マーケットを切る!(48)

JUGEMテーマ:株・投資


■今週のキーワード"Bull markets are born on pessimism, grow on skepticism, mature on optimism, and die on euphoria." By Sir John Templeton Founder Templeton Funds, philanthropist)
現在のマーケットがどのフェーズにあるか読者の判断に任せたい。個々の市場、担当セクターによって随分温度差があると思う。街角で耳にする話題の多くは明るい話題「衣、食、住、趣味・娯楽」に関するものが増えてきた。客単価2万円を超えるレストランは平日でも満席になる日が増えつつあると聞く。強気派の筆者ですら短期的に株価調整が必要だと思うが、3年程度の中期的な視点で見て日本にも約20年ぶりにWealth Effectが生まれつつあること、混乱期を脱したことを実感できるようになりつつある。学習効果により80年代半ばのようなバブルの発生が起こる可能性が低いことを考えると、今週あたり調整局面か。しかし過度の心配は不要だと思う。調整のキッカケは、銀行の公的資金返済スキーム(本来9月中と聞いていたが)が予想以上のプレミアムを政府が要求する場合、米景況感の予想以上の悪化、値ごろ感からの利食い?

★Market Navigator:Courage under fire!ロンドンでの同時多発テロ発生、不思議なことにマーケットもこの種の事件では動じなくなりつつある。Chicago Board Options Exchange volatility index(VIX index) を見ると明らかだ。6月22日に11.05%(52週最低水準)をつけ、ロンドンでのテロ事件で7日木曜日に13%台をつけたが8日引けでは11.45%まで下落。過去の参考データ:9.11事件、01年9月11日の後、取引再開になった時31%まで上昇。寧ろ、米雇用統計の堅調ぶりと賃金の伸び率に着目するほどの余裕。米失業率は、2001年9月以来の低水準。時間あたり賃金も前月比+0.2%増、16.06ドルまで上昇(微増)に安堵する声も。米長期金利も4.10%(前週4.05%)で安定。持続的な景気成長、なだらかなFFレートの上昇、問題は、企業業績の伸びが何処まで鈍化するかが大きな焦点となる。当面前年比+7%成長という水準が一つの節目か。対ドルばかりでなく対ユーロでも若干円安。ドル:112.20、ユーロ:134.30。「テロとの闘い」は続く。

★―平成維新−「混乱期」から「安定期」へPart 1
アジア危機(97年以降の日本の金融淘汰)ITバブルの崩壊により、長年に渡り形成されてきた経済的勝者の方程式が大きく変化。例えば、金融の世界では、興長銀を頂点として、大手都銀(都銀13行あった)地方銀行と続き、借り手側は、規模に合った金融機関と取引、企業経営に関しても金融機関からのOBが細かいことに口出しした。借り手、貸し手、就職する学生を含め暗黙の序列があった。しかし、時代は大きく変化、メガバンクの支店長自ら中小企業を訪問し、融資案件を持ち込み、貸出基準も有形・無形の資産とCashフローなど独自の貸出リスクを算定するようになった。銀行で働く人の意識も大きく変化、常に転職の機会を考えながら日々を過ごすことが多いと聞く。運用会社の世界も大きく変化(略)。
しかし、日本の戦国時代と同様、混乱期には一兵卒から足軽大将、一国一城の殿になれるチャンスがあるが、大きな合戦が減るにつれ、一攫千金のチャンスは大きく減る。逆に混乱期に成り上がった城主は、自らの安泰と子孫繁栄を願い、年貢の取立て、武装解除、築城に励み、新興勢力の台頭を阻むようになる。90年代後半に、落ちぶれる「大名」から離れ、自ら新興勢力を起こした成功した企業(個人)の安定期がこの2−3年続くことになりそうだ。既存の富裕層に加え、新富裕層と熟年層が消費と投資をリードする。一方、混乱期にリスクを取らなかった人はどうなるか、これについては次回報告したい。

★Market Navigation:‐下振れ感のある米Vs.景気再加速化するアジア
/ Money inflow into Asia


米:NRA(全米小売協会、National Retail Association)から2005年クリスマス商戦の第一次予想数値:+5.0%(対前年比)2004年の+6.7% (最終集計値)をやや下回る。2つのかく乱要因、燃料費の高騰とハリケーンによる被害が消費モメンタムを引き下げると判断している。Chapter11(倒産)手続きの見直し(安易にCh11を企業、個人−経営者が利用することから)制度見直しが検討されており駆け込み倒産も。

斑模様の欧州:EUの消費者信頼感指数(9月)は8月の97.8に対し98.6(予想平均が97.4)CPIは3.7%、事前予想の3.5%、前月の3.3%を大きく上回った。一方、地域別では英国GDP(2Q )が下振れ、1.5% (事前予想1.8%、1Qの2.1%に比べ減速感強まる。9月の住宅価格(平均)は前月比−0.2%、前年比+1.8%(8月は+2.3%)資産インフレ沈静化。ドイツも8月の小売は天候不順の影響もあり前月比−0.8%(事前予想の+0.4%)を下回る。フランスの2QGDPは前年比+1.3%(事前予想通り、1Q:1.9%)。

アジア:インドの4−6月GDP:+8.1%(事前予想7.2%、9月30日発表)中国の経済先行指標となるM2は+17.3%(事前予想+16.2%、9月13日発表)固定資産投資(8月)+27.4%(7月:+27.2)10月10−14日に出てくる9月のM2、10月25日の3QGDP(2Q:+9.5%)そして日本の7−9月の短観(大企業製造業予+22、同非製造業予+17)。主要アジア地域は景気の上振れ基調にある。

米国資金の海外シフト(8月データ):米ICI, Investment Company Instituteの発表した8月の数字を見ると, http://www.ici.org/home 米投信への資金流入額は$61.1億ドル(7月の95.5億ドル)に比べ減少したが、海外向け投資ファンドへの資金流入額は、$82.2億ドル(7月は$46.4億ドルに対し対前月比+77%増)一方、米国向(国内向けファンド)は$19.2億ドルの純流出(7月は$53.2億ドル)

★1.Technology Insight-悲観の中にも明るさ広がる、継続性とDurationには疑問符残る
マイクロン(MU)の6−8月決算、DRAMのビット数量出荷+30%(前期比)単価も前期比+3%増、厳しかったCMOSセンサーも前期比+40%。在庫も78日分から72日分まで減少しているが、PCの出荷が7−9月期前年比2桁増(15−20%)デジタルカメラの高画質化、好調だったBack-to-school sale、これまで先端分野への投資タイミングを戦略的に先送りして量産化に力を入れてきたことを考えると業績上振れそのものに対して驚きはないがその巧みな技には敬服。今回、同社は新しい2006年度の設備投資を10−15億ドルと発表。中期的なOvercapacity問題が解決されたわけではないが、先週報告した通り、「量産化技術」について何をしたのか注目しておくべきだと思う。同社の量産化技術には、東京精密(7729)の技術(ウエハープローバー、CMPなどの前工程でのYield上昇)が深く関わっていると筆者は思う。

ハイテク株をどうみるか−反騰局面続くが水準訂正、Valuationの調整(PERの低下、Earnings visibilityの低さからアナリストは慎重)、足元の主力ハイテク製品の販売数量増、季節的な需要期、新型ゲーム機の投入、デジタル家電製品のボリュームゾーンの伸びにより10−12月期は、反騰局面の到来だが、欧米景気指標、ニュースフローにより投資家の目は、内需、アジア域内向け輸出から大きく離れないと見る。日本の半導体メーカーは先端分野への投資時期が早かったため、投資負担重く、マイクロンのような増額修正は期待薄だが、エルピーダ(6665)やNECエレ(6723)などコモディティ系、システムLSI(ドライバーICが7−9月に前期比−19%引き下げと報じられても株価へのインパクトは
限定的だった。悪抜け。

HDDはDinosaur(恐竜)ではない:筆者はこの春、HDD(Hard Disc Drive)市場及び銘柄に対し警鐘(アップルiPodへの期待感と携帯電話など多岐の分野にわたりHDDが利用されるという過剰期待感が強かったため)を鳴らしたが、株価としてはここから反騰が期待できると見ている。理由は、水準訂正、アップサイドは、出荷数量の対前年比が鈍化傾向に入り成長セグメントとは言いがたいが、10GBくらいまではNANDフラッシュが優位となることがここに来てコンセンサスになり過度の期待が剥がれた。

HDDに対し厳しい見方をする米市場−これは水準訂正が入ってもおかしくないのではないか。11月1日に決算が出てくるHDDのヘッドのところに付くサスペンションメーカー、Hutchinson Technology (HTCH)世界シェア約50%超、PER:15倍、1インチHDDのSeagate Technology (STX): PER:7.9倍、Western Digital (WDC):PER: 10倍、品質問題を起こしたとされるMaxtor (MXO):PER:97倍を除けば、株価動向、Valuationもかなり売られすぎ、日本のHDD関係の銘柄を見ると:HTCHの競合、日本発条(5991)Y832、時価総額:2,030億円、PER:16倍、決算は11月18日、HDDのヘッドを支えるピボット、世界シェア70%、1インチ以下では、ほぼ100%を占めるミネベア(6479)Y468、時価総額:1,868、PER:24倍
は既に目先の悪材料を織り込んだ可能性がある。HOYA(7741)と日本電産(6594)は調整後、既に切り返し基調にある。次世代垂直磁気記録方式を発表している富士電機(6504)Y452、時価総額:3,374億円、PER:20倍。HDDの部材の約70%超は日本メーカーが供給。

成長性分野はWireless通信(IP)・ネットワーク(UWB, Ultra Wide Band):最近米国で話題になっている会社は、F5 Networks Inc (FFIV) Mcap:$1,672mil.PER:33X, software solution for controlling and optimizing Internet traffic and content, IPO候補では、Barracuda Networks, ConSentry Networks, E-BayがSkype(ベルギーの会社、2002年設立、PCを使って世界中どこでも無料で電話がかけられるIP電話ソフトの会社)を26億ドルで9月12日に買収、既にその事業価値は$28億ドルになったと評価するアナリストまで登場。
UWB半導体(チップセット)既に日立電線(5812)Y461,時価総額:Y1,724億円、PER:32倍のフィルムアンテナが実用段階にきている。UWB搭載PC、同製品対応Network機器など今年のCEATEC(10月4−8日幕張メッセかセミコン・ジャパン(12月7日−9日幕張メッセ)で異なった信号波長を多重化して通信するルーターの開発、光信号を高速処理する半導体研究、100Gbps−Ethernet実現に向けた話題が披露されそうだ。「悲観の中で次のハイテク相場が生まれる日」もそう遠くないのかも知れない。

★2. Consumer & service-息の長い消費回復、Wealth Effectこれまで財布の紐を硬く締めてきた富裕層の投資と消費に回復基調に入っているが、80年代のバブルの頃の日本の富裕層と今とでは中身が大きく違う。教育水準が高く、昔の成金タイプは少ない、海外留学、旅行慣れしており物を見る目が肥えている、さりげないファッション(10万近くもするジーンズにX万もするTシャツ、フランクミューラーの時計?)多少の見識がないと分からない。混乱期にリスクを取り見事にリターンを勝ち得た「新富裕層」は、もっとリターン・リスク管理にシビアである。

潜在的消費拡大層−最近、筆者は昔同じ会社で働いたことのあるAさんに街中でばったり出会った。90年代半ばにJob security blanket(日本の会社)を飛び出し外資系に転職、何度となく修羅場を乗り越え、現在は、あまり目立たない某外資系の幹部として活躍。話の内容から「税引き後の年収がなんとX億円」。当の本人は「年収10億、100億の人が出てきている」と「新富裕層」としての実感、自覚があまりない。東京タワーが見えるあるマンションのペントハウスに賃貸で住み、今の景気回復や資産価格の反騰にそれほどの信頼を寄せていないようだが、内心気になるようだ。現役の市場関係者も多忙でお金をじっくり使う時間がないという人が意外に多いのではないかと思う。

消費回復層:一時は倒産が囁かれていた、30社、50社リストにも載ったことのある企業に勤めている人や長年構造不況業種と呼ばれてきた業種、企業に勤務する人は、最近総じて元気がいいと聞く。本業の回復、夏・冬のボーナスが急速に回復基調にあり、残業代がでるようになったことに加え、紙屑同然だった株価の上昇で車を買い替えるか、もう少し広いところに引っ越すか検討中の人も多い。少し良くなると、ちょっとばかり贅沢がしたくなる貴重な存在。最近住宅を買った人は、必ず約1年後には家具を買う。

消費・投資リード役:団塊世代よりもちょっと先を行く世代(終戦前後に生まれた世代)人口が少なく手厚い年金と退職金を貰える世代。最近相次いで現役を退き、数千万円の退職金を入手。毎月分配金投資信託、高配当ファンドにお金を一部入れ月次の小遣いは「ちゃつかり」こちらで稼ぐ。年に2から3回海外旅行、夫婦でDayトレードを楽しむ他、しゃれたカフェの常連、百貨店のイベント「北海道展、イタリア展など美味しいものには目がない」積極参加、サークル活動にも積極的で、百名山、世界遺産トップ20−30訪問計画、ロングステイ、クルーズセミナーなど「人生を楽しむ」イベントにも積極的。年金も60歳から支給、小遣い稼ぎの仕事と孫と遊ぶのが楽しみだが、年金支給額が減額される前に楽しんでおきたいと意欲的。この世代後に、団塊の世代(1947−49年)が参入してくる。早くも「シニアハナコ」「サライ族」などいろんな呼び方があるが、最近の株価上昇で持ち株会の含み損が急速に萎んでいき「夢が膨らむ」という声も。(Source:何れも電車の中で漏れ聞こえてきた話をメモにしたものより)。

20年ぶり?労働市場逼迫感―新卒採用充足率が予定を下回る。就職情報サービス会社毎日コミュニケーションズの調査によると、来年入社予定の新卒採用状況が苦戦。採用充足率(内定者/募集人員)が86.9%、昨年より4ポイント低下。アルバイト雑誌を見ても首都圏の時給は、1,000円前後。

★銘柄:株価上昇基調にある。リゾートトラスト(46819)Y3,170時価総額:1,200億円、PER:25倍、東急不動産(8815)Y733、時価総額:3,400億円、PER:19倍(来期EPS40円潜在株調整後)2社ともファイナンス。キャパを増やさないとこの3年くらいの成長が期待できない。小型株ではユーラシア旅行社(9376)20.7万円、時価総額:75億円、PER:34倍、ノエビア(4916)Y1,396、時価総額:498億円、PER:19倍、リンク・セオリーHD(3373)Y65万円、時価総額:948億円、PER:33倍、百貨店、三越(2779)高島屋(8233)伊勢丹(8238)などご存知銘柄。

(菊川 半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

マーケットを切る!(48)

JUGEMテーマ:株・投資


■今週のキーワード
“Corporate guidance has become something of an art. The CFO has refined and perfected his art, gracefully leading on the bulls with the calculating grace and cunning of a great matador” by Joe Kalinowski(I/B/E/S) 。
4‐6月決算の発表が本格化、企業にとって隠れ蓑「先行き不透明、lower visibility」という台詞は常套句。「7‐9月期」に過大な期待が高まるようだと、例年通り中間決算前後、調整も。

★Market Navigator:Courage under fire!
ロンドンでの同時多発テロ発生、不思議なことにマーケットもこの種の事件では動じなくなりつつある。Chicago Board Options Exchange volatility index (VIX index) を見ると明らかだ。6月22日に11.05%(52週最低水準)をつけ、ロンドンでのテロ事件で7日木曜日に13%台をつけたが8日引けでは11.45%まで下落。過去の参考データ:9.11事件、01年9月11日の後、取引再開になった時31%まで上昇。寧ろ、米雇用統計の堅調ぶりと賃金の伸び率に着目するほどの余裕。米失業率は、2001年9月以来の低水準。時間あたり賃金も前月比+0.2%増、16.06ドルまで上昇(微増)に安堵する声も。米長期金利も4.10%(前週4.05%)で安定。持続的な景気成長、なだらかなFFレートの上昇、問題は、企業業
績の伸びが何処まで鈍化するかが大きな焦点となる。当面前年比+7%成長という水準が一つの節目か。対ドルばかりでなく対ユーロでも若干円安。ドル:112.20、ユーロ:134.30。「テロとの闘い」は続く。

★1.Technology Insight/露払い、keep seat belt sign on!
今週から米ハイテク、6月のアジアハイテク企業の売上、4‐6月決算が出てくるが「過剰な期待」を持たせていた企業の決算には要注意である。既に、7日に台湾の大手ファンドりー (2330 TT)が6月売上を発表、対前年比‐11%減、UMC(2303 TT)の売上は、対前年比‐36%減。アジアからは、設備稼働率の改善、単価下落から反騰転じたことを強調するアナリストもいるが、SIAの5月の数量だけを見るとほぼ対前年比横ばい、前月比では売上は‐0.5%だった。季節的な動きはあるが、チップセットの供給不足や特定半導体の需給逼迫を全体に当てはめるのはリスクが高い。年初から指摘の通り、儲かるのはごく一部。

★決算プレビュー:
7月13日水曜日:Apple Computer (AAPL)、ShuffleとHDD型のiPod販売比率に焦点、競合メーカーが相次いで同社製品(HDD型)の弱みである使用時間(電池の問題)と重量(重さ)との差別化を狙った製品が好調(例えば松下のD-SNAPやソニーの製品)。ASML:最近、経営陣は、ややトーンダウンと聞く。7‐9月期に「台湾のファンドリーからの受注に期待」という声もあるが、既に7月も中盤入り。AMD:64ビットのMPUの需要がどの程度あるか、興味深い。今週は、サンフランシスコでSemicon Westの開催。Wishful commentsには要注意。Back-to-School saleに期待する声にも注意を払いたい。過去にBack-to-Schoolで潤った年は、大幅な価格調整があった年か減税幅が大きかった年くらいか、データ検証中だが、期待値が高かった年ほど秋口の調整が大きい。Best Buy (BBY) が38歳の若手、Tim McGeehanを販売責任者に起用。好調な販売期待から株価も上昇。同じハイテクなら民エレか。7月15日発表のサムソン電子,Samsung Electronics (005930 KS)のデジタルメディア事業の4-6月業績に注目。
7月19日:Intel(INTC):915シリーズのチップセットへの移行、発注形態の変更から在庫管理が徹底、粗利が上昇か。イビデン(4062)新光電機(6967)野田スクリーン(6790)日本ケミコン(6997)ニチコン(6996)などパッケージ、配線、チップセット周辺アルミ電解コンデンサー株にとって重要なデータポイントとなる。Teradyne (TER):半導体テスター、通信系、Lucent Technologies (LU), Juniper Networks (JNPR),
20日:Qualcomm (QCOM), 3Gチップセット、及び同需要動向、HDD市場に関するデータポイントSeagate Technology (STX)、1インチのHDD増産、NOK(7240)にとって好材料だが、小型HDD、4GBから8GBはNANDが覇権を狙う。Mattson Technology (MTSN) 、半導体製造装置、
21日:Maxtor (MXO)、3.5インチのHDD(一部で品質問題が発生、サプライチェーンの混乱材料発生か)NOKIA (NOK1V FH)、Ericsson、携帯端末も重要だが、テレコムインフラ(収益率改善ピッチが顕著)にも注目しておきたい。Texas Instruments (TXN)、携帯向けDSPなど、Xilinx (XLNX)、通信向け半導体、在庫がどの程度減っているか注目、
22日:Hutchinson Technology (HTCH) 、HDDのヘッドにつくバネの世界シェア約50%超、ニッパツ(5991)のデータポイント(8月19日まで決算数字が出てこない)になる。Chartered Semiconductor、
26日:Lexmark (LXK):船井電機のプリンターOEMへのインプリケーション、11日に開催されるHPQの新商品説明会にも注目したいが、機能に対し価格面をアピールしてくることは容易に想像がつく、多機能プリンター競争2005年秋の陣スタートと心得ておきたい。Infineon Technologeis, STMicroelectronics, Sun Microsystems, Flextronics,
28日:Alcatel,KLA-Tencor (KLAC)、従来からHDDへの過剰期待に注意を促してきたが、4‐6月の発表を受けてもう一度、記憶媒体HDDとNANDフラッシュ(NAND以外のフラッシュも最近急速に開発が進む、例、FeRAMなど)の成長について冷静に考えてみたい。中長期的には両方伸びると思うが、ビット当たりのコスト低下と関連企業のシェア争い、情報氾濫、市場での思惑の差が生み出す渦に要注意。例えば、携帯端末にHDDを搭載する試み、NANDで収益を挙げている会社がHDD(0.85インチ)搭載で先陣を切る必要はないと思うのだが。

