意見に沿ったものであるから損したのであるから方針転換するのも手ですが、損失を出した場合は暫時、静観するのが良いものです。
最悪は3)です。「両建て両損」という言葉がありますが、これは、簡単に言えば高値の買い、安値の売りをポジションとして持ってしまうということです。
なお、相場が上昇して買い玉に利が乗ったとしても売り玉の損は拡大していることになります。資金的には全く増えていないわけですからなお上昇したら損失が拡大する一方になってしまいます。資金的な問題から両建てを行なってしまった場合は損玉を目をつぶって手仕舞い、その損の半分でも買いがカバーできたら良しとしなければなりません。

 なお、両建てとサヤ取りは似て非なるものです。例えば東京工業品取引所は中東原油、ガソリン、灯油が上場されていますが、中東原油からガソリン価格を引いたものが精製費と考えて、1万5千円前後ガソリンが割高でなるのが当然ですが、ガソリンの先高期待が強く、1万9千円以上開くようでしたら割高とみられるガソリンを売って原油を買うというものです。
 また、逆にガソリンの割高度が1万4千円台になったらガソリンが割安なのでガソリンを買って、原油を売って適正水準まで修正されるのを待つというものがサヤ取りです。確かに売りと買いを同時に建てるため両建てに似ていますが、異常な状態が正常に戻る過程の値幅を取るものです。
 ヘッジファンドにしても価格変動リスクを回避しつつ高いものを売り、安いものを買うことによって利益を得ているものです。金は円建てとなっているためNYほどしっくりとはいきませんが、米国ではドル高、債券の金利高では金は売られますが、ドル安、金利安では金は買われるという相関関係で動きますので、ポジションも金利上昇が見込まれる時にはNY金で売りヘッジを行なうという手法を取ります。

 商品先物取引を行なう時には買う時点でヘッジで売る商品、あるいは割高とみられる限月は売れると考えてサヤ取り的な手法で行なうことをお勧めします。

元吉和雄

<筆者について> 
ファンダメンダルズを基本に商品先物投資の啓蒙と情報提供に貢献すべく設立された、(株)日本先物情報ネットワーク代表取締役社長。
 長年商品先物市場で活躍し、豊富な経験と知識で自らも情報提供を行っている。

株式会社日本先物情報ネットワーク
http://com.nsnnet.jp/

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

知って得する先物取引(15)

■先物取引実践編■

=資金配分ができなければやってはいけない!=

 先物取引について、最初の復習となる点もありますが、もう一度おさらいと思ってお読みください。

○差金で約定が清算される

 商品先物取引は清算取引あるいは証拠金取引とも称されます。
一般的な商取引は商品と現金の受け渡しで整理しますが、先物取引の場合は差損益を現金で清算することによって取引が成立します。
 商取引的にいえば貴金属店などで200万円で購入した地金が250万円に上昇していましたら貴金属店に行って250万円で買い取ってもらいます。これで50万円の利益が出ます。
 先物取引では現在200万円のものが半年後には250万円に上昇すると予測した段階で半年先に受け渡しする約定を行い200万円で買いのポジションを得ます。そして250万円に上昇していたら差金の50万円を清算して約定を解消します。

 また、先物取引では金価格が半年後に150万円に下落してしまったら50万円相手方に支払って買いポジションを清算することができます。現物の受け渡しを伴わず差金で清算し、決済するものです。
 一方、200万円で買った地金を保有していた人はあたかも損はないように思われますが、貴金属店に持って行って換金するとなると150万円で買い取りになります。つまり、50万円損していることには変わりありません。

 デフレでは商品価値が下落し、インフレでは商品価値が上昇するという単純な仕組みで考えますと、価格が下落する前に売却、価格が上昇する前に購入しておけば良いということになりますが、値下がりする見込みが強いものを買う人はいませんし、値上がりする可能性が強いものを売ってくれる人はいませんが、先物取引ではそれができるのです。


