孫子と三賢人のビジネス その18




産業新潮 
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
3月号連載記事


■その18 情報収集

●情報と知識


 ピーター・F・ドラッカーは、「情報」と「知識」はまったく異なるものだと述べます。前者は現代風に言えばすべて「ビット」に置き換えることができます。つまり、「ゼロまたは一」の二進法の数字(またはランプの点滅)で表すことができ、「アルゴリズム」で計算可能算だということです。
 このゴットフリート・ライプニッツによって確立された理論に基づき、現代のコンピュータが生まれました。

 コンピュータの情報処理能力のすごさは、ここ数十年間で世界中が体感しましたが、コンピュータはあくまで情報を「処理」しているだけで、本当の意味での「判断」は行っていません。最近何回目かの「AIブーム」によって、
「AI」が人間にとって代わるとの話が喧伝されています。
 しかし、すべての人間の作業をAIがとって代わることなど読者が生きている間には起こらないはずです。

 もちろん私が「頭脳の単純労働」と呼んでいる「計算・集計・書き写し・事務連絡」などの現在のホワイトカラーの業務の大半を占めている原始的作業は、AIなどのコンピュータに置き換えられるでしょう。

 しかし、これはかつて製造業でも起こったことです。
 工場制手工業の時代は、人間がいちいち手作業で原材料から製品を製造していました。しかも、その製造ノウハウは親方から伝承され門外不出とされていました。それらの作業が、製造技術の進歩とテイラーの「科学的管理手法」にとってかわられたのです。
 それらに対して、手工業者などから激しい抵抗があったのは事実ですが、結果的に工場労働者の賃金は劇的に向上し、中学さえろくに卒業できなかった親の世代の子供たちの多くが大学に進学するという歴史上まれに見る大躍進が起こりました。
 これは、ドラッカーが指摘するように、例えば戦後の数十年間だけを考えても50倍以上という驚異的な生産性向上の恩恵なのです。

 ホワイトカラーの業務においても、原始的作業がAIに置き換わることによって生産性の劇的な向上が見込めますから、彼らはますます豊かになります。そして工場労働者が自分で木を削る代わりに、木を削る機械や生産システムの管理の仕事を行うようになったのと同じように、新しい世代のホワイトカラーたちは「計算・集計・書き写し・事務連絡」などの業務を行う機械(コンピュータ)の管理が主要な業務になります。


●知識が価値を生む

 いくら情報をたくさん集めてもそれらは原材料または半製品にしかすぎません。ですから、新たな世代のホワイトカラーたちは、「情報」を「知識」によって「完成品」にしなければならないのです。

 知識というのは「情報」と違ってビットで表すのが困難です。
 よく会議の席で「やたら表やグラフ(元をただせばビット)」を振りかざす担当者に「ところで君は何が言いたいんだね?」と突っ込みが入ることがあります。このような担当者は「情報」だけで仕事をしているのです。
 それに対して、ごく簡略な説明で、趣旨が明快で説得力のある話をする担当者もいます。彼こそが「知識」を活用する新しい世代のホワイトカラーなのです。彼が、情報を取捨選択し体系化できるのは「知識」のおかげです。そして「知識」は価値判断の重要な要素です。

(続く)


続きは「産業新潮」
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3月号をご参照ください。


(大原 浩)


★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」
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孫子と三賢人のビジネス その17




産業新潮 
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2月号連載記事


■その17 マネジメントの原則・最初が肝心

●最初が肝心


 マイケル・ポーターは、「自社がどのような業界で、どのような位置(ポジション)を占めているのか」を知ることが、「競争戦略」を立案する上で極めて重要であると述べています。つまり、飲料業界のトップであるコカ・コーラ、自動車業界のリーディング・カンパニーであるトヨタ自動車、飲料業界の中堅であるダイドー、自動車業界の中堅であるマツダはそれぞれの位置で闘っており、そのあるべき「競争戦略」にも各社のポジションの違いが反映されるべきなのです。

 孫子がそれほど長くは無い戦略書の中で「戦地の選択」に何回も言及するのは、それが戦略立案の基本であるからだというのは言うまでもありません。しかし、それ以上に「戦地は一度選択してしまえば後から変えるのは大変困難である」というのが最大の理由です。ですから、将軍(経営者)は、どこで戦うかを判断するために最大限にその能力を使わなければなりません。