ハイテクで注目するなら、民生電機‐勝ち組みの松下、シャープに比べ、ソニー、パイオニア、ビクターの株価は、無残としか言いようがない。日本の投資家が好む「XX問題」式に言うと、「米2007年問題:2007年までにアナログ放送停止」、米でのTVの買い換えが急ピッチに進むという「Equity」ストーリーは、東京市場で聞えてこない。

★2.素材産業:Alcoa(AA)が示すValuation調整、その先にはM&Aの香り
アルミ大手のAlcoa(AA)が好決算を発表、45セント予想に対し46セント、それほど予想を上振れたわけではなかったが1日で4.3%も株価が上昇。今期予想PERが14倍、極めて割安とは言えないが、ネガティブキャンペーンの反動か。世界的に素材株のPERが異常に低下。US Steel (X)が4X、Phelps Dodge (PD)が6.9倍、JFE(5411):5.6倍、新日鉄:6.5倍、POSCO(005490):3.9倍、EV/EBITDAが2.4倍、China Steel (2002 TT):6.3倍、「サイクルのピークだから低PERでも買えない」という市場のコンセンサスか。しかし、更にPERが低下すると、Mr. Man of Steel, Lakshmi Mittalが、TOBをかけるかも知れない。台湾の素材産業6月売上:Formosa Plastic (1301 TT)前月比+14.9%、前年比+11.5%、Formosa Chemicals (1326 TT) +7.9%, +7.7%

★3.Consumer & Service/Real Economy/ネット対オンデマンド/使い分け時代へ
ネット対リアル:景気が多少良くなると、浮かれた話題が多くなる。例えばVOD(ビデオ・オン・ディマンド)の時代の到来によりレンタルビデオ店がなくなる?ネットバンクの成長でメガバンクの顧客が流失する?音楽ダウンロードサービスの本格化で街からCD・DVDショップがなくなる?景気が良くなりネットビジネスに資金が流れやすくなるからか、プレミアムを付けたがるのか、リスクを売りたい市場関係者(セルサイド)が増えることは間違いない。

しかし、ネット(Click)が伸びる一方で(Mortar)も伸びるケースがある。今週は、その一例を紹介したい。
米国の例、長年アマゾン(AMZN)は、Barnes & Nobles (BKS)やBorders Group (BGP)のビジネスを奪い去ると言われてきたが、Realのマーケット+Netで防戦する両社の業績、株価とも過去5年では、Barnes & Noblesの方が優位に立っている。2000年1月末から05年6月末までのアマゾンの株価は‐48.7%、一方BKSは、167.46%、BGPが88%、年平均リターン、Amazon:‐11.6%、BKS:19.92%、BGP:12.36%。

BKSは、全米49州に665店を保有、2004年の売上は、48億ドル、書籍:70%、雑誌:9%、7%:ギフト、8%:カフェ、マルチメディア(DVDなど):6%、Bordersは、英国、豪、など海外にも展開、売上規模は、BKSの約半分。過去5年間売上成長率、BKS:7.8%、BGP:5.7%、OPMは、BKS:5.0%、BGP:5.7%。

BKSもBGPも読者との接点を重視する、地域密着型の従業員を雇い、著者を招いてサイン会を開催、イベントを行いながら、講演会なども開催する。

特に専門書は、ネットで注文するよりも関心のある分野についての表記、レベルが購入者の求めるものかどうか見極めが重要。タイトルや書評につられてネットで購入して落胆するケースは、誰しも経験があるのではないかと思う。

ネットバンクやレンタルビデオ(DVD)店も同様である。金融商品は、コンサルティングビジネスに向いた商品であり、レンタルビデオ(DVD)も、ある種の仲間意識、ライバル意識(先に取られたくない)を競うワクワク感、若い人にとっては出会いの場というケースもある。CATVやビデオ・オン・ディマンド(VDO)が進歩しているアメリカで、lockbuster (BBI)とCablevision(CVC)が共存している様子を見ると、PPV(Pay Per View)よりも安いCATV、更に少し安いレンタルVTR若しくはDVD、ユーザーのニーズ、ライフスタイル、価値観によるところが大きい。

ネットに相応しいサービス‐例えば、退蔵作品、書籍で紹介されていた古い本、関連記事などは、リアルの店に頼むよりネットの会社に頼んだ方が早そうだ。最近、オンデマンドでコンテンツを提供するところがでてきた。
例えば、イーブックイニシアティブジャパンhttp://www.ebookjapan.jp/shop/info/profile.asp
やタイムブックタウンhttp://www.timebooktown.jp/Service/index.aspなど。
PDFファイルや携帯端末にダウンロードして読むことができる。重い本を多く持たなくてもノートPCに何冊かダウンロードして10数時間もかかる欧米出張時にノートPCやPDAなどで読むことができる。更に、Audible、本を読むと目が疲れるが、プロが朗読したコンテンツであれば目を閉じながらでも聞くことができる。

★4.銘柄:玉石混合状態(従来の農耕民族型から変化を先取りする仕掛けが必要な業界に)
初等-中等教育が充実している日本(識字率が極めて高い)では、書籍・雑誌がよく売れる国、氾濫しているといっていいほどだ。書店がない街は、どこか寂しげに感じるのは筆者だけであろうか。あまり特徴のある書店は少なく、特徴のあるところは、東京駅、新宿にある大型書店だが、家賃が高く収益的に厳しいようだ。郊外型のところは、少子高齢化、所得の減少から雑誌、書籍の販売が落ち込んできた。

豊かな年金所得者層、勤勉な団塊世代の退職、景気の回復から多少回復するという見方もあるが、読者のニーズが多様化しており、ネットとの差別化(写真の充実、連載版-例えば世界遺産特集などシリーズものを売り込んでいく戦略)出版社側も苦慮している。1回の発行部数を減らし在庫リスクを厳しく管理、売れ筋の把握と追加発注のタイミング狙いなど従来以上の経営努力が必要な業界になった。

文教堂(9978)Y715、時価総額:54億円、来期PER:36倍、首都圏に228店展開している。サービスを売るところまで至っていない。もう少しやり方があるのではないかと思う。
丸善(8236)Y234、時価総額:253億円、オアゾの大型店、単体の累損一掃、SCなどへの出店などまだビジネスチャンスはあると思う。ビジネスモデル組替え中。シニア、団塊の世代、時間が出来たら本を読みたい、丸善に行くと知的好奇心を満たしてくれるようなサービスの提供が鍵。
トップカルチャー(7640)Y685、時価総額:75億円、今期PER15倍、52店中、新潟27店、長野15店、東京3店、群馬4店、VTRのレンタルからDVDへの移行期、関東重視、ブックオフ(3313)Y2,710、時価総額:510億円、PER:32倍、東京23区重視、店舗数909店、角川ホールディングス(9477)Y3,920、時価総額:1,028億円、PER:33倍、電子出版事業は黒字化。主要作品全てデジタル化完了。角川デジックス、携帯電話で文庫本が読み放題、月額315円、圧縮技術で文庫本1冊あたりのパケット代が100円はお徳?
幻冬舎(7843)Y766K、時価総額:279億円、予PER:19倍、ライブドアと合弁でネット出版。

(菊川 半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

マーケットを切る!(47)

JUGEMテーマ:株・投資


■今週のキーワード
“If you develop the absolute sense of certainty that powerful beliefs provide, then you can get yourself to accomplish virtually anything,including those things that other people are certain are impossible.” By Anthony Robbins (Motivator, advisor, consultant, author, entrepreneur,philanthropist, 1960).
6月13日付レポートで指摘した通りの「為替市場に溜まったマグマ」が動き出した。次ぎのブレークポイントは114.70前後、今後1年以内に124円台も視野に入ってきた。「リフレ」の加速、収益モメンタムが鈍化してきた輸出型企業の交易条件の改善が期待できる。但し、個人所得・企業収益の回復の先には「増税」が見える。

★Market Navigator/ invisible variablesとの闘い、Part 2.求められる素養‐税務知識
Market Navigation情報:
為替、3月末ドル/円:107.15、6月末:110.92、7月1日NY引け:111.80、11ヶ月ぶりの円安。6月のISM製造業指数が53.8(前月51.4)7ヶ月ぶりの上昇。米景気再浮上と日本の個人金融資産のドルシフト加速。円‐個人資金の海外脱出、財務省データで6月19日‐25日にドルを買い越した金額が1.8兆円。「課税強化、預金課税」の臭いを感知した富裕層の円資産の海外脱出か。

税金の話題‐第1段、定率減税見直し、移転価格課税、3‐5年以内に基礎控除見直し、損益通算できる項目が大幅に減少する傾向にある。消費税引上げのための地ならしか本格的に徴税強化、国有財産の処分による税制赤字縮小政策か、2007年から支払いが始まる団塊世代への年金財源確保の一環であることは容易に想像がつく。税金問題に詳しい人によると個人所得課税の抜本的見直し、年金財源確保に向けた国のマスタープランが背景か。今後の税制調査会http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/chukei.htm の動向から目が離せない。日本には期限限定の税制特例が多く存在する。これまで勤労者は、源泉徴収が基本となっており「タックスプランニング」というスキルは専門家以外には求められなかった。一般の所得層、資産保有者にとって資産運用・管理能力、そしてタックスプランニングが根付く日が近い。

★1.Technology Insight/Bellwether-Consumer Electronics bottoming?/WiMAX Bubble?
日経金融新聞が実施している「有力機関投資家に株式の売買意向アンケート調査」に売りたい銘柄トップが三洋電機(6764:時価総額:5,373億円)パイオニア(6773:同3,010億円)ソニー(6758:3.8兆円)、民エレ3銘柄が1‐3位独占。セルサイドのレーティングを見ると、三洋をカバーするアナリスト20名中、Buy:0、Sell:13、Hold:7、パイオニア、21名中、Buy:1、Sell:8、Hold:12、ソニー、23名中、Buy:4、Sell:4、old:15、Contrarian investorsが見たら、大変興味を示すだろう。Current valuation, break-up value on existing operation,asset value, resource value, brand value,
cash flows, supply chain, value chain, 様々なテストをかけ経営者インタビューをするのが常套手段。

パイオニアとソニーは、音楽・映像ソフト、特許、知的財産の価値評価は、専門家の中でも意見が分かれるだろうが、デジタル家電の立ちあがり初期段階(コスト負担競争)だけに、投資チャンスはあると思う。Vulture fundsから見れば、原石に包まれた宝石に見えるだろう。 研磨次第、買い手はつきそうだ。

【バーゲン価値追求(一例): パイオニア 6773】
 今期売上推定:7,500億円、通期OP:60‐70億円と推定。
PDP(今年度、パイオニア側60万枚、NPD:50万枚)PDP売上:推定2,000億円、推定OP:30‐40億円(NECから買ったリブ型のPDPラ製造ラインの手直しコスト込み)、子会社の東北パイオニアでは有機ELの開発が延々と行われている。同売上が約150億円、開発費用込みでOPが約20‐30億円の赤字か、DVD関係一式(プレーヤー、レコーダー、オーディオ)今期売上推定:1,500億円、推定OP:収支トントンから赤字50億円、特許収入約100億円、OP:60億円、カーナビゲーションとカーオーディオ(1対2程度):売上推定:約3,500億円、推定OP:50‐100億円、為替感応度:1ドル3億円、1ユーロ6億円、(会社前提、105円、130円)。
TV(PDP)とDVD、ソフト、従業員39, 362名, 内外工場を含め市場価格3, 000億円なら、フローベースで見ていかがだろうか。資産ベースでは、現金:1,166億円、在庫:1,090億円だが、70%引きで処分したとして300億円、売掛金:1,320億円、外資系銀行に掛け目0.8くらいで売却したとして1,056億円、固定資産:2,100億円、8掛けで評価額:1,680億円とする。資産:4,202億円、負債:長短借入金:1,336億円、買掛金:1,363億円、計算上のNet Worth(買う側から査定):1,503億円。現在の株式価値の半分は十分にありそうだ。1,500億円のNet Worth+フロー収益、2004年3月の営業利益が437億円、2005年3月期の
営業キャシュフローが約200億円、投資CFが935億円、今後の特許収入減、追加的投資(前期640億円、今期470億円)償却は今期480億円、来期くらいがピークになりそうだ。PDPとDVDのリソースを求める米半導体企業かソフトウェア企業(5兆円相当のキャシュ、ドル高で購買力増加)から見てパイオニアは割安感があるように思うのだが、資産査定、Cashフロー分析、甘いだろうか。

同社の課題:NHKの「プロジェクトX」で取り上げられた会社。技術にこだわりがあり、PDP, カーナビゲーションなど先駆者的な企業であるが、スケールメリットを持つ戦略(一部生産のアウトソース)と営業力強化が同社の課題。

デジタル家電不況も一巡か:
内閣府の調査(3月末時点調査)「消費動向調査」によるとFP-TVの普及率は、11.5%、DVD録画再生兼用機で28.8%、デジタルカメラが46.2%(昨年3月末が51.8%、携帯端末のカメラを代用しているケースが考えられる)PCが64.6%(平均使用年数4.3年)。巨額の開発コスト、設備投資、償却負担(上記のパイオニアがそのモデルケース)、採算を度外視した価格競争(某S社の罪は根深い)、そして原材料価格の高騰により採算性が昨年夏以降悪化。日経産業が行った夏のボーナス調査(詳細は次項)29歳以下でAV機器購入を考えている人の購入希望#1はDVD/HDDレコーダー:23.0%、液晶TV:20.6%、NotePC:20.0
%、ポータブルオーディオプレーヤー:13.9%、デジカメ:11.5%。Elasticity demandに期待。株式市場で家電の回復を織り込んでいないだけに7-9月期のデータポイントには要注目。

Wifi/WiMAXフォロー/米でWiMAX Bubbleの兆候も:何度か紹介してきたが、先週末に米で開催されたWCA Show, Wireless Communications Association、インテルの危機感(Sense of crisis)が産んだ技術だが、FTTHに代わる技術として注目を浴びた。詳細は、http://www.wcai.com/ を参照されたい。1,900名参加、「Wifiや3G携帯よりも使い勝手が良い」という評判。キャリアー、テレコムインフラ会社、携帯端末メーカー、半導体メーカー、コンテンツメーカー、投資家、投資銀行、技術者、ハイテク技術系出版者は、この「数10キロを50Mbs」でアクセス可能なチップを取りこむことで「何がどう変化するか」、自社を優位にするためには、どのようなアライアンスを組めば良いのか、早く
も乱戦模様。7月20日からカリフォルニアでWCA meetingの開催が予定されている。http://www.wca.org/ ITバブル崩壊から5年半、再び無線帯域についての論議、将来の果実を奪い合う価値のありそうな争奪戦が今始まろうとしている。ハイテク株の新たなCatalystsとして活躍に期待したい。Stay Tuned!

農耕民族型発想-WiMAX:
単に802.16を搭載しただけ、PCの買い換え促進に繋がるがFTTHや携帯端末が要らなくなるかどうか不明。PDAはどうなった?例PALMONE (PLMO) 、ザウルスも本当に恐竜になり、RFIDもウォルマートでのオンサイト実験では思ったほどの成果を挙げていないと聞く。
狩猟民族型発想-WiMAX:これぞ究極のチップ。Wireless broadbandの時代だ。チップセットメーカー買い、テレコム、インフラ会社はSell short! PC買い替え促進だけでなくライフスタイルが変わる。

★2.素材産業:HOT Commodities-Value chainの歪が生み出すUpturn market
梅雨時‐素材株を抱え先行きを心配する投資家に朗報。6月22日に「大投資家ジム・ロジャーズが語る商品の時代」ジム・ロジャーズ著、(日経新聞社)が発売になった。これを読むと世界の原油在庫が前年比+8%増、需要は昨年の+3.4%から現在+2.2%にまで減速している中で原油価格がどうして前年比+60%増なのか理解できるだろう。アジアの石油精製施設の稼働率が90%を超えている。メキシコ湾には、スクラップ同然のオイルリグが浮ぶ。西アフリカでは石油権益を巡り民族紛争が絶えない。一読されれば、来年の今頃の金利、株価、為替の様子がおぼろげながら見えてくるかも知れない。

★3.Consumer & Service/ 消費セグメントの細分化/In Search of Contents/個の時代
久しぶりに賑わいを取り戻す個人消費だが‐地殻変動‐:2005年の民間企業のボーナスは、対前年比+4%前後、恐らく90年代前半以来の伸び率、絶対額の水準は当時に比べ少なくとも20-30%は低い水準か。素材産業、自動車メーカーではバブル崩壊以来の水準という声も聞くほど。

百貨店、アパレルの販売担当者からは、早くも「機会損失」の声が聞える。日経産業新聞社が5月27日に行った夏のボーナスの使い道アンケート調査では、1.旅行・レジャー:33.1%、2.生活資金:24.0%、3.家のローン:19.5%、4.洋服購入代金:18.1%、5.子供の教育費:15.8%、29歳以下については、洋服の購入代金:37.2%、旅行・レジャー:34.0%、バッグなど身の回りの小物購入代金:24.4%、クレジットカード支払い:16.8%、AV機器購入代金:14.8%。一見、消費全般が戻りつつあるように見えるが、実は、需要の細分化が進展しており、全体が買う台しているわけではなく、供給サイド側の
「相違工夫」がないと秋口に「機会ロス」「在庫不足」「需要の読み違い」という文言を聞かされるリスクがある。

供給サイドの細分化がヒットするかどうかは、CRMにかかっている。「お客様が何を望み、何を望まないか」「弊社の供給するサービスに相応しいお客様かどうか」、エコノミストは、単純に個人消費と一言で処理するが、消費のセグメンテーションは、細分化しつつある。

例えば、この夏期待の「レクサス」ガリバーインターナショナルの調査ではブランドの認知度73%、年収800万円台の人に限れば87%だが、それ以上の所得層では低下する。持てるオヤジのための雑誌「Leon」の読者層をイメージしているのかも知れない。「日本のお金持ち研究」橘木、森共著(日経新聞社)の高額納税者調査によると、トヨタ、メルセデス、日産、BMW、ジャガーの順。企業経営者はトヨタを好み、医者ではメルセデスベンツ、ジャガー、ボルボの順。気になるトヨタだが、車種別ベストランクでは、「セルシオ」「クラウン」と人気が高く、「レクサス」の入る余地は、まだ十分整っていると期待したい。http://221616.com/gain/vol37/gain_vol37.html
7月にも披露される3車種の「レクサス」一説では、300馬力、38Kgのトルクの車種も出るとか。来年には、5000CC, V8エンジン搭載モデルも検討されていると聞く。値段も国産車としては凄いそうだ。