○先物取引で負けない方法

 先物取引では金は1グラム単位で取引が行なわれますが、約定金額は1キロとなります。200万円の金は先物取引では2000円で表現されます。先物取引では1円動くと約定金額では1千円、10円動くと1万円の値動きとなります。また、先物取引を行なうには現物あるいは200万円の現金は必要ありません。定められた証拠金、凡そ約定金額の10分の1以下の証拠金で売買ができます。
 現在、金の先物取引の証拠金は9万円ですので9万円で200万円の商品の売買を行なうのですから、価格変動によっては大きな利益あるいは損失がでます。このため先物取引はハイリスク・ハイリターンといわれるのです。
 ハイリスク・ハイリターンの先物取引ですから安全性あるいは元本確保型を好む日本人には合わないとまで言われていますが、しかし、現実の売買では決してそうしたことではないのです。商品先物取引でもっとも必要なことは相場分析でもテクニカルでもありません。資金配分、余裕を持つことです。

○資金の3分の1運用が原則

 金に限らず、どの商品でも1日の変動幅が限定されています。制限高・安、あるいはストップ高・安といわれます。政治経済の変化によっては制限高まで買われたり、制限安まで売られたりすることがあります。金は現在60円が制限幅となっています。倍率にしますと6万円です。もしストップ高あるいはストップ安になったら、9万円の証拠金ですから、6万円の損失が出た場合は証拠金の価値は3万円となってしまいますので、6万円不足分を入れて1枚9万円の証拠金にしておく必要があります。
 資金余裕がなければ一度の制限高安で損失が確定してしまいます。そうならないようにするためには最低でも証拠金の倍以上の資金で売買することです。金の先物取引を行なうためにはその倍の18万円は準備しなければなりません。

 仮に300万円の資金で先物取引を行なう時は100万円の証拠金でしか売買してはいけません。3分の1で先物取引を行なえば大損はしないといえます。

 また、3分の1以上の取引を行なうことを進める取引員、営業社員でしたら即刻、取引を止めた方が良いでしょう。

 先物取引は資金配分が肝要で、3分の1が原則なのです!!

元吉和雄

<筆者について> 
ファンダメンダルズを基本に商品先物投資の啓蒙と情報提供に貢献すべく設立された、(株)日本先物情報ネットワーク代表取締役社長。
 長年商品先物市場で活躍し、豊富な経験と知識で自らも情報提供を行っている。

株式会社日本先物情報ネットワーク
http://com.nsnnet.jp/

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

知って得する先物取引(7)

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■リスク限定取引仕法――サヤ取り(裁定取引)■

 とうとうNY原油が史上最高値を更新しました。
 金は中国の上四半期のGDP10%のニュースに加え、投資用需要が牽引役となって850ドルも視野に入る様相となっており、まさに商品は50年に一度あるかないかの大相場となってきております。

 価格が上がっても下がっても利益を得ることのできる先物取引は、小額の資金で大きな利益が取れる一方、思惑と逆に相場が動いた時には大きなリスクも生じることはご理解いただけたと思います。エネルギーの様に値動きの激しい商品においてはこの傾向が顕著ですので、買い、または売るだけでの相場の参加の仕方にはリスクが伴いがちとなります。

 そこでリスク限定の取引仕法としてあるのがサヤ取引です。
 これは、割高と思われる方を売り、割安と思われる方を買うという行為を同時に行い、値開きの具合をみて同時に仕切ることによって利益を得る取引手法のことで裁定取引とも言われます。

 少し、復習しながらお話しましょう。先物取引では、商品に対しての受け渡しの時期ごとに別々に値段がつけられており、これを限月(げんげつ)と呼びます。限月とは取引が最終的に決済される「期限の月」の略でしたね。
 石油製品は、需要期、不需要期といった季節的要因が大きいことから、各限月に個性があります。
 また、長期的に見ますと、順サヤ(先に行くほど高い)つまり需要期限月が先にある、例えば灯油では冬場になります。また、逆サヤ(先に行くほど安い)ガソリンでは5月から夏場にかけてが需要期になります。さらに、逆サヤから順サヤへの移行期、その逆といったことを考慮して売り買いを行わないと、相場が逆に行った時に大きく損をします。
 サヤとは各限月の値開きを言います。