 経営者が判断を下す場合、すでにその企業の業種や順位などが決まっているはずです。しかし、「どの部署に限られた資源(資金・人材)を分配し強化すべきか」を判断するのは、まさに戦地を選択する行為です。もちろん、新規事業をどの分野で始めるのかを判断するのも同様です。

 ウォーレン・バフェットは「投資の判断を下したら、あとは投資家がすべきことはほとんど何も無い」と述べます。彼がある企業に投資しようかどうか判断するときには徹底的にその企業や業界全体を研究します。

 大変な読書家として有名なバフェットですが、業界や企業に関する知識も大概その分野のプロフェッショナルを上回ります。しかし、ある企業に投資をしてしまえば、後は企業の経営を役員たちに任せ大株主として口出しをしません。正しい戦地で正しい戦力を持っていれば負けることはまずないからです(残念ながら、ほとんどの投資家はバフェットの全く逆の戦略を採用していつも失敗しています)。

 事業でも同じことです。どのような事業を始めるのかの判断が最も重要であり、一度事業を始めてしまえばできることは極めて限定的なのです。ですから「最初の選択」に経営者は全力投球をしなければならないのです。


●9つの戦地

 孫子は戦いを行う土地を次の九つに分類します。

1)散地(軍の逃げ去る土地)。諸侯が自分の国の中で戦う。
2)軽地(軍の浮き立つ土地)。敵の土地に入ってまだ遠くない状態。
3)争地(敵と奪い合う土地)敵がとったら敵に有利、味方がとったら味方に有利な土地。
4)交地(往来の便利な土地)。こちらが行こうと思えば行けるし、あちらもこようと思えば来ることができる土地。
5)衝地(世の中のエネルギーの中心地)。諸侯が四方から近づいてきていて、一番乗りすれば諸侯の助けを借りて、天下万民の支援を得られる土地。
6)重地(重要な土地)。敵の土地に深く入り込んで、既に敵の城や村をたくさん背後に持っている状態。
7)土己地(軍を進めにくい土地)。山林、険しい地形、沼地などを通っていて、軍を進めるのが難しい土地。
8)囲地(軍を進めにくい土地)。道が狭く曲がりくねっていて、少人数で大軍を撃破できる土地
9)死地(死すべき土地)。力の限り戦えば脱出できるが、そうでなければ滅亡してしまう土地


(続く)


続きは「産業新潮」
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2月号をご参照ください。


(大原 浩)


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孫子と三賢人のビジネス その16



産業新潮 
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1月号連載記事


■その16 有利な地形(マーケット)で戦え

●負けてはいけない


 孫子はある意味究極の平和主義者です。なぜなら、戦いは国や民を傷つけ疲弊させるので、「戦ってはいけない」と厳しく諭しているからです。ただし無防備でいいというわけではありません。
 例えば隣国が日本を侵略すれば、日本国民は当然立ち向かわなければなりません。こちらがどれほど平和主義であっても、隣の野蛮な独裁国家が攻め込んで来れば戦わざるを得ません。逆に隣の野蛮な独裁国家に立ち向かうことこそ「平和」を守るための必須条件です。
 もし日本が負けて侵略されてしまえば、国民は地獄に突き落とされます。

 「永世中立国」であり、平和イメージの強いスイスですが、2013年の国民投票で男性に対する徴兵制の維持が決定されました。決して政府に押し付けられたのではなく、国民の総意です。
 参考までに、2002年にフランス(最近の報道のように、徴兵制の「復活」が議論されています)、2011年にドイツで徴兵制が廃止され、米国でも1973年から長期にわたって徴兵制は「停止」(いつでも復活できる)されています。

 また、スイスの兵隊の数は人口の1・9%ですから、日本の人口に当てはめてみると250万人という巨大な軍隊になります。
 「平和」はただぼんやり座っているだけでは得ることができないというのが孫子の考えです。できる限り(高度な駆け引きや戦略で)平和的に解決するよう努力し「専守防衛」を貫いても、どうしても戦わなければならないときがあります。その時は、逆に準備を完全に整えて「完全な勝利」を手に入れなければなりません。

