■先物取引実践編(2)■
=リスク限定売買仕法―両建てはしてはならない=
○高きを売り、安きを買うというサヤ取り的発想で
前回お勧めした、資金の3分の1で商品先物取引を行なうというのは、思惑と異なった時に対処することが必要であるからです。金の場合ですとストップ高・安の場合は9万円の証拠金に対して6万円の追加証拠金を入れなければなりません。
ポイントは損切りをせず、追加証拠金を入れた後の対応です。ストップ高のケースで考えますと、ストップ高を付けるということは明日も高いだろうという思惑から買い物が入っているのですから余程のことがなければ続伸します。
恐らく、その時点では用意した時点の資金の半分は証拠金として充当されています。
対処ケースとしては様々なケースが考えられます。
1)何もせず相場が下落するのを待つ
2)思いきって売り玉を手仕舞う
3)さらに下値での買い玉を建てて損失の拡大を防ぐ
4)高値と思われるところで追加売りを行なう。
1)はさらに追加資金を入れても耐えられる場合は有効ですが、往々にして耐え切れず大損してしまうケースが多いものです。資金に余裕があるなら4)がお勧めです。売り値平均が上昇幅の半分になりますので、その翌日にさらに上値追いとならない限りは助かる確率が高いといえます。
2)が最も簡単で、見切り千両とも言われますように、見通しと異なったのですから損切りして次のチヤンスを待つ、あるいは方針を変更し買いに回るというのも一つです。自分が高値だと思って売ったということはそうした人気が強かったからこそです。自分の観測は多数意見に沿ったものであるから損したのであるから方針転換するのも手ですが、損失を出した場合は暫時、静観するのが良いものです。
最悪は3)です。「両建て両損」という言葉がありますが、これは、簡単に言えば高値の買い、安値の売りをポジションとして持ってしまうということです。
なお、相場が上昇して買い玉に利が乗ったとしても売り玉の損は拡大していることになります。資金的には全く増えていないわけですからなお上昇したら損失が拡大する一方になってしまいます。資金的な問題から両建てを行なってしまった場合は損玉を目をつぶって手仕舞い、その損の半分でも買いがカバーできたら良しとしなければなりません。
なお、両建てとサヤ取りは似て非なるものです。例えば東京工業品取引所は中東原油、ガソリン、灯油が上場されていますが、中東原油からガソリン価格を引いたものが精製費と考えて、1万5千円前後ガソリンが割高でなるのが当然ですが、ガソリンの先高期待が強く、1万9千円以上開くようでしたら割高とみられるガソリンを売って原油を買うというものです。
また、逆にガソリンの割高度が1万4千円台になったらガソリンが割安なのでガソリンを買って、原油を売って適正水準まで修正されるのを待つというものがサヤ取りです。確かに売りと買いを同時に建てるため両建てに似ていますが、異常な状態が正常に戻る過程の値幅を取るものです。
ヘッジファンドにしても価格変動リスクを回避しつつ高いものを売り、安いものを買うことによって利益を得ているものです。金は円建てとなっているためNYほどしっくりとはいきませんが、米国ではドル高、債券の金利高では金は売られますが、ドル安、金利安では金は買われるという相関関係で動きますので、ポジションも金利上昇が見込まれる時にはNY金で売りヘッジを行なうという手法を取ります。
商品先物取引を行なう時には買う時点でヘッジで売る商品、あるいは割高とみられる限月は売れると考えてサヤ取り的な手法で行なうことをお勧めします。
元吉和雄
<筆者について>
ファンダメンダルズを基本に商品先物投資の啓蒙と情報提供に貢献すべく設立された、(株)日本先物情報ネットワーク代表取締役社長。
長年商品先物市場で活躍し、豊富な経験と知識で自らも情報提供を行っている。
株式会社日本先物情報ネットワーク
http://com.nsnnet.jp/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
=リスク限定売買仕法―両建てはしてはならない=
○高きを売り、安きを買うというサヤ取り的発想で
前回お勧めした、資金の3分の1で商品先物取引を行なうというのは、思惑と異なった時に対処することが必要であるからです。金の場合ですとストップ高・安の場合は9万円の証拠金に対して6万円の追加証拠金を入れなければなりません。
ポイントは損切りをせず、追加証拠金を入れた後の対応です。ストップ高のケースで考えますと、ストップ高を付けるということは明日も高いだろうという思惑から買い物が入っているのですから余程のことがなければ続伸します。
恐らく、その時点では用意した時点の資金の半分は証拠金として充当されています。
対処ケースとしては様々なケースが考えられます。
1)何もせず相場が下落するのを待つ
2)思いきって売り玉を手仕舞う
3)さらに下値での買い玉を建てて損失の拡大を防ぐ
4)高値と思われるところで追加売りを行なう。
1)はさらに追加資金を入れても耐えられる場合は有効ですが、往々にして耐え切れず大損してしまうケースが多いものです。資金に余裕があるなら4)がお勧めです。売り値平均が上昇幅の半分になりますので、その翌日にさらに上値追いとならない限りは助かる確率が高いといえます。
2)が最も簡単で、見切り千両とも言われますように、見通しと異なったのですから損切りして次のチヤンスを待つ、あるいは方針を変更し買いに回るというのも一つです。自分が高値だと思って売ったということはそうした人気が強かったからこそです。自分の観測は多数意見に沿ったものであるから損したのであるから方針転換するのも手ですが、損失を出した場合は暫時、静観するのが良いものです。
最悪は3)です。「両建て両損」という言葉がありますが、これは、簡単に言えば高値の買い、安値の売りをポジションとして持ってしまうということです。
なお、相場が上昇して買い玉に利が乗ったとしても売り玉の損は拡大していることになります。資金的には全く増えていないわけですからなお上昇したら損失が拡大する一方になってしまいます。資金的な問題から両建てを行なってしまった場合は損玉を目をつぶって手仕舞い、その損の半分でも買いがカバーできたら良しとしなければなりません。
なお、両建てとサヤ取りは似て非なるものです。例えば東京工業品取引所は中東原油、ガソリン、灯油が上場されていますが、中東原油からガソリン価格を引いたものが精製費と考えて、1万5千円前後ガソリンが割高でなるのが当然ですが、ガソリンの先高期待が強く、1万9千円以上開くようでしたら割高とみられるガソリンを売って原油を買うというものです。
また、逆にガソリンの割高度が1万4千円台になったらガソリンが割安なのでガソリンを買って、原油を売って適正水準まで修正されるのを待つというものがサヤ取りです。確かに売りと買いを同時に建てるため両建てに似ていますが、異常な状態が正常に戻る過程の値幅を取るものです。
ヘッジファンドにしても価格変動リスクを回避しつつ高いものを売り、安いものを買うことによって利益を得ているものです。金は円建てとなっているためNYほどしっくりとはいきませんが、米国ではドル高、債券の金利高では金は売られますが、ドル安、金利安では金は買われるという相関関係で動きますので、ポジションも金利上昇が見込まれる時にはNY金で売りヘッジを行なうという手法を取ります。
商品先物取引を行なう時には買う時点でヘッジで売る商品、あるいは割高とみられる限月は売れると考えてサヤ取り的な手法で行なうことをお勧めします。
元吉和雄
<筆者について>
ファンダメンダルズを基本に商品先物投資の啓蒙と情報提供に貢献すべく設立された、(株)日本先物情報ネットワーク代表取締役社長。
長年商品先物市場で活躍し、豊富な経験と知識で自らも情報提供を行っている。
株式会社日本先物情報ネットワーク
http://com.nsnnet.jp/
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)