 具体的に限月間及び異種(ガソリン・灯油)のサヤの変動を利用して収益を追及する取引手法をご案内致しましよう。

 限月間のサヤの例は、例えば4月17日のガソリンの値段は
1番限 (当限)は5月限で 66750円
2番限     は6月限で 65790円
3番限     は7月限で 66700円
このように先物の10月限まで値段があるわけですが、
この場合のサヤは5月限と6月限のサヤ開きは5月限>6月限960円割高、次の6月限と7月限では6月限<7月限910円割高となっています。
ちょっと見ただけでも6月限が不自然に割安であるのがわかりますね。
翌日にはこのサヤは 5月限>6月限 540円、 6月限<7月限 390円と値開きが変化(サヤ修正)がされました。
 このようにサヤ取引の基本的な考え方は、先物市場のサヤの形状に注目し、限月間のサヤに歪みが生じた時を捉え、サヤから見て、割高な限月を売り、割安な限月を買うということです。この場合は6月限を買って、7月限(たとえ需要期であっても)を売るというポジションを取ればよかった訳です。

 また、ガソリンと灯油のサヤ取引の場合は、各限月の個性も知らなければなりません。また、売りと買いをほぼ同時に仕掛け(=両建て)、同時に決済することを前提としておりますので、時には、片方は利益を得、片方は損を出しますが、相殺して利益を得ることを前提としております。

 ガソリン、灯油の季節的要因については「限月間のサヤトリ」の各限月のポイントを知ることが大事です。
詳しくは、トレーダーズショップで、7ヶ月に亘り、売上2位となっている下記のパンフレットを参照して頂けたらより、お解かりになると思います。
http://www.tradersshop.com/bin/showprod?a=2596&c=9900000016891

 ガソリンと灯油のサヤ取引は、需要期が異なるため、そのサヤのゆがみが理解しやすいものです。しかし、その変動要因を把握しておかねばなりません。
暖冬になれば灯油は値下がりしますので、冬場においてさえガソリンより灯油価格が安くなったこともあります。

主な変動要因としては、

◎ガソリン・灯油共通
 NYMEX原油期近の値段
  ※NYMEXの価格変動要因
 週間在庫報告、地政学的リスク、石油製品価格、天然ガス価格、ファンドの動向、中国、インドの需要、OPECの動向(バスケット価格)

◎灯油
 生協値決め価格
 冬季の長期天気予報(灯油は15度以下で利用される)
 輸出ドライブ(灯油は荷余りした時はアジアに輸出できる商品です)
 積み増し限月(備蓄期)
 原発事故等による重油生産
 週間在庫報告

◎ガソリン
 国内製油所の事故(今週、千葉の製油所事故でガソリンが暴騰しました)
 毎年5月にかけては製油所の定期修理の時期でこの頃事故が起こり易いのです。
 カークーラーの需要(帰省シーズンが冷夏になるとガソリン価格は下がります国内在庫報告、等々あります。

 いづれにしても、じっくりと日々の値動きを見ながら同時に仕掛け、同時に手仕舞うことが大事です。投資家は往々にして、利益の乗った方をまず手仕舞いして、下がっている方を中々損切りできず損を拡大してしまう傾向があります。利益と損失を相殺して利益を確保する、リスク限定商品であることを忘れなければ、大きく損をすることが少ないのです。

 これらの変動要因の情報やサヤ取りの詳細は弊社でもサービス提供を行っておりますので、ご興味のある方はご参照下さい。
ベーシック http://com.nsnnet.jp/service/srv_bsc.htm
サヤ取り  http://com.nsnnet.jp/service/srv_syt.htm

 エネルギーは全ての商品連鎖を起こすと申しましたが、原油価格の高騰により、代替エネルギーが盛んに開発されておりますね。燃料用電池は開発に時間とコストがかかるため、今、エタノールが第一番に上げられています。
 エタノールは何からできるのか。そう穀物からなのです。それゆえ、穀物相場もこの影響を受けているのです。
それは次回にお話しましょう。
次回からは美人主任研究員の執筆になりますのでお楽しみに。