 太平洋戦争についてはいろいろな議論がありますが、この戦いにおいても同様です。「一度始めた戦いは必ず勝たなければならない」ということです。
 当時の政府や軍部の非は、「戦争に負けたことに」にあります。(一度始めた)戦争は絶対に勝たなくてはなりませんし、敗戦国の国民はとてもみじめな状態に追いやられます。


●有利な地形で戦う

 孫子はズバリ「戦いにおいて地形はとても大事なものである」と述べています。具体的には次のようなことです。

◎自由に往来できる開けた土地では、敵よりも先に高台の日当たりのよい場所を確保すべし。兵糧補給の道を断たれないようにして戦うと有利だ。

◎行くのは簡単だが、帰るのは難しいような、障害のある地形で敵が備えをしていないときには、こちらから出て行っても勝てる。しかし、既に敵が備えをしている場合には、戦っても勝てず、帰ってくるのも難しくなり危険である。

◎枝道に分かれた地形では、こちらから出て行っても、あちらが出てきたとしても、どちらにとっても不利である。したがって、敵がこちらに餌(利益)を投げかけてきても、決して手を出してはいけない。むしろ、軍をその場から立ち去らせ、敵を誘って半分餌(利益)を出させてから攻撃をするのが有利だ。

◎両軍の陣地がお互いに遠く離れている場合には、攻撃を仕掛けるのは難しく、攻撃を仕掛けた方が不利である。


続きは「産業新潮」
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(大原 浩)


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孫子と三賢人のビジネス その15




産業新潮 
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12月号連載記事


■その15 鳥が飛び立つのは伏兵である

●ビジネスでも投資でも観察眼が勝負を決する


 「人間経済科学研究所」では、「人間」と「経済(ビジネス)」そして、「(自然)科学」の三つの重要な要素の複雑に絡み合う関係を研究しています。 その中でわかってきたことは、「経済・ビジネス」は、机上の空論をもて遊ぶのではなく、生きた経済・ビジネスをじっくり丁寧に観察し体系化することによってしか理解できないということです。

 個々の人間が極めて複雑なだけではなく、その個人が構成する人間社会が途方もなく複雑であることを理解しなければなりません。

 自然科学の「複雑系理論」においては、「蝶の羽ばたきが大型の台風を引き起こす」という、まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」的な有名な逸話があります。もちろん、そのような可能性は常に存在しますが、毎日数億あるいは数兆あるいはもっと天文学的な大きな数と想定されるどの羽ばたきの一つが台風を起こすのかは、事前の予測はもちろんのこと、事後に遡って調べることさえ現実的には不可能です。ですから、われわれ人間は「台風の兆候」が現れた時からしかその事実を観察できませんし、逆にその事実の観察こそが重要なのです。

 したがって、いくら世界中の蝶の羽ばたきを研究し数式化しても、台風の理解には全く役に立ちません。いわゆる近代経済学が数式を駆使して経済を理解しようとする行為はこの蝶の羽ばたきの分析と同じやり方です。経済(台風)が全く理解できなくても致し方ありません。

 また、例えば、動物学(生物学)の基本も観察です。ミジンコやカエルもそうですが、人間に最も近い存在であるサル(霊長類)の研究においても観察が基本です、ニホンザルの社会(経済)の方程式など聞いたことがありません。それなのに、ニホンザルよりもはるかに複雑な人間が構成するきわめて高度な社会(経済)を、相対性理論などのように一つの方程式で解き明かすことなど考えるのは傲慢だと言えるでしょう。

 経済(台風)を理解するためにはその兆候(臨界点)がはっきりと見えてから、しっかりとした観察と体系化を行うべきなのです。


●兆候・臨界点

 それでは、一匹の蝶の羽ばたき(個々人の行動)が台風(経済現象)になる兆候(境目)をどうやって見つけるのか?