★ネット経由ビジネス一例:
「一休」国内外の高級ホテルや旅館の宿泊予約サイト企業が8月にも上場へ。高級宿泊施設を格安で利用できることから使う人は増えている。サイト、http://www.ikyu.com 楽天の運営する「旅の窓口」やHISのサイト、JTB、直接ホテルがネットで宿泊予約を受けるところもある。稼働率を上げるためネットを活用するところが増えている。メンバー制度(常連客)確保、顧客管理(CRM)も一部で浸透。エステやスパの割引券や、リピーターに対する割引(例えば初回3,150円、2回目以降,1,050)を導入。誕生日には、シャンペンや花を贈るところもあると聞く。

テレビの世界‐マスメディアではなく限定メディアの時代:多チャンネル化時代、TV広告が効果を持たなくなりつつある。先進国メディアは、多チャンル化、テレビ広告効果に対する不信、ジョン・マローン、リバティメディア会長(TCLを520億ドルでAT&Tに売却、Billionaire)が「放送広告ビジネスモデルは10年内に消滅する」と日経ビジネス6月13日付け(P110)で豪語。ホリエモンの指摘通り、既存キー局のビジネスモデルが大きく揺らぎつつあることを改めて示唆。

★銘柄研究:
【WOWOW(4938)】
Y318,000、時価総額:458億円、PER:16X、EV/EBITDA:8.63、さらば日経新聞よ、こんにちはWOWOW! こだわり世代が求めるコンテンツプロバイダー

250万世帯にプログラムを配信。スカイパーフェクトコミュニケーションズ(4795)がプラットフォームを提供する会社に対し、同社は、衛星放送、CATVなどの番組課金、カスタマーケア、番組製作‐も行う総合的な企業。番組は、60%が映画、スポーツ10%、音楽、ドラマ、ステージものを提供。Kitchen、松任谷由美のライブハウスなどのプレミアムステージ、他の番組が作らないようなアングルを提供。

何故か人気がない株だ:理由を調べると、各キー局が持ち合っておりガバナンスがない(フジ:9.9%、TBS:8.9%、NTV:8.3%、MEI:7.6%、東芝:4.8%、三菱商事:3.8%)、マーケティングが弱く顧客獲得コストが高い、独自のコンテンツが少なくメディアの二次販売というイメージが強い、Tsutayaやレンタル市場との競合、そもそもお金を出しても見たい番組は限られているというのが悲観の主張。
人も企業も変化する:前年度累損一掃、創業以来始めて一株あたり2,000円配当、新規加入者コスト、2003年度が14,477円に対し2004年度は9,558円、34%もコストを削減。ダイレクト・マーケティング、無料視聴時間、異業種とのタイアップ:カード会社、ISP事業者、ファンクラブ、などを通じDM、E-mailなど高いインセンティブフィーを求め、Churning目的の質の低いユーザーを初期段階から勧誘しない。デジタル加入者が60万人まで増加、前年比+48%増。ハイビジョン、5.1chサウンドなど一般のTVやアナログDVD、ましてVTRにはない「質」の提供を行っている。解約率も02年度:15.2%、03年度:13%、04年度:13.8%、オリンピックなどのイベントが年央に終わったわりには、落着いた水準。団塊世代+α世代の好む作品‐岩崎宏美30周年記念コンサート、山口百恵アルバムや昔のドラマ、井上陽水、ドキュメンタリー作品、野球の名場面集、全英ゴルフ、マスターズ、ウィンブルドン、他、2年前にも団塊世代の特集をしたが、多彩でこだわりを持つ世代、ライブのスポーツでないと納得しないくらい。退職後は、「つい見てしまう」そんな世帯は増えると思う。ニート君が多いTsutayaには行きたくない人も多いかもしれない。
自分の価値観、一般常識では考えられない需要は、今後無視できない。
(菊川 半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

マーケットを切る!(46)

JUGEMテーマ:株・投資


■今週のキーワード
“An entrepreneur tends to lie some of the time. An entrepreneur in trouble tends to lie most of the time” by Anonymous
昨年を上回るペースで新規公開・上場企業(2005年は160社を超える勢い)。証券会社のIB部門は、新規案件、公開・上場予備軍、Secondary市場でのIRサポート、銘柄フォローも十分とは言えず、公開・上場直後、利食いに押され、投資家、発行体からも不満の声。
玉石混合だが、もはやバイサイド、セルサイドともミスプライス株を探し、精査するだけのマンパワーはないようだ。

株主総会後は、総会で承認を得た経営陣が「ビジョンと戦略」を語り始める。外国人投資家の持ち株比率が高い企業の経営者は、7月初めにから海外投資家訪問に旅立ち、帰国後には4‐6月企業業績発表準備に追われる。創立から数年の会社も1世紀以上の歴史のある会社もステークホルダーが求めるものは、企業価値の継続的な向上。株主総会で経営者側からの発案が「否決」される時代。長年日本市場に求められてきた投資家(ステークホルダー)と経営者の「緊張関係」が機能しつつある。Fasten your seat belt!

★Market Navigator/ invisible variablesとの闘い、Part 1.求められる素養‐発想の転換
Market Navigation情報:

9回目のFFレート引上げへ、3.25%へ。FFレートのピーク時を探る展開続く(次回FOMCは8/9)。歴史的に見て、84年、94年、そして2004年、10年毎の米金利上昇局面と、翌年の景気スローダウン局面入りと景気回復軌道への過程を辿ると、金融、マネーの問題が発生。FFレートの打ち止め感と景気反騰期待先行が入り混じる時期にM&A旋風、対ドルでの外国通貨切上げ(これまでは円だったが今は元)が起こっている。夏の陣を構える投資家にとって景気の上昇気流と下降気流の見極めが重要だが、日中気温30度前後、湿度もやや高め、夏ばて対策が必要かと思う。Good luck!

狩猟民族型と農耕民族型‐日本に混在する価値観、ライフスタイル‐昔は狩猟民族型=アングロ・サクソン型、日本は農耕民族型と指摘されることが多かったが、この10年で大きく変貌。同じ企業内でも狩猟民族型発想、農耕民族型発想を求められる個人、組織に分
かれるケースが目立つ。両方の発想のバランスを求められるケースもある。一般的に狩猟民族型とは、一般的にクリエーター型、ヘッジファンドのファンドマネージャー、アナリスト、トレーダー、弁護士、コンサルタント、芸術関係、起業家、一部のエンジニア。一瞬の発想の転換で大きなチャンスを狙う。

一方、農耕民族型とは、長いスパンで物事を考え、地道な活動で収益を狙う。医者、会計士、主要な製造業(自動車、電機、精密、3‐5年のタイムスパンで企業戦略を創る)、教育者、官僚、経営企画、賃貸不動産経営、基礎研究、non-cyclicalなビジネスは、一般的に農耕民族型発想モデルの典型だが、商業銀行、中長期の年金運用、アナリスト、保険コンサルタント、伝統的な証券ブローカーもどちらかと言えば農耕民族型。

どちらが良いか悪いではなく、両社の収益性の違いは、一概に言えない。経営者の中には、狩猟民族型の人もいれば農耕民族型の人もいる。ビジネスモデルが狩猟民族型(例えば、俗に言うIT企業群、ライブドア等)企業に農耕民族型経営者、長い研究開発が求められる医薬品メーカーに狩猟民族型経営者が席についているケースは、企業価値の変動が著しく不安定になる傾向がある。具体例は、今後このシリーズで紹介していきたい。景気が蛇行し始めると、時として経営者は、本来のモデルを見失う。

不透明要素をチャンスと捉える発想とリスク回避策を模索する発想‐この二つに分けることが出来る。リスク回避しつつチャンスを捉えるケースは、一見合理的に見えるがコストがかかる。出会った経営者(チームプレイ型経営の場合は、バランス)が狩猟民族型か農耕民族型か経営判断の際、どちらのChemistryが機能するか、見極め方次第で年後半のパフォーマンスが決まりそうだ。

クイズ.某民間航空機のパイロット、グァム島から成田近郊まで飛行、燃料は残り2時間分。三浦半島から房総半島にかけ積乱雲発生、高度7,500m、べったり広がっている。どうするか、1.乗客積乱雲の薄い所を通過する 2.グァム島に帰還する 3.高度を上げて積乱雲の上を飛び越す、4.羽田に向う。(「パイロットが空から学んだ一番大切なこと」、酒井優基氏著、インデックスコミュニケーションズのP139を参考に一部改変)。どれがベストか、答えは、3。1は機体の損傷リスク、2.燃料が足りないリスク、3.一度飛び越え北から成田へ着陸、4.羽田も積乱雲の中にある。

★1.Technology Insight/少子高齢化、団塊世代退職で注目される日本のメカトロ産業
本題に入る前に、ザ・ブローカーとして幾つかのデータポイントを紹介しておく必要がある。中長期投資家にとってはノイズでしかないと思うが、4‐6月‐7‐9月の動向を見る上で注目しておきたい。

ハイテクデータポイント:ハイテク株は、狩猟民族型ビジネスモデルの典型。一部で強気発言が心地よく聞えると必ずショックが待っていると考えていいセクター。

収益変動が激しく、ニュースフロー、断片的なリサーチも氾濫。一部の長期年金ポートフォリオは、ハイテクやバイオ銘柄の組み入れ比率を制限しているところもあるが、日々運用することに長けたファンドからすれば、投資の醍醐味を十分味わえる銘柄群。中長期のテクノロジーロードマップや偉い学者が主張するテーマが実際に短い期間で現実化するケースは、極稀である。早速、先週あたりからTurbulence発生か。

Turbulence 1: Solectron (SLR):同社の3‐5月決算は、市場の想定をやや下回り、中身はDisappoint。同社は、Ciscoや通信系、組み立て加工系業界のベンチマーク一つである。全体の売上は、前期比‐5.8%、前年比‐14.6%、ネットワークセグメント:前期比‐14.7%、前年比‐4.4%

Computer/Storage:前期比+2.8%、前年比‐7.7%、Industrial:前期比+6.1%、前年比‐16.1%、自動車向け:前期比+8.5%、前年比+4.6%、通信:前期比+3.0%、前年比‐7.3%。ITネットワーク投資の回復は、騒音ほどではないことが窺える。

Turbulence 2: LG Electronics (066570) 4‐6月の携帯端末出荷は会社ガイダンスの1, 400万台を下回りそうだ。欧州向けが弱く米国向けも期待通りでなかった模様。更にPDPの出荷も前期比横ばい。

Turbulence 3:台湾の液晶偏向板メーカー、Optimax Technology (3051 TT)6月の売上は8%くらいダウンサイドがあると台湾の同僚からの報告。日東電工が価格攻勢に出たという話題で株価も調整。

フォローアップ:世界のHDD出荷台数1Q(1‐3月)に対し2Q(4‐6月)はほぼ横ばい。例年マイナスの時期に横ばいは好調を意味するが、期待値が高かっただけに、関連銘柄は、上方修正待ち。

★注目される日本のメカトロ産業/人口動態の変貌と企業競争力の向上/熟練工と自動化 Part1
日本の製造業は、典型的な農耕民族型ビジネスモデルであるが、80年代半ばの自動化依存(FMSなどFlexible Manufacturing System)と熟練工軽視の風潮、90年代の円高、産業の空洞化、金融危機、年金債務問題の浮上により大手電機メーカーの「国営化」まで市場で囁かれた。現在、市場からは、少子高齢化、生産労働人口の減少、BRICsの台頭する中でどのように企業価値向上を目指すのか指針を示すよう圧力がかかっている。5‐10年先を見る一部製造業のトップ及び幹部は、2010年‐2015年の日本の経済モデルをベースに「生産革新」に余念がない。

成功例:松下電機のPDP事業、推定ベースだがOPMは、7%を超え世界で最も高い利益率を誇る。シャープの小型液晶パネル、こちらも推定OPMは11‐12%前後、大型パネルを含めても7−8%ではなかろうか。償却費、R&Dコストの配分、部門間売上、利益の相殺などで市場関係者に公表される数字とは、多少違うかも知れないが、日本国内での生産性、収益性の高さは、一部大手メーカーの中で認知されつつある。

海外生産、消費地生産一辺倒から、コアのモジュールを日本で生産、消費地で組み立てて販売チャンネルに載せるモデルが、コア技術の流失防止、収益最大化につながる糸口を見つけた模様。

生産現場‐組み立て現場‐熟練工、物作り・組み立て作業に意欲的なマルチスキル型のパート(大阪や名古屋のパートさんの活力、パワーは、凄いでー、ホンマヤでー、銭稼ぎますわ)。関西・中部に対抗意識が強いのは、九州。生産性・収益性改善に活力が漲るが、経営トップからみてこれら熟練作業員の高齢化は、誰にも止めることはできない。90年代の新卒者募集削減による就業者の年齢構成が歪んだままの状態。

チャンス到来‐多額の設備投資余力が生まれる‐団塊世代の退職が目前に迫り、悲観論が多く聞かれるが、大方の高い価値を生み出す団塊世代は、一時退職後、様々なプログラムにより現場に残ると見られる。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると例えば、団塊世代の賃金総額ベースを見ると16.2%(1,000人以上の大企業では17.6%)、雇用者数ベースでは13%。歪が出来た世代間格差を熟練工生産ラインと完全自動化ラインに分け(当然中間的なラインも投入される模様だが)、様々なインセンティブプラン「マイスター制度」を導入して、単純労働ではなく一人若しくはグループでほぼ全ての組み立て工程を任せ、生産性に応じて報酬配分する方針。

既に一部のメーカーで実験的に導入されており、成果が出ている。
具体例:先日アナリスト向けに開催された「キヤノンの生産革命活動」からその「からくり」が極一部透けて見える。「ムダがあるから成果が大きい」「現場は宝の山」という表現の意味を市場で織り込むにはかなりの時間を要するかもしれないが、製品単価の下落を生産現場で吸収してしまうような施策。

現場が求める生産ライン:ブラックボックス化(外から見て製造原価が見えないもの)、内製化加速、マルチジョブを支援するような機械、工具の導入する一方で、完全自動化(モジュール部品の組み立て)、部品点数、工程を減らせるようなラインを混合している模様。ヒントは、これらの生産現場は「航空母艦」のようになっていると言えば、ご理解いただける方もいるかも知れない。

★2.関連銘柄、/汎用性と特殊性の共存‐Multifunction
複合機のニーズ:森精機(6141)Y1,174、時価総額:1,112億円、PER:12倍、同社の旋盤(削られる物が回転)とマニシング(削る側が回転)する複合機。部品点数が少なく低コスト、高付加価値品
アマダ(6113)Y760、時価総額:3,088億円、PER:18倍、同社の汎用機械、使い方次第では、現場の生産性改善が高まる。これまで使い方の指導が十分でなかったことから機械を導入した側のROIが低かったが、生産現場での利便性向上の成果は大きい。
不二越(6474)Y378、時価総額:941億円、PER:18倍、多機能ロボット(同社はトヨタ向け比率が高い)の企画・設計は急ピッチ。20年前の収益モメンタムの上昇を彷彿させるほど。
ダイヘン(6622)Y277、時価総額:375億円、PER:17倍、溶接ロボット好調、電力向け変圧器需要回復に期待。半導体向け電源装置は受注モメンタム好調。

★3.素材産業:弱気派増加傾向
米短期金利上昇打ち止め感台頭=景気減速感、欧米住宅バブル崩壊リスクの高まりで、素材産業銘柄中心に先週は、調整するものの、原材料コスト低下、製品価格の安定期待から東京製鐵(5423)が買われるような地合いは続く。4‐6月決算から見て上期増額修正期待感台頭に期待したい。PERが5‐10倍くらいの素材メーカーの株が「宝の山」のように出てきた時、PERのボトムは株価のピーク(シクリカル銘柄の尺度)と決めつける投資家もいるかも知れない。しかし、世界景気の再加速が表面化した場合、株価上昇余力は20‐30%くらいありそうなセクターでもある。

★4.Consumer & Service/世界的にスポーツ熱上昇‐お金で買えないのは健康と爽快感
世界的にスポーツが見直されている‐閑散とする夏枯れ相場の中で一際目立つのが、スポーツ観戦。ウィンブルドン、全米ゴルフ、バスケット、そして日本サッカーコンフィデレーションカップ。あと1ヶ月すると高校野球大会の開催。「夏枯れ相場」にはそれなりの役者が存在する。スポーツは、結果が全て、感動シーンだけ見て満足する人は少なく、全部見るか、結果だけを見るか、実況コンテンツとして価値は高いが、再利用価値が極端に低いことが難点だが、年々放映権は上昇気味。スポーツチームの強化も各国力を入れている。日本はやや出遅れ感があるように感じる。

例えば、冬場の札幌周辺には、オーストラリア、ニュージーランドチームが強化合宿をすることは意外に市場関係者の間では知られていない。韓国、台湾、香港からの富裕層がスキーを楽しみに来日するという情報もMKに寄せられている。(余談になるが、札幌周辺のリゾート物件、数百万円の売り物は割安か割高か?)

2012年オリンピック会場争奪戦:7月6‐9日にシンガポールでIOC総会が開催される。現在、候補地に名乗りをあげているのが、パリ、ニューヨーク、モスクワ、ロンドン、マドリードの5都市。新規正式種目採用にも注目が集まる。例えば、ゴルフ、1900年、1904年に一時採用された。ラグビー、こちらも1900年、1908年、1920年、1924年に種目となった。Polo、Lacrosse, Croquet, Cricket, Power boating,Rackets, Rink-Hockey, Water skiingなど。詳しくは、www.olympic.org/ を参照されたい。

ホノルルマラソン:例年12月開催、2004年12月12日ホノルルマラソン、25,617名がエントリー、15,723名が日本人。全体の61%が日本人ランナー。日本語でのウェブサイトhttp://www.honolulumarathon.jp/ も充実。「マイウェイ」、団塊の世代には忘れられない音楽。ポール・アンカ作詞・編曲、フランク・シナトラが歌ってヒット。一説にはフランク・シナトラの引退のためにポール・アンカが作詞したという説もある。マイウェイを聞きながら、オアフ島をマイペースで駈け抜ける気分は爽快だと聞く。

2006年2月10‐26日:Trino Olympic(イタリア)の開催。この夏が強化合宿時期。これからが旬。
新百名山ブーム:1956年から10年間登山ブームが起こった。日本のマナスル登頂がきっかけとなったと聞く。当時20歳だった若者が今、60歳代、電車に乗るとそれくらいの年代層が重いリュックサックとステッキを持っている光景は珍しくない。「日本の百名山」、「新日本百名山」、書籍・ガイドブックは、年々増える傾向にある。現在、50歳以上の69.6%、60歳以上の42.4%が登山経験者と言われるほどだ。

ゴルフ場の相次ぐ上場と収益機会の多様化:パシフィクゴルフマネジメント(PGM)とアコーディアが候補に上がっている。ブームの反動を狙ってか、人口動態や各国のモデルケースを緻密に分析した上での底値買いを果した例だが、Cashフローはこれからが上昇期。最近の郊外型一戸建て住宅をゴルフ場の中に作るケースも出てきた。ラスベガス、グァム島などでは珍しくないが、リタイア後の生活空間、明らかにライフスタイルの変化を先取りしたライフプランを実践する企業が増えつつある。例、東急不動産の季美の森、www.kiminomori.com 3LDK-4LDK, 2,700-3,300万円、外房線。同様のプランは、各社計画中。更に、2008年問題―高反発クラブ使用禁止、プロ、アマとも反発係数が0.83以上はコ
ースで禁止の予定。

ネット企業もスポーツチームスポンサーに相次いで名乗を挙げる:昨年は、ライブドアのバッファローズ買収交渉からスタート、今や、ソフトバンク、楽天などIT企業名が「近鉄」「太洋」などに代わりスポーツニュースに流れる。ブログサイト、選手とのメール交換コーナー、キャンペーンなどの効果から、ページビュー(アクセス数)が昨年1年間で約+50%増。広告主としても宣伝効果を狙いたい。

先進国病‐克服の糸口‐楽しいスポーツを政治に利用されたくないという声も多いが、増えつづける生活習慣病対策、医療コスト削減のためにもスポーツ振興は、日本だけではない。ニューヨークマラソン、ボストンマラソンなど地方公共団体は、イベントによる地域振興、ライフスタイルの向上を狙う。ジョギング、ウォーキングが増え、(人目が増え)犯罪が減ったという事例も聞く。

健康器具メーカーも率先:オムロンの作田社長がダイエット日誌ウェブを公開「カラダスキャン」のキャンペーンサイト、6ヶ月で5キロ減、体脂肪率20%減、ウィークデー45分、ウィークエンド1.5時間のウォーキング効果、楽しみ方、ウォーキングコースの紹介など。同社社員、関連取引先にも大きなインパクト?