元吉和雄

<筆者について>
元吉 和雄
商品相場歴35年。全国の商品取引所の日報(新聞)を発行する会社に記者として入社し、社長、会長を歴任。現在、ネット上で商品に特化した情報ベンダー、(株)日本先物情報ネットワークの社長を務める。商品全般に通じ、セミナーを通して、営業部員、顧客へ商品取引の啓蒙を行っている。

株式会社日本先物情報ネットワーク
http://com.nsnnet.jp/

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

知って得する先物取引(6)

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■―リスク限定の取引方法― サヤ取り■

 このシリーズのお話しをはじめてから、新聞紙上では銅が史上最高値を更新とか、金は81年以来、銀は83年以来の高値更新というニュースでにぎわっております。
 銅は産業用需要の盛り上がりに加え、メキシコ鉱山のストライキが影響しておりますし、金は投資資金の流入と原油価格の高騰と世界的景気回復感からのインフレ懸念が目先の材料となっております。
 石油においてはナイジェリアの紛争、イランの核開発といった地政学的リスクの高まりが反映されているでしょう。
 日本市場においては、私が先回、金の取引を説明した時に「12月12日に2155円の高値をつけた後、12月16日には1830円まで相場は急落した」と書きましたが、現在は2300円台を突破しております。現在600ドル台をつけた金価格は向こう2年間で850ドルになると多くの関係者がコメントを出しております。

 こうした、めまぐるしい環境に対して、当業者にとって、先物取引とはヘッジ(保険つなぎ)の場であり、将来の値上がり値下がりのリスクを軽減する場所であるということはお解かりいただけたでしょうか。

 では、投資家にとってはどのようなリスク限定の取引があるかといいますと、それは裁定取引(アービトラージ)と言って、売りに対しては買い注文、買いに対しては売り注文というように、反対売買を同時に行う《ポジションを持つ》という方法があります。売り注文と買い注文を同時に出すという方法です。

 これはストップ高、ストップ安などといった場面にあったとき、買っているだけではストップ安の時に手仕舞い注文が入らず、連日ストップ安などとなったら追証拠金が次々と発生して、やっと手仕舞いが出来るときは損失は莫大なものになります。
 そのような時に、例えばエネルギーにおいても異なる商品(=ガソリン、灯油、原油)といった市場間で売り、買いのポジションを同時に取る方法があります。この3商品は国際原油価格に連動しますから、同時に下落し、同時に上昇する傾向があります。
 ストップ安でも売り注文の商品は利が乗ることにより追い証拠金は発生せず、一方、買い注文の商品に損失が出ても相殺されて証拠金に悩むことがないのです。

 このような異商品間と同時に、異限月間で売りと買いの注文を出す方法もあります。これらは色々な呼び方がありますが、一般にサヤ(値開き)取引といいます。
 この売買仕法の大事なことは、どこを売り、どこを買うかということを見極めることです。

 初心者が入り易いのが、ガソリンと灯油の限月間のサヤ取引でしょう。ガソリンと灯油は原油価格に連動するといっても、季節性が異なることから、ガソリンが割り高になる月と灯油が割り高になる月が過去からもはっきりしております。それは需要期というものをお考えになればピンとくるでしょう。
 冬場は灯油の需要期、夏場は帰省でカークーラの使用などもあって需要期となることから、12月は灯油が高くなるのがあたりまえ、8月はガソリンが高くなるのは当たり前ですが、問題はそのサヤ(値開きの度合い)が適当かどうか見極めることです。
 そうすれば、この激しい値動きの製品(ちょうど、これを書いている時、ガソリンは後場から1000円急落し、引けにかけて500円戻しています=上手に乗れたら1枚の注文で7万5千円の利益、10枚なら2時間で75万円の利益となったわけです)、これがジェットコースターのような動きといったわけですが、このじゃじゃ馬を乗りこなすにはどのようなファンダメンタルズとテクニカルがあるか。
それは次号にご説明しましょう。

−以下次号−

元吉和雄

<筆者について>
元吉 和雄
商品相場歴35年。全国の商品取引所の日報(新聞)を発行する会社に記者として入社し、社長、会長を歴任。現在、ネット上で商品に特化した情報ベンダー、(株)日本先物情報ネットワークの社長を務める。商品全般に通じ、セミナーを通して、営業部員、顧客へ商品取引の啓蒙を行っている。