 それには原子力発電でもおなじみの「臨界(状態)」や「閾値(いきち)」という自然科学の概念が大いに役立ちます。臨界状態の前は「未臨界」と呼ばれ、連鎖反応の量が少なくそのまま放っておくと核反応が自然に止まってしまういわゆる安全な状態です。逆に臨界状態の後は、「臨界超過」と呼ばれ、刺激を加えなくても連鎖反応が時間とともに増加します。

 つまり、臨界状態(点)とは、ちょっと後ろから押してやればともどもない核反応(爆発)が起こるし、逆にごくわずかに手を緩めれば何事もなかったように静かな状態に戻る状態(点)であるということです。いわゆる「分岐点」という考えにも近い存在です。また、「閾値」も臨界に非常に近い考え方です。

(続く・・・)


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孫子と三賢人のビジネス その14




産業新潮 
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11月号連載記事


■その14 高い丘にいる敵を攻めてはならず、丘を背にして攻めてくる敵は迎え撃ってはならない

●自然淘汰で生き残るのは駆け引きにたけた生物である


 チャールズ・ダーウィンに始まる(生物の)進化論は、1859年に「種の起源」の初版が発刊されてから160年ほどの歴史しかありません。サー・アイザック・ニュートンが「万有引力の法則」を1665年に「発見」(「地上の引力が月などに対しても同様に働いている可能性があることに気付いた」とされている)してから200年近く後のことです。
 また、アダム・スミスの「国富論」の初版は1776年に刊行されており、こちらも「種の起源」の100年近く前のことです。チャールズ・ダーウィンは、当時知識人の必読書であった「国富論」を読んでおり、一般のイメージとは違って、国富論(神の意志を排除した、人間についての)「進化論」ともいうべき本)から、インスピレーションを受けて(生物の)「進化論」について確信を持ったともいわれます。

 したがって、この歴史的に見れば新しい学説が、狂信的キリスト教徒から執拗な攻撃を受けるのもある意味当然かもしれません。実際、アルバート・アインシュタインの相対性理論や量子論は、直接的には神の存在を否定しませんが、「進化論」は神の存在と真っ向から対立します。

 「種の起源」をきちんと読まずに攻撃する人々が多いこともあって、重要な事実が世の中に伝わっていません。それは「自然淘汰で生き残る生物は、地球の気温の変化などの自然環境にうまく対応した勝利者だが、それ以上に他の生物が作り出した環境に順応した勝者である」ということです。

 自然淘汰では「環境」に適応した生物が生き残るとされますが、その「環境」の大部分がいわゆる自然環境ではなく「他の生物」なのです。

 例えばライオンと鹿の関係を考えてみましょう。鹿が生き残るためには、ライオンなどの捕食者がうようよいる「環境」の中でうまく逃げ延びる必要があります。逆にライオンなどの捕食者が飢え死にしないためには、鹿などの獲物をうまく捕まえるための「環境」適応が必要なのです。

 ですから「自然淘汰」の主要部分は、他者との闘いの結果生き残るということだといっても過言ではありません。ハーバード大学教授・マイケル・ポーターも「企業の戦略は、自社が市場の中のどのようなポジションに位置するかによって異なる」ということを強調しますが、これも企業間の競争においても「他社との闘いの結果によって自然淘汰が行われる」という重要な事実を示しています。


●組織で生き残る人物は他者との闘いで勝った人物である

 企業、役所、NPO、政党、宗教団体等などでトップあるいは上層部に立つ人々も、もちろんその組織の中において「他者との闘いに勝った人物」です。孫子が述べるように「他者との闘いにおいてはどのような手段を使っても勝つべき」ですから、お世辞・ゴマすり、さらには他人の足を引っ張ることも戦術の一つです。ですから、トップや上層部であるからといって特別人格がすぐれているというわけではありません(そうあってほしいとは思いますが・・・)。

 しかし、仲間内の争いに勝ち残っても、他の集団(組織)との争いに敗れれば、自分自身を含めた組織(集団)が全滅することにもなりかねません。ここに、集団(組織)が一致団結して、外部と戦わなければならない理由があります。
 また、トップや上昇部が、「内部での戦いや駆け引きにたけた人」であることは、外部との競争において極めて重要です。いくら人格者であっても、単なるお人好しでは、競争相手の餌食になるだけです(日本には人格者(お人好し)が多いですが、それらの人々が邪悪な国々の餌食になっているのは、読者もよくご存じだと思います)。