関連企業:現在調査中のため、銘柄名だけにしておきたい。
デサント(8114)Y402, 時価総額:309億円、PER: 17X、アディダスとのライセンス交渉決裂で苦戦したが、自力で立ち直る。EV/EBITDA:6X
アシックス(7936)Y497, 時価総額:993億円、PER: 10X、ニューヨークマラソンの約60% が同社製シューズを履く言われるほど。
ミズノ(8022)Y516、時価総額:685億円、PER: 20X、ウェア、用具など全般。ミズノのスポーツ教室などに最近申し込みが増えているそうだ。
ゼビオ(8281)Y3,190、時価総額:1,019億円、PER:23X、ヴィクトリア(売上約300億円、前期は赤字)を吸収。ヴィクトリアの粗利が意外に高かった模様だが、コスト削減、需要喚起はこれから。

(菊川 半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

マーケットを切る!(45)

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■今週のキーワード
“Stocks are super-attractive when the Fed is loosening and interest rates are falling. In sum: Don’t fight the Fed!” Martin Zweig
Mr. Market(市場)との闘い‐中央銀行、ヘッジファンド、投資信託、年金、富裕層、投機集団、ザ・デイトレーダーズ、年金生活者他、傍観者も含め「2005年5月病‐GMショック他」から脱却。次のステージにあわせた仕込み期間到来。

★Market Navigator: “Catch 22”*‐焦燥感強まるが‐自分を信じること
GMショック前のポジションに戻す動き活発化‐米FFレートのピークを探る展開。6月29日‐30日のFOMC利上げ確認。現在の3.00%から3.25%への上昇へ。FFレートのピークの時期と水準探り本格化。FFレートのピーク水準・年末‐4.00‐4.25%(JPMorgan他)に対し3.5‐3.75%ピーク・年末という見方に分かれている。米10年国債は、3.91%(Inflation Indexed 10yr Treasrury1.84%、コアCPI約3%もヘッジできないレベル)一方、世界の鉱工業生産IPインデックスは調整局面から脱却する兆候も。予想以上に生産活動が活発化した場合、FFレートの適正レートを5%程度という雑音にも耐えざるを得ない。

フラット化するイールドカーブの中で「リスクを取らざるを得ない状況」‐グローバルマネー運用のベンチマークになる米国の現状。G7各国の中央銀行は、財政リスク、金利上昇リスクを積極的に市場に転嫁する動きを活発化?。一つは、日本の50年国債発行の噂、財務省筋は否定するが、フランスは2月に50年債を発行、英国は5月に30年債よりも低いクーポンレートで50年債を発行。ドイツは5月27日に50年債の発行を決定している。低金利の間に資金調達を決めるのは市場で生きるための常識。インフレリスクと債券価格リスクを取りたくない投資家にとっても厳しい状況。先日入札が決まった日本の10年物価連動
債クーポン0.5%、入札倍率2.51倍(前回04年12月、0.5%と同じだったが入札倍率は3.58倍、04年6月はクーポンレート1.1%、入札倍率7.52倍)。かなり食傷気味。主要国の財務省が現在の長期金利をチャンスと捉え、リファイナンスを加速化する一方で、将来のインフレにも備えているようにも思えるが考えすぎだろうか。長期償還期限、低クーポン債が販売不振に陥る時が次のターニングポイントか。

★マーケットの犠牲者‐Marin Capital to close, ($2 bil. Assets under management) saying “lack of suitable investment opportunities in current market” ニッチを狙ったヘッジファンドも厳しい。
朗報‐個人金融資産ポートフォリオ見直し本格化‐6月15日に日銀資金循環統計によると、3月末時点での個人が保有する現金・預金が前年比‐0.5%減、776兆円、1980年度に調査を開始して以来始めて減少。全体の個人金融資産は、1,416兆円、2000年以来市場2番目の水準。定期預金が540兆円から524兆円縮小する一方で、国債(個人向け国債含む)が21兆円、対前年比+47%増。最近の投信販売動向、配当利回りに対する声を聞いていると来年の同調査では、投信や株式のウェイト上昇が数字で明らかになると思われる。毎月分配型、インカムファンドの中には運用残高が1兆円を超えるファンドも珍しくない。

★1.Technology Insight/Optical Networkの挑戦‐第2幕スタート
歴史は語る:日本は世界が注目する通信アプリケーション市場‐マルコーニ(Marconi)が無線通信の実験に成功したのが1895年(わずか2.4Kmの距離)。1901年にEnglandとCanadaでの大西洋を超えてモールス電信の実験に成功。無線通信機の威力を証明したのが日本‐マルコーニの実験に多大な興味を示し‐当時の海軍技師、木村駿吉が三六式無線機を開発、船舶無線機として活用、1905年5月27日、五島列島沖で警戒にあたっていた「信濃丸」より「敵艦隊見ユ」と電信。当時戦力としては、ロシアバルチック艦隊の半分の戦力も持たなかった日本だが、世界に先駆け、しかも殆ど商船に世界に類を見ないような最
新機器を搭載していた。旗艦「三笠」より「本日天気晴朗ナレドモ波高シ」と電文を発信。残念ながら1912年4月10日のタイタニック号の氷山回避には「無線電信機」は十分に生かされなかった。

市場がそっぽ向いたOptical Networkだが、起業家がそのインフラに着目、今また復権の兆し
無線通信の歴史に比べOptical Networkはせいぜいこの20年、筑波万博で「ISDN,Integrated Services Digital Network」実演が行われ学生時代の筆者(筑波
博の会場から)が大阪の中継所の人と映像と音声の両方で会話が出来た時は感動した。それから20年、FTTHが主流になると言われながら、ITバブル崩壊、ADSLの台頭によるビット当たりのデータ通信価格の下落、いつしか光ファイバー熱は市場では完全に冷めてしまった。しかし、日本中に敷き詰められた光ファイバーインフラは、世界でも類を見ない規模だ。このインフラを低料金で使うビジネスが今、復活しつつある。現在取材中のため具体的なことは、控えたいがデジタルコンテンツ(アナログからデジタルへの変換、多くの企業が赤字垂れ流しているが、一部の企業が黒字転換。VODも夢ではなくなりつつある(一部では採算は合うことが実証されている)。これまで醒めていたインフラ会社がITバブル以来の投資に動きはじめた。象徴的な動き、東京電力のパワードコム、今期も前期に対し2倍440億円の投資、同社の情報・通信事業の今期同部門営業利益は、420億円の赤字。同社はライブドアと組みWLANと組み合わせた事業を展開すると明言。コンテンツ、インフラ、部材(通信系半導体の躍進‐時期を見て紹介したい)、ソフト充実、ハード(部品含む)のコストの低下。ビジネスチャンスを求める起業家から見て魅力的なビジネスモデル、Valueチェーンから見てチャンスと映っている。例:Livedoor WiFi, JCOMのc-LINKを使った100メガサービス。

★2.関連銘柄、WDM-LAN-ADSLとFTTHのコラボ
高額な光アンプやカプラーが売れるとは思わないが比較的安価な製品が登場しつつある。市場関係は冷めてしまっても技術者や研究者は、じっくり研究を続けてきた。
住友電工(5802)Y1,158、時価総額:8,782億円、PER:17倍、
http://www.optigate.jp/ ITバブル崩壊後も地道に研究開発と投資を行ってきた会社。ボトルネックになっていた光ファイバーの接続技術の勉強会、セミナーをエンジニア向けに開催してきた。プレアム機器だったラマン増幅器や高額な光レーザー増幅器については大きく見直し、実用的可能な分野に経営資源を投入してきた。例えば恵比寿ガーデンのABFシステム、汐留メディアタワーの大規模光LAN事業などを推進。
京セラ(6971)Y8,350、時価総額:1.6兆円、PER:19倍、同社の同様だが、同社の位置付けは市場ではやや「ミニ総合電機」、「民間の産業再生機構」とも揶揄されるほど破綻した事業、企業の再生を行っている。コピーのミタほか、「困ったことがあったら京セラさんに相談しなはれ」と関西では言われる。しかし、投資家として見逃してならないのは、「相談役、知恵袋」としての企業のポジショニングである。相談を受ける側には、莫大な価値のある情報がただ同然で入手できる。成功例よりも失敗例の中から価値のあるものが生まれることがある。http://www.kyocera.co.jp/prdct/semicon/index.html 同社の抱える半導体・光通信部品をみると、光センサー、カプラーなどオプティカル機器のパッケージ材(有機、無機)保有。EV/EBITDAで8.7倍、OPMも8.5%、デジカメなどからの撤退を決める英断のできる企業。他にも中堅、小型企業で健闘している企業は多くあるが、まだ調査中である。

★3.素材産業:悪材料、/世界の限りある資源を貪り食う国々‐例“セメント危機”

世界の素材メーカー株が5月に何もなかったかのように反騰開始。戻りピッチについては各社それぞれ固有の材料、需給要因を抱えるが、何も変わらないのが「人の性」。豊かな生活を求める米国、ドル借金をばら撒きながら世界中からより安価なものを調達、政治的な圧力も併用しながらライフスタンダードを切り上げることに注力。BRICsやそれを追うASEAN諸国、旧東欧、最近ではアフリカ諸国も生活水準向上を美徳とする。必要なものは素材だが、京都議定書発効により先進国(除く米国)及び消費地に近いDevelopedアジアで工場の建設ができなくなってしまった。このシリーズの5月9日号でセメントについて触れたので、そのフォローアップとして紹介しておくと、6月7日にWBCSD 世界主要企業
約170社で構成されている「持続的開発に関する世界経営者会議」のセメント部会でリーダーの仏ラファージュ(セメント世界最大)、ベルトラン・コロンは「環境対策と経済成長の両方を追求しなければならない」と発言。先週15日の朝のCNBC放送でも“Cement Crisis”が報道されていた。米国は国内セメント需要の25%を輸入に依存。タイなどからの輸入がアジアの経済成長で「不足気味」と報道されていた。中国景気のスローダウンが叫ばれている一方で中国での自動車販売が過去3ヶ月弱気アナリストの見方を上回って推移している。今年の夏、北京、上海大停電というリスクも覚悟しておきたい。素材産業から加工メーカー、そして最終ユーザーにタイムラグをおいて価格転嫁されていく。素材で固められた建築物の価格が上がらないという意見には筆者は疑問符を付けたい。寡占化の動き‐例、インド人企業家ミタル・スティールは世界最大となった。集約化の動きはもう誰にも止められない。

★3.Consumer & Service/‐心と体の健康そして「美」を追求
富裕層の話題(先週)にはかなりの反響をいただいた。人口の数%を狙ったビジネスはまだ日本でスタートしたばかりである。純富裕層を含めると更に数%存在する。これまでマスマーケット、景気が悪いから売れない、所得が伸びないから売れないという考え方とはほど遠い世界があることを日本の多くの企業が見過ごしていいただけである。お金のある処にお金が集まるのは全く不思議なことではない。お金の本質を掴むこととどう付き合っていくか「学校の教科書」には全く書かれていない。お金の使い方、楽しみ方、投資・運用などは、「貯蓄及び倹約」を美徳とする世代から見れば、「禁じ手」だった。今後も富
裕層の行動様式、考え方の変化についてフォローアップしていきたい。興味深い現象‐事例を紹介、究極の淑女‐東京都内の高級シティホテル(一泊一人3万円以上)に女性が一人で宿泊、エステ、マッサージ、食事などを組み合わせたサービスが好評。以前からセレブの間では好評。口コミや雑誌が報じたことから広がった。最近では比較的宿泊客の少ない時期、曜日に特別料金サービスを開始しはじめたことから雑誌でも話題になった。地味婚の終焉‐これまで「地味婚」が主流だったがこれも変化、ゼクシィ(リクルート)が出している「結婚トレンド調査:首都圏平均」では97年に452万円、2002年には337万円まで低下したが、最近のソニー生命の調査(結婚から新婚旅行まで)では374万円、2003‐2004年にかけて底打ち傾向にある。恐らく2005年は、400万円台を回復していると見られる。プチセレブブームの兆し‐これまでの団塊・シニア世代に圧倒されていた若者(20代後半‐30代前半)Generation Y-Generation X(団塊ジュニア)の間でプチセレブを楽しむ層が出てきている。男性では、高級乗用車、機械式時計、身の回り品、アクセサリー、女性では、プチセレブのブログが出来るほどの盛況ぶり。富裕層がお金を使うようになると、似非富裕層も使いはじめる。縮小気味の中間所得者層は、2局化の選択‐決断。商品戦略、価格戦略、カスタマーターゲットを見誤ると大変なことになる。

90年代後半に1, 000万円を優に超える高級外車がユニクロの前に駐車してジーンズ、Tシャツ姿で買物に出かけるカップルを見かけた時は、「この国はどうなるのか」と思った。時代は変わり「けやき通り」あたりが高級外車とセレブの買い物を見学できる(終日)。犬の散歩やベビーカー押すのが「周辺住民である証」だとか「これで、よし」。
海外の例:韓国の例、2000年の結婚式費用(式と新婚旅行)KRW:929万ウォン(約93万円)2003年:1,522万ウォン(152万円)増加傾向。単純比較はできないが、中国の結婚費用の統計も探してみたい。
美の追求‐あるフランス系化粧品のエステクーポンが50万円(今はもっと高いかも知れない)、軽くマッサージの後、美白、ネイルケアなど、プロフェショナルなサービス、「そのレベルの会話」についていけるスタッフの供給力には限界があり、その存在も知る人のみ。ヘアケア‐例えば、バーニーズ銀座の3階にあるKakimoto Arms銀座店(美容室)はヘアカラーブームを創りあげたリーダー的存在。田谷(4679)も90年代に低価格化業態「シャンプー」が話題になったが採算悪化。現在、グランド田谷(銀座店)で客単価3万円を目指す。ヘアケアGoods&Serviceの良し悪しは、値段に比例する。使用するヘアケア用品、サービスの提供側の技術次第。安くて最高のものはこの世の中にない。

男性向けの美の追求‐約2年前にメトロセクシャルを特集したが、日本の男性‐特に富裕層の男性は、それらしくなりつつある。現在調査中だが、グランドハイヤット東京のスポーツクラブ(プールに著名な男性が優雅に泳いで、男性用エステも充実しつつある)。青山にあるスポーツクラブにはネイルケア、フェーシャルケアもあると聞く。韓国ドラマの男優にお株を奪われてしまったが、失地奪回には、たくましい体、マナー向上、知性、清潔感ある身だしなみが求められる。これらのサービスを提供できる上場・公開企業を見つけるのに苦労しそうだ。日本男性の評価は国際的に低く地位向上には自らも含め要切磋琢磨。

個別銘柄研究
現在調査中、昨年の猛暑効果でUVカット効果、スキンケア用品が例年以上に売れており、今年は、自然体でいけば対前年比マイナスの可能性。新商品効果一巡も考えれば、投資タイミングには、注意を要する。新価格帯の新商品がラインアップされるころにその話題も含め報告したい。

フォローアップ
不動産‐今年売りに出された主要物件はほぼ完売状態。一部、日当たり、環境の変化でキャンセルなども出ているが、そのような物件にも多くのバイヤーが訪れる。例えば、白金タワーの隣に完成したプレイス白金、目の前のマンション(まだ築20年弱)が突如「建替え」を宣言。眺望を失うと判断した契約者が相次いでキャンセルしたが、再募集したところ三井不動産販売が驚いたほどのキャンセル狙いの買い手が殺到。南麻布の希少物件、数億円もする物件ながら値段の高い物件から売れてしまった。

(菊川 半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

マーケットを切る!(44)

JUGEMテーマ:株・投資


■今週のキーワード
“The fewer analysts who follow a situation, the more pregnant its possibilities… if Wall Street hates a stock, buy it” by Martin T.Sosnoff。
祝ドイツワールドカップ出場決定‐頑張れ日本サッカーチーム。

Market Navigator: “Seesaw game” 終焉。
GMショックに派生した混乱の終焉。米ジャンクボンドの平均利回りが7.89%まで低下、5月17日の8.57%から68ベーシス低下。同時に反発した米ハイテク株にも好材料織り込み一巡。マグマが溜まっているのが為替市場。ドル高・ユーロ安、10日にはドル円も108.67、米国にとって重要なのはジャンク債市場の安定、株式市場への資金流入、輸入インフレの抑制。ドル高は一石三鳥か。旧知の友が「米の都合の良い方向にドルが動く」指摘。108.90/$がブレークポイント。

★1.Technology Insight/世界的にこの夏ホットになるWI-FI(ホットスポット)
この夏、ホットスポット(802.11b, g)が内外で話題になりそうである。以前このシリーズでも紹介した通り、日本国内で本格的に無線LANベースのブロードバンドがスタートする。週末にはライブドアがフジTVと共同でコンテンツサービスを開始すると表明しているが、同様に固定網、ラストワンマイルまで来ている光ファイバー(ダークファイバー)を活用したサービスが増えそうである。既にウィルコムのAir H(エアーエッジ)があるが、月間使い放題で7,000-12,000(125 k bps-256k bps 最低料金は2,000円前後からあるが、スピードが遅く、値段が高い。筆者も一時125Kbpsを使っていたが解約した)
 http://www.willcom-inc.com/p_s/charge/data/index.html
「ホリエモン」の格安価格サービスに期待したい。ソフトバンクグループや他のキャリアーも追随すると見られる。次世代ゲーム機がWirelessアクセス機能を搭載することから、家庭内Wireless LAN, 屋外でのWireless LANをこの機会に広めようというハードメーカー、キャリアー、コンテンツメーカーの思惑にも合致する。

★技術:IEEE802.11b, g, MIMOが2.4GHz帯、最大伝送速度、b:11Mbps、g:54Mbps、MIMO:108Mbps、伝送距離は約100m、既にワイヤレスTV,キーボード、マウス、ホームシアター、ヘッドフォン、プリンター、等で使用が可能な製品が増えている。無線LANセキュリティーも整備(設定しないと駄目だが)されている。3年前に「ホットスポット」を常設する気運が国内で高まったが、一部のマスコミ(キャリアーからの圧力と筆者は見ているが)がセキュリティーの弱さを指摘、「コールドスポット」になった。
★海外事情1例:米:WI-FIトラフィクが激増‐T-Mobile(Deutsche Telecomの一部)が運営するホットスポットのトラフィクが激増中。昨年に比べてアクセス数が800万倍。過去3ヶ月間で約300万人が契約。先月のトラフィクは17兆バイト、04年12月の10兆バイトに比べ70%増。802.11bを使ったワイヤレスブロードバンドサービス、月間$29.99、セキュリティシステムを強化、ラップトップやPDAからのアクセス、国内外でのサービスが可能(海外はローミングアクセスチャージが必要)。使い勝手がいいことと積極的なマーケティングが功を奏している。http://www.t-mobile.com/hotspot/services_plans.htm
次世代ゲーム機‐E3で発表された次世代ゲーム機のスペックを見るとワイヤレスLANが基本。

★Microsoft Xbox360(05年11月発売予定) 2.4GHz Wireless, 500MHz (Graphics Clock Speed), ATI製、Memory 10MB Embedded DRAM (512MB UMA), IBM PowerPC CPU(3.2GHz 3 cores), Memory Bandwidth (22.4GB/s), Multi-channel Output.
Sony PlayStation 3 (Spring 2006): Bluetooth Wireless, 550 MHz (Graphics Clock Speed), 256 MB GDDR at 700 MHz (memory), Cell processor (3.2GHz),Dolby 5.1, DTS, LPCM.