株式会社日本先物情報ネットワーク
http://com.nsnnet.jp/

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知って得する先物取引(5)

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■商品相場連鎖の主導 石油市場 悪女の扱い方?■

 今回は、現物の証券では行わない売りから仕掛けるという、先物取引独自の説明を致します。売り(ショート)といえば為替取引を行っている方、あるいは株の信用取引を行っている方はピンと来るかもしれません。
 そもそも先物取引の必要性は、天候、地政学的リスクその他の理由により商品、特に穀物の価格が高下することをヘッジすることから始まりました。日本では江戸時代に大阪堂島の米相場が発祥であることはご存知と思います。

 米に限りませんが大豆、とうもろこしあるいは小豆などは豊作か凶作によって価格が大きく変動します。また、収穫されて現実に消費されるまでにもタイムラグが生じますので、コマ価格変動のリスク回避のために商品先物取引が発生したといっても過言でありません。
 例えば食料品メーカーから大豆の買い付けを頼まれた商社が1トン1万円で米国の農家と買い付け約定を行なったとすると、メーカーに届けるまでには半年のタイムラグが発生しますので、仮に半年後に8千円に下落していた時はその価格で販売しなければなりません。1万円で買い付けたからといって現実の価格は8千円ですので困った事態になります。また、石油におきましても産油国から買い付けて製品化するまでは3カ月〜6カ月はかかりますので、価格変動の保険として先物市場にヘッジを石油会社などは行なっています。

 しかし、半年先の限月に売りヘッジを行なっていれば半年先の限月も8千円になっています。現物の損を先物の値下がり益でカバーできるものです。また、金なども保有している人なども価格が上がってくれれば問題はないのですが、下落しては評価損になりますが、先物に売りヘッジしておけば金の価格変動がどうあろうと安心していられるわけです。
 先物市場で売買される商品の中で、投資家が実際に商品を受け取れるのは貴金属以外にありません。貴金属の中でも、金、銀、白金くらいですね。パラジウム、アルミでは現物を持っても捌きようがないでしょう。

 現物を受け取ることのない投資家としては一番値動きの激しい商品、言葉を変えれば最もハイリスク・ハイリターンの商品に魅力を感じるのは尤もと言えるでしょう。それが石油製品です。

 エネルギー市場にはガソリンと灯油、そして原油があります。日本は中東から石油を輸入しておりますが、先物市場ではNYのWTI原油がその指標として連動して動いております。
 商品相場が新聞を賑わすようになったのは、原油価格の高騰からでした。1998年僅か10年前には10ドルだったWTI原油は、現在65ドルを中心に動いており、BRCS(ブラジル、ロシア、中国)の経済成長により70ドルを窺う勢いで高下しております。商品の時代であると言われるのは、この原油価格の動きを見ても明らかでしょう。
 原油価格の高騰→船舶代をはじめとする運賃の高騰→その荷物である穀物等の高騰→あるいは、インフレ懸念から貴金属の高騰、中東、ロシア、ブラジル等のオイルマネー流入による商品全般の高騰といったように商品相場の連鎖はエネルギーから来ていると言っても過言ではありません。
 証券でも、永らく低迷していた船会社、鉱山会社の株が上昇したのでお解かりでしょう。

 さて、そのエネルギーですが、現在ガソリンの取引単位は50キロリットル(1枚)です。1キロリットル当たり10円ですので1枚は500倍ということです。

 金は1円きざみで値段がつきますが、ガソリンの場合は10円(これを呼び値といいます)刻みで値段がつきます。
 証拠金は現在1枚につき12万円です。現在価格は6万円前後だからで、4万円未満の時は10万5千円でした。これは商品全てに適用されることですが、その時の標準価格によって証拠金は変わります。

 さて、この悪女の値幅制限(ストップ高、ストップ安までの値幅)は1600円なのです。金は現在60円の値幅制限ですから如何に大きい動きが可能かお解かりでしょう。4月6日には灯油は3限月ストップ高でしたので、値幅制限が2400円に広がりました。