(続く・・・)


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孫子と三賢人のビジネス その13



産業新潮 
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
10月号連載記事


■その13 統制と組織

●命令と自由とブロックチェーン


 どのような人物でも他人から「命令」されることは決して楽しくないはずですし、逆に自分の考えで「自由」にふるまうことは心地よいはずです。ですから、インターネットの創世期のようにほとんどすべてのことが許される世界は人々をひきつけます。
 しかし、現在のインターネットは完全に自由とは言えません。
 チャイナ・北朝鮮・ロシアなのどの共産主義独裁国家における情報統制は別にしても、米国や日本などの先進国においても、犯罪(あるいは犯罪予備軍)、テロ行為などにかかわる情報は厳しく取り締まられるようになっています。
 ビット・コインなどの仮想通貨のおかげで脚光を浴びるようになったブロックチェーンですが、仮想通貨の未来は暗いのに対して、その仮想通貨を支えるブロックチェーン技術は、大きな革命を起こす可能性があります。

 ただし、それはビット・コインなどの管理者がいない「オープン型」ではなく、銀行などが開発を急いでいる管理者がいる「クローズ型」のはずです。
 「オープン型」のブロックチェーンは、インターネットのように管理者がいない「分散型」ですから、犯罪者はやりたい放題です。ビット・コインをはじめとする仮想通貨でも、マネー・ロンダリングや盗難などの問題が頻発しています。それに対して管理者のいる「中央集権型」ブロックチェーンでは、犯罪者集団など好ましからぬ人物たちを取り締まることができるので、安全なシステムになるというわけです。

 例えば、憲法9条教の信者たちは「軍隊などなくても日本を守れる。とことん話し合えばいいのだ」などと、いわゆる「お花畑」的な論理を展開しますが、そのようなことができるはずがありません。(日本の)軍備に反対する憲法9条教の信者たちも警察を廃止しろとは言いません。犯罪者たちから自分たちの生命や財産を守ってほしいからです。「自分に包丁を突き付けている犯罪者でも、話せば必ずわかるから警察を廃止せよ」とは言いません。
 自国の人々との間でさえ、話し合いだけで解決できないことがあるわけですから、前記の独裁国家などの敵国を含む世界中の国々と話し合いだけで物事が解決できると考えるのは狂気の沙汰です。

 さらに、(実態的に)政府が廃止された状態の国、例えばソマリアやナイジェリア、かつてのビアフラなどがどれほど悲惨な状態であるのかを考えれば、大概の場合嫌われ者である「政府」がどれほど重要であるのか分かります。

 「完全な自由」というのは、非常に聞こえの良い言葉であり、一種のあこがれでもありますが、実のところそれは西部開拓時代の「無法」状態と同じように、だれにも頼れずに「自分の命は自分で守らなければならない」という過酷な環境に置かれるということです。実際、米国では無法状態が長く続いたトラウマから、「銃を所有することに対する偏執的こだわり」を持つ人々が多数います。


●統制の重要性

 軍隊において「命令」が重要であることは言うまでもありません。命令の一つ一つに兵士や人民の命がかかっているからです。指揮系統を確立し、「命令を正確に実行する」ことが軍隊という組織の要です。
 孫子が王の寵愛する女性の首をはねたという有名な逸話も、命令を正確に実行できなければ、どのような人物でも極刑に処するという軍隊という組織の厳しさを示したものです。
 もちろん一般的な組織を考えれば「合意」や「自発的行動」に中心をおくのが望ましいわけですが、現在のように数十万人もの従業員(家族を含めれば100万人単位の集団)を抱える大企業が登場するような社会で、組織の構成員全員と意思の疎通を行うことは困難ですから、たとえ心の中で従業員が不満であっても確実に命令に従わせる「統制力」を失っては、会社という組織も安泰ではありません。

(続く・・・)


続きは「産業新潮」
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
10月号をご参照ください。


(大原 浩)


★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。
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孫子と三賢人のビジネス その12