★2.関連銘柄、馴染みのある銘柄
LANに対する基礎知識:LANアダプター内蔵型PCや周辺機器(プリンター等)が標準化されつつある。USBアクセスのプリンターも無線プリントサーバー(無線LANのタワーのようなもの)を付ければWirelessになる。デジカメ、プリンターの配線が不要になることは使い勝手が良い。

★無線機器に不可欠な部材:フィルター(電波のソート、ノイズカット、この技術で性能が決まると言っても過言ではない)、有名なのが村田製作所(6981)Y5,610、時価総額:1.26兆円、PER:25倍、双信電機(6938)Y948、時価総額:145億円、PER:15倍、アクセス機器メーカー:LANカード、ターミナル(1万前後から3万円くらいまで):メルコホールディングス(6676)Y2,330、時価総額:607億円、PER:19倍、アイ・オー・データ機器(6916)Y1,030、時価総額:152億円、PER:47倍、アンテナ(内蔵型、外部):日本アンテナ(6930)Y900、時価総額:128億円、PER:17倍、ヨコオ(6800)Y1,048、時価総額:218億円、PER:20倍、マスプロ電(6749)Y1,010、時価総額:205億円、PER:50倍

★カニバリ?:ヒロセ(6806)、日本航空電子(6807)、山一電機(6941)、ケーブルやソケットが従来に比べて減るというロジックが成立つが、アクセスポイントや機器との接続がなくなるわけではないので、それほどマイナスになるとは考え難いが、マーケット関係者からはカニバリリスクを指摘されるだろう。

★3.素材産業:悪材料、/ガリ砒素、希少金属、‐初夏の正夢?‐
主力の鉄鋼、石油化学株の調整はまだ続きそうである。台湾のFormosa Petrochemical (6505 TT)、Formosa Plastics (1301 TT) LG Chemical (051910 KS)などの株価が若干反発しているが、ダウケミ(DOW)、POSCO、など主力銘柄は、世界景気と中国情勢(元の切上げ観測に伴う買い控え)を睨んで膠着状態。株式需給とスポット市況を別にすれば、中期・長期の製品需給の逼迫感に大きな変化はなさそうだ。
明るい材料は、上記の無線LAN、ワイヤレス化で注目され2000年初めに供給過剰となったCompounded semiconductors, ガリウム砒素などの希少金属メーカー。自動車の軽量化にBluetoothが利用されるという見方まで広がった。制御系ではまだ信頼性の問題があるが、AV系、通信系にはBluetoothが自動車にも利用される方向で検討されている。住友電工(5802)、日立電線(5812)、三菱マテリアル(5711)住友鉱(5713)等、通信系インフラ系素材は、無線LAN、無線ギガビットイーサーネットなどで話題に。

★4.Consumer & Service/「希望格差社会」‐新日本階層社会を見通す‐宝の山
「希望格差社会」(山田昌弘著、築摩書房)「日本社会は、将来に希望が持てる人と将来に絶望している人に分裂していくプロセスに入っている」と同著者は指摘。フリーターでも車やブランド品を持っている日本だが、表面的な豊かさの裏側で進行しているのが「希望格差」。最近の堅い雑誌、書籍、新聞を読むと不平等度(ジニ係数、高いほど富の偏在化を表す)が上昇しているという指摘が目立つ。

感受性の強い時期に米国に長く住んだ筆者から見れば、日本が異様だった。American Dreamは、”Get Rich Quick”ビルゲイツ、スティーブン・ジョブ、ジョージ・ルーカス、会社を起業して最も高いところで売るのが美徳。欧州(西ヨーロッパ)の人は、“Get Rich Quick”という表現は全く理解できないようだ。元々が階層社会で、何処の家庭に生まれたかでほぼ人生が半ば決まってしまう。英国人の場合だと、一言英語を話すだけで「社会階層、家庭、教育水準、将来のポテンシャル」まである程度見透けてしまう。

まだチャンスが多い日本:日本は、敗戦後、財閥解体、農地改革が行われ、戦後のインフレ、高度経済成長、バブル期を経て「株・土地」を保有していれば資産家に位置付けられ「資産運用」という能動的なものを求められなかった。戦後の労働力不足と習熟度を求められる第二次産業育成のため終身雇用・年功序列が永久的に機能するかのような幻想を作り上げてきたが、90年以降のバブル崩壊、少子高齢化により、将来不安を指摘する人が多く、富の格差に関するメディア番組、記事は視聴率、出版物とも良く売れる。「閉塞感」をネタに美味しい思いをしてきた人にとってホリエモンや「推定100億円の年収」を稼い
だとされるファンドマネージャーの登場は、サプライズだったことだろう。チャンスは無限!

★日々億万長者台頭:現在ITバブル以来の連日億万長者出現ラッシュと聞けば違和感を持つ人も多いかもしれない。昨年158社、今年は恐らく160‐170社も上場・公開企業が出てくる。6月だけで21社、営業日換算ではほぼ1日1社、つまり毎日億万長者が数10名生まれている。一攫千金を狙うのであれば、ホリエモンの言うように粗利が高く、参入障壁が高く、誰もが無理だと思っている事業を興せばいい。視点を変えれば、ビジネスチャンスは数多い。全体の景気、万人が報われる社会をイメージしているとビジネスチャンスはかなり狭まる。中間所得者層をターゲットにしたビジネスは米国でも苦戦中。視点を変えるべ
きだ。ある特定のニーズ、需要を見込んだビジネスのほうが勝機が高い。

★日本の富裕層研究:筆者は、この半年から9ヶ月間、知人に頼んで日本の富裕者層が数多く集まるイベント(六本木ヒルズクラブ、City Club of Tokyo, 伊勢丹の丹勢会、逸品会等、特別な催しに参加させてもらった。「日本のお金持ち研究(橘木、森著)日経新聞社」を読んでもイメージが掴み難いが、実際に会ってどんな人達で、どんなことに興味があり、何を望んでいるのか探ってみたかったからだ。若手経営者の集まるような会合やパーティを除くと、比較的シニア層が目立つ。独特の風貌、ファッション、言葉使い、話の内容を聞いていると日本にも本格的な階層社会が到来したことを実感する。一方で、新興
富裕層の参入も見られ、年代、関係業種、教育水準の違い、地縁、保有資産の内容によって、富裕層の中での格差もこれからだと思った。彼らが求めているGoods & Service、株式市場で今後中長期的にテーマになりそうなものに着目してみた。内容としては、過去1ヶ月くらいに取り上げたものを深堀したようなものになるが、フォローアップとして読んで貰えれば光栄だ。

この夏、日本でレクサス(Lexus)がトヨタから発売になるが、車の販売だけではなく、富裕者層の発掘とパートナー(資産運用、サービス、ほか)をレクサス部隊が狙っているのは明らかである。課題は、富裕者層は、既に自家用車を保有していることと、対応する人が富裕者層の趣味・趣向、ニーズに素早く対応(対応できるデータベース情報を持っているかどうか)できるかどうかである。

個別銘柄研究‐心と体の健康を求める富裕層‐Top priority"Health & Beauty"
富裕者層(一般的に金融資産で100万ドル以上、年間家計収入が25万ドル以上、金融資産や不動産からの配当、運用益含む)、人口構成比の1‐3%をターゲットに成立つビジネスがタイムシェアリゾート、米国の例(バロンズ誌の6月4日付記事に出ていた内容の一部に筆者が加筆)米家計の約300万世帯が490万週分、1,600タイムシェアリゾートを保有。(Bear Sterns, lodging analyst Joseph Greff)人口動態では40‐55歳の世帯がアコモデーションの質とサービスを考えてタイムシェアを求める。Greff氏は現在75億ドルの同市場は、10年後には420億ドル(5.6倍)になると試算している。
http://www.escapehomes.com/ EscapeHomes.comを見ると日本で同様の試みを行っている企業が幾つか気になる。豪華別荘、大型クルーザー、海外避暑地を保有できるのは、極僅か。節税・相続税対策を実行しながら、年間キャシュフロー範囲内で悠々自適な生活を考える富裕層にとって有意義なプラン。(別荘の場合、管理・維持費の支払いから、身の回りの世話、食事、掃除、洗濯などを専属のメイドが全て行ってくれるほどのコストを負担できる層となると、それだけで年間10万ドルを超える)アメリカのホテルチェーンは早くからこのニーズを捉えていた。Marriott International (MAR) の営業利益に占めるタイ
ムシェアの割合は25%、Starwood Hotels & Resourts Worldwide (HOT) 19%, Hilton Hotels (HLT) 12%この3社で約75%のシェアを保有。これらのホテル株は、米景気がスタフグレーション的な状況の中でも株価は堅調。MAR: +8.9%(YTD)HOT:‐0.9%、HLT:+7.9%、NASDAQ:-5.2%、DOW:‐2.5%、S&P500:‐1.1%。出会った多くの日本の富裕層が最も関心を寄せているのが「心と体の健康」と「美」の追求だった。治安の問題、一般社会からの嫉妬の目や言動、仕事や個人の悩み(資産管理、税金等)、そして年と伴に衰えていく健康への気配り、一般医療サービスへの不満と個人診療への欲求。これらを満たすビジネスは、有望である。「美」については、今後改めて調査するが、X万円の化粧品が売れる謎は解けた。リゾートトラスト(4681)Y2,920、時価総額:850億円、PER:18倍、同社は、会員制リゾート、エクシブ(年収1,500万円以上の企業経営者を対象)する一方で、http://www.resorttrust.co.jp/data/b01_01.html ハイメディク事業を新たな事業ポートフォリオに入れている。ハイメディク山中湖倶楽部が第一弾だが、忙しく健康診断を受ける時間がない。多忙で疲れ切った状態で受ける健康診断結果がどれほどショッキングなものになるかは、知る人ぞ知るところである。ハイエンドメディクでは、高度医療診断機器を採り入れ、リゾートを楽しみながら検査を受けるシステム。2004年5月にスタート、前期実績売上高:34億円、OP:9億円、OPM:26.5%。2005年8月には、ハイメディク大阪を開業する予定。スタートしたばかりだが、売上構成比5%で全体の営業利益の10%を稼ぎ出している。
★エクシブ会員権事業:売上実績264億円、構成比35.6%、OP:53.4億円、構成比:9%、OPM:20%、エクシブ京都八瀬離宮の会員権を04年10月から販売(06年12月開業予定)お台場の「ベイコート倶楽部」なども今後期待できる。レストラン事業:売上:381億円、構成比:51%、OP:16.3億円、OPM:4.3%、ゴルフ事業:売上:50億円、構成比6.7%、OP:4.53億円、構成比:5%、OPM:9.1%、その他。売上11億円、OP:6.67億円。筆者が調べたところでは、今後5年間で売上は5%程度、営業利益では、10−15%の伸びが期待できるのではないかと思われる。多少注文をつけるようだが、ゴルフの大衆化に伴い、浜名湖のような「海」手軽なクルージング例えば、鯨見学(Whale watch)、若手企業家及び潜在的な利用者拡大と差別化の維持が課題であることは言うまでもない。リゾートトラストのValue:時価総額:850億円、Debt:443億円、現預金:306億円、EV:987億円、今期OPを100億円と想定、減価償却(732億円の有形固定資産を保有)が50億円程度とすると、EV/EBITDAが6.5倍。マリオット(MAR)のEV/EBITDA:25倍、スターウッド(HOT):同15倍、ヒルトン(HLT):13倍に比べ半分以下。OPMで見ても同社:12.1%、マリオット:4.7%、スターウッド:11.5%、ヒルトン:14.8%と遜色ない。ROAが2%と低いと指摘さ
れているが、マリオットの7%、スターウッド:3.2%、ヒルトン:2.9%に比べ格段に低いとは言えない。時価総額の36%が現預金というのも割安感がある。
★東急ハーベスト/東急不動産(8815) Y472 2,180億円、PER:54倍*減損、来期:10倍1月14日以来何度か同社の名前は紹介してきたが、今回は同社のリゾート事業(年収1,000‐1,500万円の勤労者を対象としている)2005年3月期のリゾートビジネスは営業利益12億円、全体に占める構成比は、僅か3%に過ぎない。同社の新規中期経営計画「Value Growth 2007」では2008年3月期にリゾートの比率を8%、40億円を見込む。同期間の全体の営業利益を403億円から500億円と3年間で約100億円しか見込んでいないが、一握りの富裕者層よりもっと広い。国税庁の統計から見て、年収1,000万円‐1,500万円の層は全体の
5.7%を占める。対象者は257万人(課税所得支払人口を4,500万人として)リゾートトラストの対象者(年収1,500万円以上)を同様に計算すると対象者が138万人の2倍。ハーベストクラブhttp://www.resortservice.co.jp/ 東急ハーベストクラブ那須の募集がスタート。募集価格が419万円。http://www.harvestclub.com/Ha/Hotel/Ns/index.html 東北新幹線那須塩原(東京から72分)駅から車で30分。7種類の温泉、18ホールの那須国際カントリー、茶臼岳、ハイキングコースなどの他、会員だけの特典(他の施設を利用できる)などがある。

★格差が開くなかで一般庶民はどのようにして心と体の健康を求めるか‐幾らでもある家計診断データなどを見ると、所得階層で最も人口が多いのが申告所得額300‐400万円、全体の13.57%を占める。話題になった年収300万円以下(申告所得が300万円以下と理解すると)は全体の37.3%占める。どのように豊かに感じるかについては、著名な本を書いた森永氏(印税で3,000万入ったと豪語されていたが)に聞くしかないが、日本にはフローの所得は300万円以下でも不動産や相続でフロー所得の10倍、20倍ものストックを持つ世帯もある。フロー所得の面での格差は明確でもストックベースでの格差是正は、今後10‐
20年の長い月日の中で「相続・事業継承」という形で行われる。フロー所得ベースで年収300万円以下でも、ストックベースでは億万長者という人も少なからず存在する。街をさまよう「ニート」君が実はストックベースで将来億万長者になるかも知れない。本人が知っているかどうかも不明。ただ言えるのは、お金をどのように増やして良いのか、お金とどう付き合っていけばいいのか、教えてくれる機会は日本には乏しい。リゾート会員権や特別な施設がなくても、日本の美しい四季、地方の特産品、街角の音楽、少し歩けば、懐かしい街並みを見ることができる。15名のうち1名が「うつ病」を患っている日本。フロー所得、ストックに関わらず誰にでも病気にかかる可能性がある。所得・資産と平均寿命の関係を見たことがあるが、まずはそのようなデータを見ないほうが健康に良い。手ごろなマスマーケットを狙う会社も既に業績を伸ばしている。公開・上場の日を期待したい。

★補足:海外リゾート会員権、相続対策に売れているそうですが、バブル期と違い、Due diligenceを行う人が増えているそうです。利用価値、資産価値、Cash flowという概念定着してきました。

(菊川 半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

マーケットを切る!(43)

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■今週のキーワード
“The measure of success is not whether you have a tough problem to deal with, but whether it’s the same problem you had last year” by John Foster Dulles (Secretary of State under Eisenhower, 1888-1959).