 1000円動くとすると1枚で5万円(100円*x500倍)の損益。
※《呼び値が10円刻みですから1000円÷10=100円となります》
2000円動くと1枚で200円 x 500倍=10万円の損益となるのです。

 NY市場には夜間取引という、日本時間に行われる時間外取引があり、為替と共に日本の相場に影響を与えます。
 特に原油は、ジェットコースターのような動きをする商品ですので、朝1枚の買い注文で、前場で1000円上がった時を利食いして、後場に売り注文を出して1000円下落したところを手仕舞いして2000円の利益♪なんていったら笑いが止まりませんが、その逆のコースに乗ったら!あっと言う間にスッテンテン。

 悪女の含み笑いが聴こえそうですねー。ではどのようにして飼いならしましょう。
 叉、紙面が足りなくなりました、気をもたせてごめんなさい。次回に致しましょう。

−以下次号−

元吉和雄

<筆者について>
元吉 和雄
商品相場歴35年。全国の商品取引所の日報(新聞)を発行する会社に記者として入社し、社長、会長を歴任。現在、ネット上で商品に特化した情報ベンダー、(株)日本先物情報ネットワークの社長を務める。商品全般に通じ、セミナーを通して、営業部員、顧客へ商品取引の啓蒙を行っている。

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知って得する先物取引(3)

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■金の需給 −短期の狙いは12月相場−■

 さて、12月に向けて何故相場を仕掛けたかのご説明の前に、金についてお話しておきましょう。

 ファンダメンタルズは全て需給にあると言っても過言ではありませんが、最大生産国である南アの生産量が減退していることにより金の供給量は年々減少傾向にあります。但し、金は不滅の金と言われるように実質的に消耗しないため、評論家の言うように世界的見地からすれば地上在庫は潤沢ではあります。他の商品が消耗するのに比べれば確かに需給のバランスだけから見ると投資妙味は少ないともいえるかもしれません。
 しかし、金は最近の『年金基金』等のポートフォリオの組み入れに見るようにBuy&Holdされる傾向にある商品ですから、世界在庫が潤沢であったとしてもそれがそのまま放出される訳ではなく、目先の投資には不利だとは言えません。
 あのジム・ロジャーズも投資妙味は他の商品の方が大きいとしながらも、愛娘のためにスイスに金と白金の現物を預けていると語っております。正に有事の金、インフレヘッジの金であるのです。

 商品相場はイカガワシイと思う方々にはまず、金から薦めるのは、現物を持っても良いという考えがあれば怖くないからです。

 一方、需要においては腐食に強く、熱伝導の高さからIT関連をはじめとする産業用が需要の多くを占めており、何よりも宝飾品としての金の大好きな国が富裕国になりつつあることが相場上昇の最大のファクターでありましょう。そう、中国とインドです。
 インドの婚礼時期10月は宝飾需要が顕著となります。また、中国では上海黄金取引所がオープンし、さらに金装飾品の小売価格に関する規制を撤廃したことにより金消費が高まっております。2月の国慶節(旧正月)に需要が拡大することから、過去からも見ても、年末に向けて相場は上昇する傾向があるのです。
 私は、永らく1,500円付近で上げこじれていた金が、米国ファンドの買い進みにより上放れたのが10月頃、丁度12月に向かっていることから相場を仕掛けました。この頃すでに原油は60ドル台に定着しており、オイルマネーは金に向かいます。金の好きな中東諸国は無論のこと産油量世界第2位のロシアにおいても顕著でした。叉、ロシアが中央銀行の金保有を増加すると宣言したのはごく最近のことです。
 また、金の上昇要因にドル安があります。これは対ユーロにおいてですが、対円ではドル安になると為替に相殺されてさほどの上昇は見込まれません。しかし、この時は対円ではドル高であったために日本の金価格は12月12日に2155円の高値をつけ、その後大幅調整があったものの切り返し2月には2242円まで上昇する基調の強さを示し、まさに節分天井の動きをしたのです。
 但し、1円動いただけで、1000円の利益が取れるということは、その逆が起こった時、資金に余裕をもたないと、身ぐるみはがされたという結果にもなりかねません。
 12月12日の2155円の高値をつけた後、12月16日には1830円まで相場は急落しました。当初1700円台の安値の玉を種玉として保存し、買い増しては売り手仕舞いして(差金決済)利益を確定していけば、この急落時には種玉を持っていることにより慌てることはありませんでした。そして相場は再び上昇に転じ1月にはこの高値をあっさり抜けたのですから、資金的余裕を持って臨むということは先物取引には絶対条件と言っても過言ではありません。