産業新潮 
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
9月号連載記事


■その12 機先を制する

●機先を制するというのは先に始めることではない


 私が若いころは、他人よりも早くスタートする=「先陣を切る」というのは、有利なような気がして、とにかく他人よりも先に新しいこと始めたいという気持ちにあふれていました。多くの若者にも同じような傾向があるでしょう。

 もちろん、若者がチャレンジしてリスクを負わなければ、世の中は発展しませんし、軍隊でも「先陣を切る」兵隊がいなければ戦いができません。その意味で「先陣を切る」人々が世の中に貢献しているのは確かですし、成功したときに多額の褒賞や名誉を得ることができるのも当然でしょう。

 しかし「先陣を切る」ことが個々の人々にとって有利であるかどうかは全く別の問題です。例えば軍隊で先陣を切る人々は、敵の反撃にあって死ぬ確率が高い(ハイリスク)わけです。ですから、先陣を切ることが勇者の証とされ誉め讃えられるわけですし、成功したベンチャー経営者が賞賛されるのは、一から事業を始める=ビジネスの先陣を切る場合の成功確率が極めて低い(俗に千三つといわれる)ため、そのような危険なことに挑戦する勇気に人々が感心するからです。

 そもそも、孫子は「戦わずして勝つべし」と明言しているわけですから、戦うのは最終手段であり、わざわざ先陣を切って戦いを始める必要など必要ありません。


●機先を制するのは老獪な戦術であるべきである

 したがって、「機先を制する」のは、戦いが避けられなくなったときの「必勝戦術」の一つなのです。

 孫子は次のように述べています。

「戦いの中では、将軍が主君の命令を受けてから、軍隊を編成し敵と対峙するまでに機先を制することが最も難しい。
 例えば、敵より遅く出発しても、のろのろとゆっくりしているように見せかけ、敵の前にニンジン(利益)をちらつかせてぐずぐずさせ、先に到着することも可能である」

 つまり、単純に「先陣を切る」という手法をとらずに、孫子らしい老獪なやり方によって機先を制するわけです。

 さらに孫子は、続けてこのようにも述べています。

「もし、全軍が我先に機先を制そうとばらばらに行動したら、部隊の統制がとれなくなって、かえって敵よりも遅れる。また、個人の功名を望んで焦れば、重要だが重い物資を運ぶ部隊は置いていかれ、結果として食糧不足などで敗北する。
 100キロ先からこのような争いをすれば、疲労困憊した部隊は全滅するだろうし、50キロ先からであれば、その半分を失い、30キロ先からであればその三分の一を失うであろう」

 要するに、個々の兵士が先陣を切って功名を上げようとするエネルギーを、知略によってコントロールできなければ、機先を制するどころか烏合の衆となり、大敗北を喫するというわけです。

(続く・・・)


続きは「産業新潮」
http://sangyoshincho.world.coocan.jp/
9月号をご参照ください。


(大原 浩)


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孫子と三賢人のビジネス その11




産業新潮 
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8月号連載記事


■その11 形が無ければ壊れない。アメーバ型

●人は城、人は石垣、人は堀・・・


 「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」は、武田信玄のあ
まりにも有名な言葉です。そして、生死をかけた軍隊のリーダーとして、最高
レベルの「マネジメント」を信玄が行っていたこともこの言葉からうかがえま
す。

 日本通(水墨画のコレクションはかなりのもの)のドラッカーが、この言葉
を知っていたかどうかは定かではありませんが、まさにドラッカーの主張する
(知識社会における)「マネジメント」の本質を見事に言い表しています。


●大阪城はだれが建てたか?

 私が小学生の頃に学校ではやったクイズに次のようなものがあります。

「おい、大原!大阪城はだれが建てたか知ってるか?」
「そんなの簡単だよ。豊臣秀吉!」
「ブー。残念でした」
「???」
「正解は『大工』さん!」
「・・・」

 それから何十年も経った今でも覚えているくらいですから、その時感じた衝
撃はそれこそ天地がひっくり返るほどのものでした。確かに豊臣秀吉が石を積
んだり、壁を塗ったりしたことなどただの一度も無いでしょう。大阪城が現場
の労働者の血と汗で建てられたことに間違いはありません。
 もっと言えば、その労働者たちや巨大な石を提供したのは、実際には秀吉の
威光にひれ伏した諸大名たちです。