★Euphoriaの終焉か:
仏と蘭がEU憲法批准を国民投票で否決されユーロ(対ドル)1週間2.9%下落、対円で52週最安値131.72(昨年末139.10、この1ヶ月間で約6%円高、ユーロ安)EUの構造問題(グローバル化の波、失業問題、安価な輸入品流入、産業の空洞化、社会保険・年金問題、富の偏在化等)が急浮上。
2002年末にユーロ・ドル、1.00から04年12月末に1.3554にまで上昇(ユーロ・円では124‐140)。統一通貨、制度、米国を上回る経済圏、labor mobilityの拡大期待が生み出したユーロバブルに転機が訪れた。
Italian Welfare Minister Roberto Maroni, a member of the Northern League party, suggested Friday “reintroducing the lira” 地域格差が広がり、通貨統合とEU拡大による弊害、保護貿易導入に向けての動きが顕在化しそうである。ユーロ安とEUの保護主義、ポートフォリオの調整は懸念されるが、悪材料ばかりではなさそうだ。

Behavioral Finance Part 2, The Future of Success「勝者の代償(日本語訳)」by Robert B. Reich(ニューエコノミー論を書いた著者)
90年前後を境にグローバル化、IT化の波が押寄せ社会的な不安定現象が先進国の共通の問題となっている。この著書の中で21世紀(ニューエコノミー時代)を生き抜くための2つの資質が書かれている。ライシュ教授は「変人」と「精神分析家」という2つの資質をあげている。

言い換えると才能と世の中を見通す力である。「変人」とはある特定の媒体において新しい可能性を見つける能力を持ち、限界を検証し、新しい問題点を発見しそれを解くことに喜びを見出すような人と定義している。「精神分析家」とは他の人々何を求めているか、市場の可能性を的確に把握する能力をさす。これら2つの能力が適度に身についていないとニューエコノミー社会で地位を確立するのが難しいと指摘している。各業界の中で一風変わった人や預言者的な人が活躍しているのもこの能力のおかげ。

今の日本社会・市場を見ると、90年代後半に「終身雇用、年功序列」というフレームワークが崩壊。戦後約60年間に機能していた「日本独特の常識」が揺らぎ、政治、経済、文化、芸能に至るまで大きな変化が起きている。小泉総理、竹中平蔵大臣、ホリエモン、村上ファンド、韓流ブーム、萌銘柄、M&A旋風の現実化、宮里藍旋風に至るまで、10年前の「常識」では考えられないことが起こっている。今後も、堀江貴文氏の著書「儲け方入門(PHP)」にある「誰もがダメだと思って手を出さないことに手を出す」と明言。この夏にも新たなサプライズを示唆しているが、日本にも奇才をもった「変人」「精神分析家」が豊富に存在し、巨額の富を生み出していることに世界の市場関係者は、まだ十分に消化できていないように思う。今後、医療制度改革、公務員削減、巨大な公的機関の規模縮小も現実化しつつある。

マスコミのヘッドライン分析、例えば「500万円で3億円を稼いだ」株式投資の成功例、株式投資経験の浅い評論家が持て囃される事例を見ていると明らかに東京市場も5合目を過ぎた感はあるが、頂点に近いところは、常に「熱狂」が起こる。まだ其処まで達した感はない。
通貨アロケーション:拡大EU(米国以上の経済規模)に対する信頼、2000年のITバブル崩壊以来続いてきた「強い通貨」に対する信頼が揺らぐ可能性がある。本格的な夏休前に、通貨ヘッジ、アロケーションの変更(ドル、円、ポンドなどにシフトバック)の可能性もある

日本に10年遅れで到来したEUの構造問題:硬直した雇用契約、週48時間労働、企業年金積立過不足、社会保険制度の見直しが迫られるなかで、ドイツの失業率が10%(失業給付の方が雇用されるよりも待遇がよいケースなども発覚)、未発達な直接金融、コーポ‐レートガバナンス改革など一部の国で遅れが目立つ。EUのグローバル企業は、旧東欧、中国・アジアに進出。何処かで起こったことによく似ている。大陸特有の問題として大量の不法滞在移民、民族紛争、地域間格差の拡大などがあげられる。

グローバルポートフォリオの見直し:ユーロが弱くなり、競争力回復という視点からは大きな資金移動があるとは考え難いが、一部、通貨が強くなるドル、円、アジア通貨建ての資産シフトは起こるだろう。

日本株式市場へのインパクト:マクロ要因を重視するファンドであれば、ユーロ地域での収益規模が大きく、EU企業とアジア、米国での競争関係が変化しそうな銘柄を入れ替える可能性がある。小森コーポ(6349)、マツダ(7261)、日本ビクター(6792)、コニカミノルタ(4902)、マキタ(6586)欧州向けが好調だっただけにユーロ高はマイナス、一方ユーロ高で悪影響を受けていた日立造船(7004)、大塚家具(8186)にとっては好材料視される可能性もある。

★1.Technology Insight/ Good & Bad news-局地戦続く
HDD市場に一部飽和感広がる‐第一幕終焉目前、一部に過剰在庫リスク高まる。6月3日にアップルコンピューター株が1日に‐4.6%下落。一部に過剰在庫説、バッテリー駆動時間表示に関する問題説(通常のiPodで12時間とあるが、ユーザーの一人として感じるのはその半分以下か)そして競合品が相次ぐ。

IPod ファミリー:iPod shuffle 1GB 240曲、最長12時間、22g、表示価格:16,980円、iPod mini:6GB、1,500曲、最長18時間、103g、27,800円、iPod:20GB 5,000曲、12時間、158g, 32,800円、iPod photo:60GB, 15時間、183g、49,800円、大手量販店で1割強安く買える他、ソニー、東芝などの競合メーカーが相次いで参入。アップル固有の競争力についてはフォローしていくが、携帯端末がMP3プレーヤーとして普及しはじめており、HDDプレーヤーへの過剰期待はややリスクが高い可能性がある。この夏に2GB、4GBの容量を持ったフラッシュメモリー搭載型のiPod shuffleが登場する予定。HDD対NANDフラッシュメモリーの競争(重量、容量、駆動時間、価格等)は今後も続く。4−6GBのところはNANDフラシュに有利と筆者は見ている。フラッシュメモリー価格が下落にある。1G:128*8で8.04ドル、この1ヶ月間で-5%価格が下落、12ヶ月間で-45.3%。サムソンはDRAMからNANDフラッシュにシフトしている模様。中長期でHDD対NANDフラッシュの競争は続くが、昨年4‐6月をボトムに上昇してきたHDD関連株(TDK、ニッパツ、黒田精、HOYA、他)は第一幕を終了。

第二幕は、動画対応に迫られ更に大容量化、省エネ化が進んで登場する模様だ。一例としてソニーが発表(6月26日発売予定)したポータブルAVプレーヤー「HMP‐A1」3.5インチ320*240の液晶パネル、TVやPCとのインターフェースを持ち、PCにダウンロードしたテレビ画像を持って歩ける商品。MPEG4を使えば35時間分のTV番組を持ち歩ける。20GBのHDD、連続使用6時間、ハードディスクマルチプレーヤーの登場。値段が6万5,000円程度になる見込み。HDDの活躍の次の主戦場は、動画の世界。

インテル‐6月9日Quarterlyアップデート:
4‐6月売上、コンセンサス売上、89億ドル、EPS:28セントに対し、足許のPC出荷上振れ。Dualコア(945, 955などのチップセット)投入前に845、915などのチップセット(シングルコア搭載)などの在庫減らしに加えLCDパネル価格、DRAM価格下落でセットメーカーにとって利幅が期待できる状況。NPDデータからのSell-throughデータでは、ノートPCの販売が4月は、+40.3%増(対前年比)ASPは12.7%ダウン、$1,207平均。デスクトップは+1.6%(同)、ASPは‐7.6%ダウン。インテルにとって比較的単価の高いペンティアムモバイルMなどのプロセッサーが売れていることはプラス。Dualコアにシフト加速するために2005年設備投資、$56億を引き上げるかどうか再度注目される。パッケージ調達
に同社は、日本、韓国メーカーを訪問した模様だが、満足の行く数量確保が出来たかどうか疑問。各社とも稼働率が上がっているが、過去の反省から新規投資は慎重。台湾のNanyaやASEがどう動くか探ってみたい。

無線LAN/802.11b、802.11gベースのブロードバンド、携帯通信も夢ではない:既に1.7GHz帯(無線LANも活用)で携帯市場参入を表明している企業もあるが、さらにPowered Comと共同で無線LANをベースにブロードバンド、場合によっては音声通話もできるような試作を試みている企業も出てきた。実現すれば、村田製作所(6981)、メルコ(6676)、岩崎通信(6704)、双信電(6938)、ビーマップ(4316)アルプス(6770、モジュール)などにプラス要因となる。日本でホットスポットが、一部のマスコミの報道でコールドスポットになってしまっただけに期待したい。

ゲーム機とダブルチューナー/小型デジタルチューナーで注目できる企業‐アルプス(6770)とミツミ(6767)、今年秋から来年春にかけてゲームハード機が相次いで投入される。ダブルチューナー機能(一方でTVの録画、一方でゲームの画像を投影する機能)の有無。部屋の狭い日本でブレークしそうなテレパソ(PCとTVが一体になった製品)には、ダブルチューナーやデジタル放送受信機能を求めるユーザーの声は増えつつある。ワンルームや1LDKなら、「テレパソ」は使い勝手がいいかも知れない。携帯端末のTV画像取り込み、小型モバイル機器(前述のソニーのAVプレーヤー)などもTV機能が一つの売り込みになっている。上記2社は、高周波部品・ディバイスで先行。任天堂DSには、ミツミのMPUも搭載されている。

★2.素材産業:石化学、鉄・非鉄、内外企業の株価一進一退の状況

★3.Consumer & Service/情報収集中‐ネタは多いが切り札絞り込みが課題か
昨年秋から今年前半は、不動産、サービス、金融を中心に調べてきた。昨年に続きLuxury goodsについても時期を見てフォローしたい。人口動態の変化、世代間に存在する消費・サービスに関するセグメンテ‐ションなどもある程度調べがついた。今週は、最近、調べているネタの概要について少しふれてみたい。他にも、面白そうなネタは、沢山あるがまだ集積度が思うように上がってこない。

===
1.ネット・コンテンツ・サービスの銘柄。混沌としていたネットサービスビジネスも金融、消費、趣味・娯楽などTVの存在を一部脅かす程の存在になってきた。一般情報メディア・娯楽に甘んじてきたTV業界は、オンディマンドコンテンツ放送(TV放送業界が不得意な分野)に引きこまれつつある。市販DVDが500円(製作されたのが50年以上も前の作品)で販売され、レコーダーに保存されたTV番組は再生時には広告カット機能で時短と手間が省かれ、TV広告主から見れば、既存のラジオ・TVに依存していては賢明な消費者へ商品・サービス提供ができなくなるという危機感が芽生えてきている。効果的
に企業の知名度、商品・サービス提供頻度を高めるにはどうするべきか企業のマーケティング部門関係者は、これまでの「広告のあり方」を問い直しはじめている。
電通(4324)、博報堂(2433)、キー局を中心としたメディアネットワークの弱体化は既にはじまっている。新聞を購読しない若者世帯も珍しくない。ダウンロードした情報を携帯端末に入れて通勤途中にヘッドラインだけを見る手法は一部の「オタク」の技ではなくなりつつある。

2.スタグフレーションと小売業態:ウォルマート(WMT)の不振。YTDで‐10%の下落、既存店売上も1桁台前半を維持するのが精一杯。一方、ニーマン・マーカス、Neiman Marcus(NMG/A)の業績・株価とも堅調、YTDで35%上昇、同様にノードストローム、Nordstrom (JWN)も同様にYTD:+35%、中流プラスαの世帯を対象とするフェデレーテッド(Bloomingdale’s, Macys,等) Federated Department (FD)は、+17.5%。GAPなどカジュアル系が不振。一方、Talbots (TLB)は、健闘。メンズでは、The Men’s Wearhouse Inc (MW)が好調、アメリカ版青山商事とも言える会社、米国44州とカナダに400店のネットワークを持つ。子供用ではChildren’s Place (PLCE)も消費者と株主に支
持されている。靴では、Payless Shoesource Inc (PSS)。必ずしも高価格帯の店ばかりが好調でもなく、価格訴求力、買物客を引きつける創意工夫を行ってる会社が好業績、高株価パフォーマンスを示している。これから日本の会社を調べるが、大株主移動があった西松屋チェーン(7545)予PER:14倍、YTD:‐21%、5月の既存店売上は+2.2%(前年比)6ヶ月ぶりのプラス転換。グロース系からValue系に変わったのかどうか調べたい。日本の
専門店、SC(ショッピングセンターの中核企業として)出店要請がかかっており、費用対収益をどのように精査する模様。

3.ドラッグストア/米ウォルグリーンとは異業態?
最近、長年悲願だったドラックストアの経営者に会って大変落胆した。日本のドラッグストア業界を個々まで大きくした功績は認めるものの、大型M&Aには今一つ躊躇気味。ネットコンテンツの経営者やホリエモンに会った後だったからかもしれないが、気迫はまったく感じられない。また行政の壁も大きすぎる。米Walgreen (WAG)$45.9, PER:29倍、YTD:19.5%、過去5年間NP成長率が17%。調剤薬品の売上比率が60%、粗利が27%、OPMが5.7%、日本のドラッグストア大手と比べてそれほど利益率に差があるとは思えない。調剤薬局ビジネスが日本でもう一段規制緩和されるべきだろう。今年の夏の医療制度改革、混合診療制度、OTCドラッグの取扱い枠の拡大などに期待したい。

(菊川 半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

マーケットを切る!(42)

JUGEMテーマ:株・投資


■今週のキーワード
“When I talk to a company that tells me the last analyst showed up three years ago, I can hardly contain my enthusiasm” by Peter Lynch.

市場では、最近様々な噂が絶えない。南関東地震、ミサイル飛来説、総選挙、冷夏、米中貿易戦争、依然として燻るヘッジファンドの解約、大型企業倒産説、不安要因を吟味すると気分が沈む。地政学的リスク、自然災害は、免責事項。例年6‐10月末までは、より忍耐力が求められる時期である。”Sell stocks before Memorial Day and Buy them before Thanksgiving Day”などと言われる。市場参加者の行動様式、年中イベントを見ると興味深く、米国市場との連動性、人口動態、市場の流動性、効率化、Dayトレーダーやヘッジファンドの活動時期を考えるとその謎が解ける。

Behavioral Finance 検証-初夏編1: The Hirsch Organization Inc.が調査した結果、1950年から2003年まで、毎年5月初め‐10月末(期間Aとする)と11月1日‐4月30日(期間B)までの6ヶ月間づつに分け投資元本$10,000を”Six Months Switching Strategy”を使い株式投資(DOW30種)した場合のパフォーマンス検証データが興味深い。Aの期間に株式Bの期間に債券に投資した場合(前者)とBの期間に株式投資、Aの期間に債券投資した場合(後者)で比べると、前者:$9,682ドル、‐318ドルの損失、一方後者では、$482,060、+382,060ドルのリターンになる。

一般的に欧米の富豪、資本家、大口個人投資家、ヘッジファンドも5月‐6月までに1会戦を終え、「リサーチ関係者に宿題」を残し、実質夏休に入り、Labor Day(9月の第1月曜)前に戻り年後半戦をじっくり検討し、アクションをとる。彼らは「夏休と称して実は情報・意見交換」を避暑地、セレブの集まる社交の場で行う(夏のザルツブルグ音楽祭、ボストン郊外のTangle Wood、スコットランドの音楽祭、スイスとイタリアの間にあるコモ湖など)。欧米のファンドMgrは彼らのところに報告に行く人も多いと聞く。個人の富裕層も同様、例えばSaratoga Springsの競馬場、Las Vegas, ヨットでの航海、ロッキー山脈のTime Shared ホテルなど。筆者も大西洋上やSouth Hamptonのビーチから「What happens in Tokyo?」という電話を受けたことがある。筆者を含め大方のマーケットの雇われプロは、Volatilityの縮小、新規及び過去の悪材料・好材料を蒸返す市場参加者と共に毎年初夏、盛夏を過ごすことになる。今年は、「夏の宿題」が増えそうである。Stay tuned!

★1.Technology Insight/ Tech Summer Rally?
 過去34年間6月はNADAQが比較的強い時期である(+1.3%、Dow:+0.4%, S&P:+0.8%)ポジション調整ラリーは何時まで続く‐6月末までと思料。

FP-TVの普及率が10%を超えた。内閣府が実施した3月の「消費動向調査」ではFP-TV(液晶、PDP、リアプロ)の普及率が11.5%、DVD録画・再生機が28.7%、デジタルカメラ:46.2%、PC:64.6%、携帯端末:82%、便利な家電として伸びているのが、FAX:49.7%(昨年比+4.1)食器洗い機:21.6(比較無し)http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/menu.html#shohi 価格弾性値は高いという証だと思う。

JEITA、電子情報産業協会 http://www.jeita.or.jp/ 4月末の数字を見ても出荷金額が前年比+8.7%、FP-TVが+67.2%増、HDD搭載型DVDレコーダーが+51.5%(23.9万台、約85%がHDD搭載型)。30インチ以上のLCD-TVも92,000台(前年比+254%)PDP:35,000台(前年比+67%)
各社夏のボーナスシーズン(今年は+4.49%増)を目指し新商品を投入する計画。HDD搭載型カーナビ、デジタルハイビジョン対応FP‐TV、パソテレ、例えば、富士通の32インチ液晶TVモニター付きPCが39万円、PCとFP-TVを一体にしたものとしては画期的、白物家電でもいろいろ話題性のある商品に期待。台湾、韓国のハイテク部品メーカーからも4月に入り「活況取り戻す」という報告が相次いでいる。これらをどう分析するか、または運用に活かすかが、6月末までの勝負と言える。

★需給面:
過去2週間特集した通り、ハイテク株ショートの買い戻し期待とアンダーウェイトに落としていたBuy&Holdの投資家の一部がウェイトを見直すと市場は期待している。加えてニュースフローがポジティブな内容「稼働率回復、原材料価格上昇一巡、新商品比率上昇、在庫積み増し」など一時的な改善ではあるが、プレーヤーが少ない初夏の市場で少しの動きが増幅する可能性もある。
Behavioral Financeを用いた分析では、4‐6月期の改善は当然。
例えばHDDに関して言えば、昨年の4‐6月期がボトム。昨年5月月間のHDD出荷は推定2,250万台(年間3億台を割った計算)、現在(05年5月)は、推定約3,000万台、対前年比約33%増のペース。あるHDD部品は、対前年比約+43%増と推定される。この4‐6月か7‐9月が対前年比でピークという見方に変化はない。

シーゲート(STX)マックスター(MXO)の四半期決算が7月20日、21日、それまでに業績の上方修正を行うと見られる。
Hutchinson Technology (HTCH)$41.25(次ぎの四半期決算は7月22日)、同社はHDDドライブのバネ(磁気ヘッドのところに使うバネ)で世界の約50%強を占める。仕向け先は、シーゲートや東芝など最近伸びている小型HDDメーカーである。競合は、ニッパツ(5991)−HGST(日立)と富士通向けが80%超と推測。全てのPCにRAID機能(2台のHDDを搭載)が定着するとも考えられず、HDDの市場伸び率20%超はかなりの強気(PCが10%伸びるとして)と言えないだろうか。

LCDパネルも価格が安定、値段が安くなったので17インチ、19インチのパネルがPCメーカーに売れる。一時台湾メーカーは設備投資計画を先送りしているので足許の需給の改善は続く。しかし、計画を上積みして投資を再開しており、夏を過ぎてからの液晶パネル需給には注意が必要。

期待値上昇 ‐ 今年のBack to School sale及び日本の夏のボーナス商戦はそれなりに盛り上がるという期待が関連ハイテク株の上昇と伴に浮上。今年は、お盆明けから「ゲーム機」向けの受注も入っており部品メーカー各社にとって繁忙期が期待されている。第一弾として、「売れたか売れなかったかObon明けに連絡しろ」というのが夏の宿題(その1)になっている。

ハイテク株の2極化続く‐HDD、ゲームハード関係、パッケージ、電源、アルミ電解コンデンサーなど数量が伸びるところと、伸びないところ2つに分かれる。銘柄名に大きな変化なし。アイディアとしては、TDKのポジションを減らしアルプス(ゲームの部品)に一部シフトする方法もある。

反騰が期待される銘柄:
NOK(7240)HDD実装‐タイ工場超繁忙、エンプラス(6961)レンズだけが同社の強みではない。新しいCatalystとしてOFC事業(Optical Fiber Communication)05年3月期売上が5.8億円、今後2‐3年2倍近い伸びが期待される(ラスト1マイル向け光リンクのパッケージ)。

★2.素材産業:悪材料、需給悪化懸念、しかし株価は夏場に向け反騰へ
セメント株、太平洋セメント(5233)など株価は素材株全般の調整を受け5月26日に52週安値Y268を付けるが、出来高上昇。セメント全般では、4月の在庫水準が3.53万トン、1990年12月以来の低水準。
基礎化学株も底入れ、東ソー(4042)を例にとるとY415を底に出来高を伴い反騰、三井化学(4183)はエレクトロニクス向けの回復に期待も入っている模様。

頭痛の種‐鉄鋼株、インド、韓国での高炉建設計画、中国での流通在庫問題(詳細はあの国の場合不明だが、住宅・不動産バブルに対する中央政府の懸念から不動産取引税導入、融資に対する監視強化は事実、投機の対象になっていた鉄製品需要が一時的に冷え込んだ模様。しかし、「中国元」の切上げを拒む中国市場に「国際投機資金」は容赦なく流入している模様。理屈は以下の通り、「あれだけの貿易黒字を溜め込んで通貨を切り上げないと中国国内に滞留するマネーは増大。海外資金の流失(元の海外持ち出し規制)に歯止めをかけている一方で資金流入には雇用問題から「歓迎の旗‐北京オリンピックと上海万博
というイベント」は降ろせない。国際資本市場の常識‐元切上げが遅れれば遅れるほど、後の切上げ幅が大きくなる。中国の不動産は海外から見て投機市場(仮に不動産バブルが崩壊したらREITで運用できると考えているのかもしれない)、殆ど流通していない中国国債に比べ有利と見ているようだ。