 往往にして投資家は、預け金を全額建て玉(買い約定)してしまう、俗にいう「満玉を張る」ことにより、相場が下落した分の追加証拠金(これは前述したように100万円で1700万の買い約定をしたということを忘れないでください)に追われて、損切り(損失覚悟の売り手仕舞い)をせざるを得ない状況に陥る。利益が飛ぶどころか、追加分を払うハメになり、これが、損をさせられたという怨嗟の声になるのです。
 なお、もう一段、精神的余裕があれば、ストップ安連続というような時は投げが投げを呼ぶわけですから、それを見極めてドテン売りに回って利益を取ることもできます。
 いづれにせよ、このように先物取引をするに当たっては常に自分がどの程度の総額の取引を行っているのか、追い証拠金がいつ発生するのかを頭に入れて売買を行わなければなりません。

 人気のエネルギー製品は値動きが激しく、倍率を500倍に引き下げられた位ボラティリティが高い商品です。今でも一日で2000円以上動くことがあります。また、金と違い投資家ではキロリットル単位のガソリン等の現物を引き取ることはできません。

 悪女のように魅力的だけど恐ろしい?
 いえ、エネルギー商品にはリスク限定した商い方法があるのです。また、この取引方法はエネルギーだからこそできる売買仕法でもあるのです。
−以下次号−

元吉和雄

<筆者について>
元吉 和雄
商品相場歴35年。全国の商品取引所の日報(新聞)を発行する会社に記者として入社し、社長、会長を歴任。現在、ネット上で商品に特化した情報ベンダー、(株)日本先物情報ネットワークの社長を務める。商品全般に通じ、セミナーを通して、営業部員、顧客へ商品取引の啓蒙を行っている。

株式会社日本先物情報ネットワーク
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知って得する先物取引(2)

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■どこで何がどのように取引されているのか■

 商品先物取引は経済産業省と農水省の管轄下にある取引所で売買が行われています。東京工業品取引所、略称TOCOM はNYMEX(ニューヨークマーカンタイル取引所)に次ぐ世界第2位の取引所。ここは貴金属、エネルギー、ゴムといった経産省の管轄。
 穀物では米国のCBT(シカゴ・ボード・オブ・トレード)が世界一で、日本では東京穀物商品取引所(TGK)において穀物の取引が行われており、両取引所で日本の90%のシェアを占めます。
 個人投資家が取引を行うには取引員の顧客にならないと取引所に注文できません。取引員とは証券会社と同じと考えてください。

 取引については、実際に私が昨年行った取引方法とその成果で売買の仕方をお話しましょう。

 某取引員に口座を開設して一定金額を預け、金を「買い」注文から入りました。

特徴その1)売りからでも入れる

 商品先物は将来値段が下がると思ったら、手元に商品が無くとも「売り」からでも入れるのです。それは先物取引とは「将来、一定の時期までに商品を授受する旨の契約を締結する」ことですので、実際に商品の受渡しをしなくとも、契約した価格と時価との差額を清算する「差金決済」で売買を解消できるのです。

特徴その2)証拠金

 金の「買い」にした理由は、「債務のない資産」であることから、現物を持ってもいいという考えがありました。もし1キロ170万円の金の延べ棒を今、買うなら、証拠金を納めるだけで時期が来た時に差額を出して受け取ればよいわけですから、その間に資金を流用できます。
 また、その期限までに価格が上がっていたら(無論これを狙うのですが)途中でも差金決済して値上がり分を受け取ることができます。この場合、証拠金は全取引金額のほんの一部ですからレバレッジ効果が高いわけです。
 ここで、証券との大きな違いのひとつは、先物取引には売買の期限があることです。商品によって半年、1年とあります。
 現在、金の先物は2月限(ぎり)、来年の2月に納会(決済する約束の日)となります。金は1年の期限で商いを行いますので、今、一番近い月(当限)は4月限で今年の4月に決済、つまり買っている場合は売り手仕舞い(差金決済)もしくは差額を支払って現物を受け取り、光輝く金の延べ棒を、ウレシク手元に置くことになります。
 このように金は1年の間に6ヶ月の限月(げんげつ)が建っております。限月とは受渡し決済する期限の月の略です。

特徴その3)小額の資金で大きな儲けを期待できる

 金の倍率は1000倍です。単位を1枚といいますが、金の場合は1000グラム(1キロ)です。現在証拠金は1枚10万円。値段は1グラム単位で呼ばれます。現在10枚の金の証拠金は10枚×10万円で100万円となりますが、11月末頃は1700円台でしたので証拠金は7万5千円でした(このように相場の値段によって証拠金は時に変動します。また、前回述べましたように証拠金は株券でも充当できます)。
 ここでは解りやすく現在の証拠金で話を進めます。

 さて、100万円の証拠金で1グラム1700円程度の金を10キロ買い約定するということは、100万円で1700万円(170万×10枚)の金を買う約束をしたことになります。
 経過は次号に譲るとして、11月8日に1739円であった先物の10月限は12月12日に2155円の高値をつけました。もし、じっと何もせずに持っていて、12月6日に売り手仕舞い(差金決済)したら、(2155円−1739円)×1000倍×10枚=416万円の利益が取れたわけです(手数料、消費税は別です)。
 実際は、天井は売れずといいますから、そのようにはなかなか参りません。何故、11月に取引を行ったか。12月にはそれなりのファンダメンタルズがあったのです。

元吉和雄

<筆者について>
元吉 和雄
商品相場歴35年。全国の商品取引所の日報(新聞)を発行する会社に記者として入社し、社長、会長を歴任。現在、ネット上で商品に特化した情報ベンダー、(株)日本先物情報ネットワークの社長を務める。商品全般に通じ、セミナーを通して、営業部員、顧客へ商品取引の啓蒙を行っている。

株式会社日本先物情報ネットワーク
http://com.nsnnet.jp/

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

知って得する先物取引(1)

JUGEMテーマ:株・投資


『今新しい上昇相場が訪れようとしている、そしてそれは商品市場へやってくる。少なくとも2020年までは商品の時代である。』

 これは驚異的なパフォーマンスで有名なクアンタム・ファンドを成功させたジム・ロジャーズが最新の著書で述べている言葉です。
同時に彼は、インフレ率が最終的に上昇する時、商品のリターンが株を上回り、株式と商品市場は18年周期で代わる代わる上昇していると述べています。

 商品取引は得体のしれない世界、リスクの高い世界として捉えられております。叉、これまで、そのレバレッジ効果の大きさから、相場が逆に動いた時に蒙る莫大な損失額がニュースで取り上げられ「怖いサキモノ」と報じられているのも事実です。しかし、その被害者となった人々が異句同音に口にするのは、営業の言うことを信じて言われるままに売買を行ったのに…ということです。

 このメルマガの読者の皆様はプロの意見を聞きつつ、ご自分で分析・理解し、自己責任で投資なさる方々であるということから、第2、第3の投資の選択としての先物取引について正しく理解されることを願い、「知って得する商品先物取引」のコラムを次回から担当させて頂きます。

 お手持ちの株券を証拠金として活用することにより2重運用もできる先物取引。初級から実践編まで交代で執筆させて頂きますので、今後、皆様のご感想をお聞かせ願えますよう宜しくお願いいたします。

最後にジム・ロジャーズの言葉をもう一度。
『あらゆる資産のファンダメンタルズ分析の主要なファンダメンタルズが商品相場の分析である。』

元吉和雄

<筆者について>
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商品相場歴35年。全国の商品取引所の日報(新聞)を発行する会社に記者として入社し、社長、会長を歴任。現在、ネット上で商品に特化した情報ベンダー、(株)日本先物情報ネットワークの社長を務める。商品全般に通じ、セミナーを通して、営業部員、顧客へ商品取引の啓蒙を行っている。

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