Bottom line:
世界的なインフラ投資ブームが終焉する兆しがでない限り、供給過多にはなり難い。半導体、液晶と違い、高炉、セメント、化学プラントのDue Diligenceに時間がかかり、投資家は慎重。したがってラービグのように計画は出来ても実際のプラント建設コストの上昇は、工期を遅らせる可能性も。

★3.Consumer & Service/身の丈消費の時代、日本も普通の国へ
身の丈消費の時代‐最近流行の「格差社会」「レーバー・ディバイド」「中流崩壊」というキーワードに相応しい光景を目にすることが増えた。所得格差、機会不平等を訴える声もあるが、ホリエモンの一喝「オレも毎日メシが食えるかどうか分からない日々があった」から、一転して若者の「起業ブーム」再燃の兆し。起業のための「事業計画書」の作り方というジャンルの本が3月以来、目にすることが増えた。

さらに、書店の前面には、年収300万円で豊かに生きる方法から株で1億円を稼ぐ方法、起業指南書、起業で成功したホリエモンこと堀江氏、藤田晋氏、孫氏、三木谷氏の自伝、告白本、批判本が溢れている。ファッション雑誌のコーナーも読者層を絞った雑誌が増えている。ストリート系、かわいい子系、エレガント系、ワイルド系(NikitaやLeon、もてるオヤジを目指す)など、数万分から10数万分売れれば成功。個人の所得、趣味・趣向に合わせた雑誌の創刊、編集が相次いでいるほか、ブログやインターネットでの情報も細分化されつつある。これまでの一億総中流‐一大ブーム追求型消費から所得水準、生活水準、趣味・趣向に合わせた身の丈消費に変化しつつあるように感じる。
アジア諸国を旅行すると、貧富の差は極端である。台湾や韓国の百貨店に行くと、金持ちのファミリーは、金持ちらしく堂々とした身なりをしている。欧米も店員が相手にすべき客層とそうでない客を瞬時に選別するノウハウが定着している。彼らが困るのは、「日本からの旅行客」、比較的地味な身なりをしているケースが多く「日本人だと見分けるコツと単なる見物か購買層かの見極めが難しい」と聞く。

ファッション・アパレル業界の反省‐これまでの戦略を見直す気運が高まっている業界の代表格がファッション、アパレル業界。GMSの衣料部門は、恒常的な赤字部門。老舗の百貨店も少子高齢化、激変する所得階層社会にどう対処すべきか迷走中。伊勢丹のメンズ館、京王百貨店の靴売場、JRのMY Cityなどが群を抜くが、昨年の猛暑、暖冬で勝ち組みも苦戦を強いられた。客単価を引き上げるための「高級化路線」に走ったことも、天候要因の影響を大きく受ける原因となった。SC向けに力を注いだところ「百貨店」側からのクレームも入り、新たなブランド開発に数十億円単位のコストがかかっているところもある。

施行錯誤‐流行戦略の見直し‐これまで例えば、団塊ジュニア、ジェネレーションY戦略などを打ち出してきたが、趣味、趣向が多様化しており売れ筋商品への依存‐類似商品の氾濫‐過剰在庫という悪循環に陥るケースが多く見られた。海外ブランドメーカーとの提携もライセンス料の見直し、独自に路面店への出展するケースが増え必ずしも救世主とは言えなくなった。その結果、独自の商品開発(開発拠点をニューヨーク、パリ、ミラノに構え)マーケティング情報も渋谷、六本木、原宿、丸の内、大手町、横浜や地方都市の情報を収集、更に香港、上海、シンガポールなど、ファッションのニーズ、変化に素早く対
応するような組織運営をはじめたところもある。商品戦略、ターゲットも明確になりつつある。例えば、三陽商会(8011)Y570、時価総額:776億円、バーバリーブランド依存を改め、独自ブランドを立上げ中。同社のセレクトショップ、EPOCA、商品開発は、Rafe NY、製造は中国、販売は銀座を中心に老舗デパートにも売れ筋候補を前面に出す。人気商品への追加発注は、旬の初期のみ。極力在庫増加とCustomer’s ロイヤリティ、希少性をアピールする。まだ施行錯誤の段階であるが、ファッション・アパレル業界にも新風が吹きはじめた。

個別銘柄研究‐ライトオン(7445)Y3,850、時価総額:906億円、PER:20倍/価格戦略で優位に
同社の業績が好調である。下期(3‐8月期)の会社計画既存店売上が前年比横ばいに対し、3月:‐3.6%、4月:+4.4%、5月:+14.2%、(20日閉め)、6月も5月末は好調持続。客単価も順調に上昇傾向にある。3月:+5.8%、4月:+6.7%、5月:+8.7%、客数は3月:‐8.8%、4月:‐2.1%、5月:+5.0%増、夏物商戦が好調、ポロシャツ、ラガーシャツ、短パン、デニム加工のパンツ、キャップ、サンダルなど広い範囲で好調。

天候が良かったほか、同社がプライス戦略を引上げ、販売予定と実績の乖離を分析して仕入れを調整、客数を多少犠牲にしてもセール中心販売戦略の比率を従来の45%から25%まで低下させた。品質重視、ブランド価値(ナショナルブランドと同社でしか買えない商品)を増やし、顧客管理を充実させることで来店の頻度をアップさせることに成功。コスト面ではロジスティクの見直し、SCなど新業態での販売に力を入れ、鮮度の低い店舗からの撤退を決断。
同社の過去2年間、2003‐2004年の下期販売動向を見ると、2003年3‐8月期の既存店売上‐5.0%、2004年3‐8月期-0.4%、あれほど冷夏で各社苦しんだ時期でも、2004年7月:‐2.3%、8月:‐3.2%と落込み幅が低かった。小売・専門店担当のプロに言わせれば(2003年7月:‐8.9%、8月:‐15.1%との対比)と指摘されるかもしれないが、粗利の推移を見ていただきたい。2003年8月:42.6%、2004年8月:45.1%、2005年8月期(全て中間期):46.5%である。着実に粗利が改善しており、原材料高、賃借料などの上昇にも関わらず粗利を伸ばしていることに、市場関係者はもう少し同社を高く評価してもいいのではなかろうか。

(菊川 半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

マーケットを切る!(41)

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■今週のキーワード
“To know values is to know the meaning of the market” by Charles Dow.
株式、債券、デリバティブ市場での混乱も一段落。Position unwinding 及びその期待感から売られていたセクター、銘柄が反発、買われ過ぎていたところが調整。繰り返しになるが、日本市場に与えるインパクトは限定的。寧ろ、流動性重視の金融政策がプラス要因なることが多い。

New Japan Dream! :国税庁が16日発表した高額納税者リストが市場で話題になった。これまでの定石メンバーに加え6名の金融機関勤務者が入っていたことだった。
これまでサラ金、パチンコ、健康・美容産業、不動産関係、医療法人経営者、芸能人、同族会社会長、新規上場を果したベンチャー経営者、相続に絡んだ関係者中心だった。
マスコミの「サラリーマン?」が初の番付トップになったという表現には違和感があるが、ファンドマネージャーは、投資家、及び一般世間から見て「顔の見えない存在」だったのかも知れない。日本人版ビル・グロス(推定年俸50億円とも言われている)やピーター・リンチが登場できる時代の到来。最近の書店には「渋谷ではたらく社長の告白」(藤田晋著)ほかホリエモン関係の本が並ぶ。「拝金主義」という批判も一部にあるが、「官僚・国家公務員パラダイス国家」より健全だと思う。日本の個人金融資産の運用でリターンを挙げることは、経済活性化につながる。

砂上の楼閣‐Vast Majority of Imbalances(US):バブルとの闘い?
5月20日にNew York Economic Clubのランチオンミィーティング、主旨は「The impact of energy prices on the U.S. economy, the recent developments inthe energy and housing markets, and the consequences of China's possible revaluation of the Yuan」。
エネルギーと中国についての質疑応答は少なかったが、住宅・不動産市場について質問が集中。先週発表になった2005年1Qの米住宅平均価格(全米)+9.7%、$18.8万ドル。West:+16.9%, Northeast:+14.0%, Midwest:+7.8%,South:+6.6%。個別都市別では、radenton FL (Tampa Bayの人口5万人程度):+45.6%,Sarasota (FL):+36.0%, West Palm Beach (FL):+35.9%, Las Vegas (NV): +29.4%,Honolulu (HI): +26.0%, 全て対前年同期比で価格上昇。

1月17日のラスベガスのCES報告、5月9日付けのレポート紹介した通り、80年代後半の日本とほぼ同様の「投機」市場になっている。これまでスノー財務長官も「バブルではない」と発言を繰り返してきたが、今回、グリーンスパン議長は、”So we don’t perceive that there is a national bubble but it's hard not to see on that there is ? a lot of local bubbles and. And indeed even without calling the overall national issue a bubble, it's pretty clear that it’s an unsustainable underlying pattern” と発言。
”Irrational Exuberance” 96年12月に株式市場の「根拠なき熱狂」発言とは大きな格差がある。米不動産市場の「異変/ピークアウトから下落」への警戒感は根強いが、米、中国、東欧の不動産ブーム終焉はまだ見えない。

これらと比較して日本の不動産市況反騰は初期段階。今週の銀行決算に注目。

★1.Technology Insight/ 中堅ハイテク企業に回復の芽/局地戦アイディア
欧米景気減速感(アジアの輸出統計からも裏付けられる)からハイテク株全般には厳しい見方がコンセンサスとなっている。ヒストリカルデータ(対前年比比較)でのマイナス幅縮小傾向、停滞していた携帯端末、予想に反し比較的堅調なPC市場、そして秋口から量産が本格化するゲーム機(Xboxが10月)来年春にはソニーのPS3と任天堂の今秋の「ミクロ」と来年の「レボリューション」発売などへの関心も「今一つ盛り上がりに欠ける」というのが現在の市場での評価だ。水晶発信機メーカーへの需要回復(収益へのインパクトは繁忙期でも疑問の付くセクター)、グラフィクチップ製造のためのパッケージタイト不足感、イビデン(4062)や新光電気(6967)にとって好材料なのは明白。

他にも局地戦アイディアなら豊富にある。

電源スイッチ(産業‐民エレ):チップセット(インテル)が800シリーズから900シリーズ(915が主流、925も登場)DVDマルチ、大容量HDD(400GB以上)テレビチューナー搭載、大型液晶パネルの価格低下により、電源回路の肥大化が進む。日本で発売になったDellの最新モデルDimension XPS Gen4は電源定格出力が350W、液晶パネル20インチで約70W、PDPや大型液晶TVがCRT−TV以上に電気を消費することも珍しくない。小型大容量化が求められるスイッチング電源‐産業用、民生用とも規格変更と価格引下げ攻勢で厳しかったが、「新製品効果」無停電型や耐震対策型が期待できる模様。

コーセル(6905)Y2,770, 時価総額:570億円、PER:19倍、6月17日決算(5月期)予定。
デンセイ・ラムダ(6917)Y1,208 時価総額:260億円、PER:予32倍、5月26日木曜日に決算発表予定。
国内携帯/無線IP通信‐新日本無線(6911)Y908、時価総額:355億円、PER:12倍、4月27日に決算を発表。同社のマイクロ波ディバイスの受注動向は、国内ハイエンド携帯の先行指標。若干回復傾向現れる。

親会社の日本無線(6751)Y424、時価総額:585億円、PER:14倍、5月19日に決算発表、今期RP予:92億円(前期51億円、+80%増)は注目に値する。電気2重層キャパシター(日清紡、同社の筆頭株主19.3%と共同開発)。

★2.素材産業:上昇基調での露払い後、一段高の可能性も/経済成長という甘い蜜を捨てられない?
過去10数年間にも及ぶ日本の不況で化学及び、基礎素材のエクスパートの数は日本で極めて少ない。エレクトロニクス系の素材の分野には多くの投資家、アナリストの名前が並ぶが基礎素材となると極少数。
師匠のYアナリストは、業界出身。昨年秋から石油化学株はこの春まで堅調な動きであったが、世界景気の減速感、大手各社の今期減益予想、投機資金の資金流失により株価は再び調整局面入り。素材産業のプロが少ない日本市場は、海外動向(類似企業動向)を見ていかざるを得ないと筆者は考える。気の早い市場関係者の中には「再度不況の到来」を叫ぶ声もあるので多少反論したい。

アジアの石油精製能力増強を見ると、2001年:+1.4%、2002年:+0.2%、2003年:‐0.5%、2004年:+1.3%、2005年予+3.6%、2006年予:+1.5%、2007年予:+5.7% (豪、中国、インドネシア、日本、シンガポール、韓国、台湾、タイ、インドなど全て含む)。2007年の130万トンの能力増加計画、主としてインド、インドネシア、タイ、台湾の設備。2004年の設備稼働率推定は、90.5%。アジアの石油精製アナリストは、2006年ピーク時92.5%を見込んでいる。

多くの誤解:
素材産業には稼働率が一定水準を超えると急速に生産性が落ちる特徴があることは、市場関係者の中でどの程度知られているか疑問である(筆者も実はYアナリストに出会うまで知らなかった)。ガラスメーカーの収益が大きく振れるのもこういった背景がある。

類似アジア企業株価動向:Formosa Plastic (1301 TT)PVC, 化成ソーダ、ポリエチレン、アクリル、株価は、5月18日にNT$51.4、5月20日:52.4、Formosa Petrochemical (6505 TT)、石油・ナフサ精製、米Dow Chemical (DOW)5月16日に43.93を付け5月20日45.96(1週間で5%弱反発)BASF(BAS GR)は、4月30日に50.25を付け52.90まで反発。LG Chemical (051910 KS)も5月13日36100から37900。日本の石化(東ソー、三井化学、ダイセル、旭化成、トクヤマ)は、交易条件が優位にあり株価反騰の素地はある。

石油化学・川上の化学メーカーのCatalystsは、欧米亞(日本)の住宅・不動産、自動車、合繊(アパレル業界)に加え新興工業国のLiving Standardに影響される。世界的なリセッションが起こらない限りそれほど弱気になる必要もないと考える。世界的なインフレ基調に入りまだ3年目。「経済成長」という甘い蜜を容易に捨てられない。

リスクファクター、当局が「土地・不動産融資に総量規制をかけた時」は、即売りである。「90年代、日本の資産デフレ」による経済損失は、100兆円を遥かに超え、自殺者の数は、10年で30万人を超え、企業競争力の低下、犯罪率の上昇、社会の歪、日本の一人負け、トラウマが今尚多く残る。中国とアメリカ2つの超大国とLiving Standardの向上を政策課題にしている周辺諸国。 誰もブレーキを踏めない過酷なチキンレースに見える。

★3.Consumer & Service/Smart Life‐健康・スポーツ
前回の消費・サービスのところをもう少し掘り下げて見てみたい。東京の浮浪者に糖尿病患者が出るほど食生活は豊かになっている。日本の糖尿病患者は予備軍も含めると1,370万人、糖尿病を患っているのは、740万人。花王のヘルシア(売上規模100億円)を飲んで予防をしている人もいるようだが、基本的に「食べ過ぎ」と「運動不足」が原因。BMI:体重(Kg)/(身長メートル)の2乗で計算できるが、BMIが25を超えると糖尿病発症の確立が高まるといわれている。

健康志向の定着は、最近の新聞、雑誌、広告の数から見ても納得できるほどだ。昨年日経産業消費研究所が行った調査でも体重計、体脂肪計、体脂肪体重計、体組成計のいずれかを使っている人は、69.3%。理想の体重に近づける努力をしている人で最も多かったのは、「日常で歩く」が55.5%、年齢別では20代が45.2%に対し40代になると63.4%、「高カロリー食を減らす」36.3%、20‐30代では30%前後に対し40‐50代では40%前後から40%台後半に増える、「ジョギング・ウォーキング・散歩」が34.1%、「食事の量を減らす」が25.1%。年齢別では、20代から50代に上がるにつれて「取組みへの熱心さ」が上昇。

仕切り直しの好機:フィットネスクラブの会員数では60歳以上の会員数が大幅に増えている、コナミスポーツ(4643)、セントラルスポーツ(4801)、ルネサス(2378)の60歳以上の会員数は、2004年3月期には3社合計で15.6万人、5年で3.8倍、50歳以上の会員数は30.8万人で同2.6倍。
業績:各社とも積極出店、シニア層を狙った結果皮肉なことにオペレーティングコストの上昇、シニア対応の施設費用、維持コストの増大で、会員減少、値下げ競争沈静化という好材料を打ち消してしまった。

株価‐過大期待剥がれ、ReasonableなMultipleへ:2003年に各社株価底入れ、会員数の減少に歯止めがかかり、シニア層の健康ブームにのり株価上昇したが、平日の朝から込み合うようになり、インストラクター不足、調度品の高級化、清掃コストなどオペレーションコストが増加。各社業績モメンタムは皮肉にも低下したころから各社52週安値を直近つけた。過大な成長期待が剥がれ、各社スタジオメニューの見直し、インストラクターの社内育成(人材育成)により営業利益率の回復基調を保った決算に着地できた。更に、昨年はオリンピックを材料に株式市場で妙なプレミアムも剥がれた。

コナミスポーツ(4643)Y1,773、52週安値:Y1,742(5月18日)時価総額:501億円、OPM:5.7%、今期予想PER:35倍、3社で最も高い。今期予想増益率:+17%
セントラルスポーツ(4801)Y1,910、52週安値:Y1,912(5月18日)時価総額:211億円、OPM:5.9%、今期予想PER:24倍、今期予想増益率:+13%
ルネサス(2378)Y1,433、52週安値:Y1,415(4月15日)時価総額:286億円、2003年末に上場、OPM:8.7%、今期PER:22倍、東急スポーツオアシスと相互利用提携、JR東スポーツと首都圏で相互利用提携、これまでの利用者の「飽き、マンネリ化」を払拭、無理な出店を抑える施策を打ち出した。PER:22倍。今期増益率予想:+23%増

各社ともコスト管理強化、シニア層への談話場所の提供、飲食物、サプリメント、ヨガなど費用対効果のあるプログラムの充実、健康器具の販売(健康マットなど)など「地」についた収益目標を掲げており、改装、出店費用一巡より各社増額修正が期待できそうである。
自然堂(2340)(ジネンドウと読む)Y2,970、時価総額:54億円、PER:21倍、
天然温泉、アリサカ(2328)Y999、時価総額:43億円、PER41倍など温泉、スポーツ、ゲームセンターを運営するような施設も登場。

★4.ヘッジファンド:
先週ご紹介したヘッジファンドの話題の続き、過去15年弱でヘッジファンドの運用形態は大きく変化した。Hedge Fund Research社のデータ(同社集計)を見ると、1990年、同社がモニターしていたヘッジファンド業界全体の運用資産額:390億ドル、71%がマクロ型、11%がアービトラージ型、株式型は僅か5.3%、DistressedやEvent型、が6.2%だった。
2004年のデータでは運用額が$8,900億ドル、アジア危機、LTCM危機、ITバブル崩壊、9.11事件を乗越えアセット規模が15年で23倍にまで膨れ上がった。富裕層と一部の機関投資家、パートナーが主体のヘッジファンドから、ファンドオブファンズ(個人の資金、一般の年金基金、事業会社の余資運用資金)など規模も資金の出し手も大きく変化した。運用スタイルも大きく変わった。株式型が29.7%、全体の1/3を占め、アービトラージ型が19.0%、DistressedやEvent型が17.8%、マクロ型が僅か11.5%、残りを債券型:7.3%、その他14.7%、運用資産額が米株式市場並みに膨れたことからSECが登録義務制を導入。ヘッジファンドの正確な数は分からないが、知合いのコンサルタントによると
約1万、米投信の数を遥かに超え資産規模も投信を抜き去り、マーケットインパクトは、各国の市場当局者が気にするくらいにまでになった。多額の運用報酬が話題になる一方で、リスク管理、データベース化(運用スタイルや特性を知ることができる)が進み一般投資信託並みのコストと手間がかかるようになったという指摘もある。

セルサイドも売買回転率の制限が殆どないヘッジファンドを上顧客として扱い、専属の担当者を置くところあると聞く。Action orientedサービス?も随分多いと聞く、例えば、昨年春にシーゲート(STX)の在庫が膨らんだ際、「TDKとアルプスは売り」というセールスコールを間接的に聞いた。しかし、TDKもアルプスもシーゲートにはHDDヘッドを納入していない。STX固有の問題(販路が十分でなかったことや大手PCメーカーで認証が遅れた)だったにも関わらず、安易なセールスコールや発想も時々耳にする。経験の長いベテラン、相場のノイズをリターン/リスクに採りこもうという積極的な発想もあり、市場関係者にとってヘッジファンドは憧れの的とも聞く。

空売りの出来るヘッジファンドが常に優位とは限らない
LongポジションよりShortポジションで損をすることもあり、株式Long&Short型だとリスクをニュートラルにするために同一業種内で買いと売りと両建てが常套手段。Short Squeeze, Liquidity trap(売りたい時に売れない)は、オカルト映画の比ではないとあるベテランMgrは教えてくれた。一時、日本市場でヘッジファンドを市場の悪と指摘する当局者や市場関係者がいたが、今、そんなことを言う人はいない。日本の運用業界から桁違いの億万長者の登場は大歓迎。

(菊川半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

マーケットを切る!(40)

JUGEMテーマ:株・投資


■今週のキーワード
“History does not repeat itself “ by former British Prime Minster Arthur Balfour. とは言うものの最近のHedge Fundの話題を聞いていると”Classic failure”の典型だ。
対処の仕方は、“It’s not the strongest of the species that survive, nor the most intelligent, but the one most responsive to change” by Charles Darwin.
ダーウィンの指摘する「柔軟な思考」が求められる。当面Unwinding positionsが市場を揺り動かすが、ポジション調整の好機となる可能性も。金融システムリスクが増すとLiquidity供給が常に行われる。
砂上の楼閣:市場で予期せぬ事態は常に起こり得る。過去15年振りかえってみると92年のBank of England Vs Hedge fund worldとの壮絶な市場対決(結果ポンドの大暴落)94年の米Mortgage derivative問題‐IO(Interest only)本来MMFに組み込まれるべきでないデリバティブ商品が紙屑に、94年のメキシコ危機、95年のニック・リーソン(日経平均先物取引で巨額損失)大和銀行NYの井口トレーダーの巨額損失、97年の浜中部長(元住友商事、銅の市況を読み違え巨額損失)98年のロシア危機とLTCM破綻2000年ITバブル崩壊とワールドコム破綻等、市場の中で「絶対と呼べるものはない」。これが金融界の掟。

What happened?:
詳細は藪の中だが、常にマーケットをウォッチしているプロの目から見ると次のような極端なリスクポジションが組まれ「予期せぬことが発生」した可能性がある。
直近の市場環境を整理すると、過去10年間で最低水準にまで低下していた市場Volatility,約10年ぶりの短期金利引上げにも関わらず長期金利は低水準(Flattening yield curve)過去最低水準の企業倒産リスク、原油価格は非需要期に入る2‐3月に上昇(このシリーズでも紹介)商品市況及びエネルギー関連株は上昇基調にあり、新興株式市場(1‐3月)はどこも堅調であった。しかし、Hファンド運用機関はどこも苦戦を余儀なくされていた。そこでレバレッジを取るには、US Treasuryをショートする(低い金利でしかも、高い掛け目で現金が入ってくる)そのお金をHigh Yield債券で運用、米自動車メーカーの社債は軒並7−8%だった。これらの社債を買って同株式を売り立て、流動性
は低いが新興国市場、エネルギー株をLong,ハイテクをShort、CRB、WTIなど資源コモディティのLong、ハイテク株をショート、このように”Correlation Trade”(相関・逆相関)に動く金融商品(CDS*)を組み合わせ高いリスクを取っていったと思われる。

想定外だったEvents:
GMやFordの債券が投資不適格(S&P)となり急落と同時にKirk Kerkorian氏がGMの株式にTOB、$31で2,800万株の購入を発表、その時点でのプレミアム(時価とTOB価格の差)は13%。結局、GMの株式は20%近く急騰。米債券市場では、flight to qualityから米長期債が買われ、4.6%前後から一気に4.1%台レベルまで低下(価格は急騰)。主力ポジションで痛手を被ると、Loss cutルールによりポジションを調整せざるを得なくなる。皮肉にもLTCMの時も米国債ショート、流動性の低いロシア、新興市場に集中投資していて痛手を被った。(俗にいう又裂きのポジションが多数発生した模様)注:CDS :Credit Default
SwapについてはOTCビジネスなので不明。

★今後の注目点:
痛手を被った複数のファンド(最近は、コバンザメ戦法‐Follow the leader
style-大手と類似ポジションを機敏にとることでExcess returnを狙う手法が横行)がどの程度のLossカットを余儀なくされるかによる。ある程度落着いてきた感はあるが、見えないのはLiquidationである。LTCMの場合も97年のアジア危機で第一弾のLossを被り、98年に入り解約が相次いだ、そして最後に98年8月のロシア危機(Default)で幕を引いたといわれている。
 ヘッジファンドにお金を入れているのは富裕層と長期性資金(基金、一部の年金)とファンド創設者(パートナーズ)。富裕層は、常に「命の次に大切なのはお金」という発想があり、時として解約を加速するケースがある。中央銀行及び金融当局は、liquidity供給につとめると同時に必要に応じて業界関係者と直接議論、金融システムの安定に最大限の力を提供する。長年ヘッジファンドを運用していた師曰く「時として市場は残酷だ。自分のポジションに対し動いて欲しくない方向に市場が動くことが多い。一瞬の迷い、思い込みが損を拡大する」。

★1.Technology Insight/ Tech stock rally in paradox?
上記の事情(需給)により米ハイテク株のリバウンドはもう少し続く可能性もある。ファンダメンタルズでは、米景気のスローダウンリスクがあるものの、昨年との対比との対比から前年比(前月比、四半期)+在庫調整による前月比モメンタムの改善も多少期待できるかも知れない。
米SOX indexがYTD:‐5.7%、Morgan Stanley High Tech Index (MSH Index米ハイテクハード、ソフト、ネットなど主要35銘柄で構成)は、YTD:‐9.7%下落。多少の反発があっても不思議ではない。深追いは要注意。

DLNA-Digital Living Network Alliance-「夢」の実現に向けて
来月(05年6月)にMicrosoftのLong Horn beta versionが発表される予定。完成品は2006年11月になる見込みだが、64Bit対応、米デジタル放送完全移行(2007年には現在のアナログ放送終了)に向けて「PCのテレビ化」、少なくとも家庭用ホームサーバーの中核を担いたいという同社の野望が透けて見える。先週末に東芝とマイクロソフトとの間で相互特許使用合意に至ったのも、PC陣営の孤立を避けるための施策とも考えられる。東芝にとって今後SED−TV(CellとNvidiaのグラフィクチップ搭載)、同社のHigh-endノートPC(デジタルモバイルTVとして活用される場合、MSとの特許問題を解決しておきたかった)。両
社にとってWin-Winの関係とみていいのではないかと思う。

DLNAの前途:http://www.dlna.org/home 同アライアンスには、富士通、シャープ、松下、NEC、ケンウッド、ノキア、HPQ、Lenovo、STM、TI、フィリップス、マイクロソフト(MSFT)、IBM、Intel、Samsung、Thomsonなどが参加。自前の技術を持ち寄って「Living争奪戦」で落ちこぼれのないようにする協議会と筆者は見ているが、PC陣営は、TVのPC化を恐れ、家電陣営は、PCのTV化を恐れてかあまり進捗が一見ないように見える。完全デジタル放送(米2007年‐アナログ放送停止)を2年以内に控え、各社アライアンスの枠を超え独自に提携合戦を始める可能性もあるのではなかろうか。

★2.銘柄群研究:東芝については、何度かこのシリーズで注目してきたが、総合電機で唯一期待の持てる企業だ(NANDフラッシュ、0.85インチHDD、CELL、
IDM復権‐XilinxやNvidiaからアウトソースを受ける、キャノンとのSED−TVなど、複数のCatalystsがある)。

★3.素材産業:目先極端な悲観論目立つが、需給緩和にはやや疑問
冒頭に説明した事情から外部要因から波乱要因を抱えてしまったセクター。クラレやカネカなどは、殆ど影響がないだろうが、石化セクター、石油、総合商社株にとって目先調整材料が増えてしまった。例えばCRB index(3月16日)に直近高値317を付け5月13日時点では、295まで‐7%の下落。WTIは、直近高値4月1日に57.27(このシリーズでも非需要期の高騰に疑問を投げかけていた。投機筋による高騰でスタグフレーションの要因の一つになると警戒していた)上昇後、5月13日には48ドルまで急落(下落率は、‐16.2%)。これらの先物価格にCorrelateする銘柄も同様の動き、Exxon Mobile (XOM)3月9日に64.35、
5月13日に53.7、‐16.6%の下落。Dow Chemical(DOW)3月4日に56.42を付け5月13日に45.07まで‐20%下落。オイルリグの大手、Transocean (RIG)4月6日に54.13、5月13日には44.03、‐18.7%。

ヘッジファンドの台頭により、Dow Chemicalの株価動向と三井化学(4183)やTransoceanと三井海洋開発(MODEC,6269)の株価が連動しているとは言いがたい。年初からダウと三井化学の株価相関関係は、0.36.三井海洋開発とRIGは、0.26(94日間)。確かに欧米景気のスローダウン、欧米の中国に対するセーフガード(繊維製品等)による需要減退リスクはあるものの、今年は各社定期修理(三菱化学ほかアジアのプラントも定期修理に入る)に入ること、アジア諸国の内需が予想外に強いほか、中東とアジアでの新プラントの稼動も一部でやや遅れているとの未確認情報もある。
日本の石油化学メーカー(東ソーなど)の今期予想は軒並減益で出しているが、値上げ交渉のジェスチャーか市況前提をかなり厳しく見ているのか、16日の三井化学の決算発表を見極めたい。米経済成長率が3%から3.5%なら、アジア諸国は6‐8%成長が維持できるとみるなら、市況関係も大幅な下落は考え難い。

★4.Consumer & Service/消費、サービスセクターは宝の山
1)Generation ZとD/夢とロマンを求めて/社会保証‐逃げ切り世代/子孫に美田を残さず?
これから消費モメンタム回復基調持続、ある特定の分野はある種の盛り上がりが見られよう。何処にお金が流れどの企業がこのチャンスを生かすことができるか宝の山を探す心境だ。
既に年金需給生活世代で戦前生まれをGeneration Z、戦後生まれの第1次ベビーブーマーをGeneration Dとする。この二つの世代の推定保有金融資産は、少なくとも700‐800兆円。団塊世代だけで340兆円、退職金受取総額が80兆円という試算がある。最近、また新たな雑誌が小学館から隔月で創刊された。雑誌名は「駱駝」。半ば経済自由人となった50歳代半ばから60歳代半ばから後半までを読者層としているようだ。内容は、海外旅行、日本人の口に合いそうなグルメ、リゾート(楽園の探し方・暮し方、ロングステイの紹介、創刊号では沖縄でのリタイア計画が記載されていた。総務省のデータでは2003年度の人口増加#1は沖縄、25,000人、東京都を抜いてトップ、シニア世代とNEETが流入)、健康の話題、巻末には資産運用(信頼できるマイ・バンクの選び方)など。以前にも紹介した通り、湘南、神奈川、首都圏近郊のセカンドハウス、ゴルフ場のあるリゾートハウス、中には最近のニーズの高まりから月間リゾート物件情報も出ている。www.reson-ltd.c.jp www.reson.net などネットでの紹介も多い。

「公的年金制度と世代間移転、国立社会保障・人口問題研究所」「社会保障と世代・校正、東京大学出版会」麻生良文氏著P111‐130に出てくる厚生年金純移転(99年改正前)調査を見ると愕然とする。1940年代生まれでは掛け金の13.7倍、1945年生まれで2.98倍、1950年生まれ:1.73倍、1955年生まれ:1.18倍、1960年生まれ:0.90倍、1965年生まれ:0.76、1970年生まれ:0.67倍、Generation Yと呼ばれる好景気を体験したことのない世代では、0.53倍。医療保険の世代間格差についてのデータもあるが省略するが、想像通りの格差である。「人生、健康で長生きできれば儲けもの」という声が聞えてきそうである。
実際、60歳までしか生きられない人と90歳まで生きた人との年金受取格差は、3,500万円にもなるという試算(家計からみる日本経済、楠木氏)

物の時代から心のゆとりを求める時代‐この世代の人達と話をすると、健康、お金、スポーツ、旅行、文化・教養、懐かしいイベント(青春時代に流行したもの、フィルムコンサートなどにも多くの人が集まる)、カウンセリング(無料弁護士相談、市民相談などを好む)、趣味の教室、ボランティアに興味を持っている人が多いタイムシェアリング:家族(子供夫婦や孫達と)2泊くらいの旅行代金がかなりの負担と感じている人が多い。会員制のリゾート会員権、一回の食事、宿泊費用一人5,000円前後が理想という聞く。前納型という見方もあるが、相続税対策の一つとして注目されている。

リゾートトラスト(4681)Y2,715、PER:17倍、時価総額:790億円、会員制リゾートでは最大手、
余暇・レジャー:ネクストジャパン(2409)Y306K、時価総額:322億円、
ランドワン(4681)Y251K、時価総額:146億円、5月10日に決算発表、PER:20倍、今期RP増益、+49.5%増。
教養:ブックオフ(3313)Y2,435、PER:28倍、時価総額:441億円、角川ホールディング(9477)こちらについては来週、もう少し違った視点で紹介したい。
スポーツ:ゴルフ:遠藤製作所(7841)Y1,660, PER:27倍、時価総額:157億円、
グラファイトデザイン(7847) Y220K, PER: 19倍、時価総額:75億円、
本間ゴルフ(7884) Y222 PER: 13倍、時価総額:68億円、団塊世代でしばらくゴルフを辞めていた人も、子供の経済的独立を期に夫婦で始める人も。宮里藍効果でジュニアゴルフは、サッカーに次ぐブームとなるか。ゴルフ場を買いあさってきた外資系投資銀行の嗅覚には脱帽する。
もっとお金のかからないスポーツは、ウォーキング、アシックス(425) Y425,PER:12倍、時価総額:85億円、デサント(8114) Y413 PER: 23倍、時価総額:317億円、総合スポーツ、ミズノ(8022)Y492, PER: 23倍、時価総額:653億円、
スポーツクラブ:日中はシニアの憩いの場、コナミスポーツ(4643)ルネサンス(2378), シニア層が増えて維持費が膨らんでいる模様。
釣り:大和精工(7990)シマノ、ティムコ(7501)、意外にお金のかかるスポーツ。
旅行:ニッコウトラベル(9373)、ユーラシア(9376)近畿日本ツーリスト(9726)HIS(9603)などはお馴染みの銘柄で外部的な要因で売られた時に仕込む銘柄の定石。
これら全てある程度推測がついている銘柄だが、深堀するともっと違ったアプローチが見つかるかもしれない。タイミングと業績の継続性の読みが難しい。数字(業績)が表面化してからでは遅すぎ、早すぎるとdead moneyになるリスクもある。一時の介護ビジネスに対するプレミアムがShrinkしており、これら銘柄についてもある程度、話題性と陳腐化についても見当余地がありそうだ。
身近なところでは、シニア層のネットトレーディング、料理教室、陶芸、ダンス教室、音楽教室、カラオケクラブ、現役で忙しい身には、想像できないほど、時間とお金があればできることが山ほどあるようだ。企業経営者もどこに継続的なニーズがあるかどうか「読みきれない」というのが本音(それぞれの趣味趣向が違い、気がついてみれば経営者の思い込み、自分の趣味だったという笑い話もある)。

2)見直される管理会社 最近、商業ビル、マンションの管理費引下げ圧力が緩和しつつある。2003年ごろまでは、「値下げ一色」であったが、REITや不動産ファンドが重視するのは、ビル・マンション、商業施設の管理体制である。最近不動産会社の方と話す機会が増え分かったことは、不動産価値は利用価値、Cash flowsをリスクレートで割った総和、Cap rate=家賃収入から諸経費を引いた純利益/投資額、等様々な投資分析手法、利便性(駅や学校、日用品、コンビニなどのアクセス)、セキュリティ、そしてメインテナンスである。通常のビル・マンションの寿命は47年(法定償却ベース、中には100年耐用と宣伝にはあり、欧米では100年以上の物権は多数ある)通常約50年程度が建て替えと想定されている。
メインテナンスが悪いと商業用、居住用ビルの痛みは、予想以上である。特に地震大国日本、小さな地震は毎年何度も発生する。小さな亀裂を見逃しておくと其処から雨水が浸透し、鉄筋の錆びやコンクリートの強度を引下げる可能性がある。更に、浄化槽、浄水タンク、排水溝などの定期的検査、補修、各テナント、居住者の占有部分に対する修理、点検などのサービスの良さ悪さなどが重視されるようになってきた。中古マンションやリゾートハウスを購入する際、良心的な業者は「管理費」「修繕積立金」がそれほど安くないところを薦める。
銘柄‐中小型株が多く利益率のモメンタムは既に底打ち感が出てきている:極端に出来高のないもの(大成(4649)や時価総額が低く、今後も時価総額があがりそうもないところは省略)。

ジャパンメンテナンス(9787)Y1,153、PER:19倍、時価総額:238億円、2月決算、OPM:4.58%(前期:3.02%より大幅改善)
日本ハウズイング(4781)Y543、PER:14倍、時価総額:79億円、売上規模:570億円、独立系、OPMで5.25%
ビケンテクノ(9791)Y970、PER:11倍、時価総額:67億円、売上規模:240億円OPM:5.16%
丸誠(2434)Y742、PER:11倍、時価総額:41億円、2月18日にIPO、600円のIPO価格に対し初値が650円、地味な事業とIPO市場の低迷により割安だと思う。売上規模:120億円、OPM:5.4%
リロ・ホールディング(8876)Y1,500、PER:14倍、時価総額:225億円、決算:5月26日、賃貸管理物権増加(前々期の2.7万件から4万件へ)松下グループ30社から転勤留守宅管理業務を一括受注。リロケーション事業が全体の74%、OPM:4.2%。福利代行事業(全体の20%)がOPM:10%
共立メンテナンス(9616)Y2,130、時価総額:241億円、ビルマネジメントは売上の17%、OPMが4%超、同社は学生寮、寮事業がCash cow、レジャー・ホテル開発に積極化。業態変貌を狙っている。

*LTCMについて、When genius failed “The Rise and fall of Long-Term Capital Management”という本が出ています。ご参考まで。

(菊川半蔵)

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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