 振り返ってみれば、私が最初に「マネジメント」という概念に接したのはま
さに、小学生時代だったのです・・


●形が無い大阪城

 大阪城は「冬の陣」(1614年)を経て「夏の陣」(1615年)におい
て、豊臣家の滅亡ともに消失しました。つまり、秀吉の指令で労働者(大工)
達が建てた大阪城は、その時にこの世の中から消え去ったわけです。

 その後、1620年に徳川秀忠が大坂城の再築に着手します。そして、16
65年に落雷により大坂城の天守が焼失。その後266年間にわたって、大坂
城は天守を失ったままとなります。3代目天守閣が完成したのは1931年で
した。1997年には3代目天守閣が登録有形文化財に登録されます。

 本当に形を持たない能や狂言のような無形文化財というものもありますが、
大阪城(天守閣)も実は「無形=形が無い」と言ってもよいのではないでしょ
うか?
 何しろ、インバウンド客が殺到する現在の大阪城(天守閣)は、コンクリー
ト(木造とのハイブリッド)のコピーにしかすぎないわけですから・・・。

 つまり、現在の我々にとって重要なのは城の(戦争における)防御機能や貴
人たちの住まいとしての快適さなどでは無いのです。あくまで、壮大な歴史の
舞台となったイメージ上の大阪城であって、それは実は形が無いものなのです。

(続く・・・)


続きは「産業新潮」
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8月号をご参照ください。


(大原 浩)


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孫子と三賢人のビジネス その10



産業新潮 
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7月号連載記事


■その10 先手必勝と集中力

●宮本武蔵と佐々木小次郎

 どこまでが史実なのかは不明ですが、二人の巌流島における決闘はあまりにも有名で、多くのことを物語っています。命をかけた大事な決闘において大幅に遅刻する武蔵は「武士の風上にも置けない下劣な野郎だ」という考え方もあるかもしれません。

 しかし、ルールや礼儀をきちんと守っても、負けてしまっては元も子もないという考えにも一理あります。戦後闇市の時代に、配給米しか食べず闇米を一切受け付けなかった裁判官が餓死するという事件がありましたが、この裁判官が英雄として扱われているわけではありません・・・

 孫子は、もともと今で言う「ゲリラ戦術」の指南書であり、弱者が強者を打ち倒すためのノウハウにあふれています。そのため、必ずしも「強者のルール」に従う必要は無いと考えていますし、むしろ「強者のルールの隙」をつくのをモットーとしています。

 さて、宮本武蔵のゲリラ戦術は「相手を待たせる」ことです(しかも相手を待たせるという先手をとったのです)。人間に限らず、生物というのは基本的に「待つ」のが苦手です。例えば、あるドキュメンタリーで放映していた実験に次のようなものがあります。


●ねずみも人間も待てない
 まず、ねずみたちに例えば「赤のレバーを押すとすぐに1個の餌が出てくる」「黄色のレバーを押すと30秒後に3個の餌が出てくる」「青のレバーを押すと1分後に10個の餌が出てくる」ということを覚えさせます。なお、このレバーのどれかを1回押すと、10分間はどのレバーも使えないような設定になっています。さて、このねずみたちに自由にレバーを押させるとどうなったでしょうか?

 ねずみたちは、ひたすら赤のレバーを押し続けて、他のレバーには目もくれませんでした。一度レバーを押すと10分間は他のレバーを押せないのですから、青のレバーが圧倒的に有利にも関わらずです・・・

 確かに、生物の進化の過程で淘汰によって研ぎ澄まされた本能が「次の(大きな)獲物が手に入るかどうかはわからないから、今目の前にある(小さな)獲物を確保しよう」とするのはある意味自然かもしれません。

 しかし残念ながら、「人間(経済)科学」においても、人々は同様の行動をとります。典型的なのは投資の世界でしょう。バフェットをはじめとする成功者たちが、長期投資の優位性を繰り返し説いているのに、世の中の多くの投資家は「日雇い投資=デイトレード」で、すぐ目の前のごくわずかの利益を確保することに汲々としています。

 それほど「待つ」ということは、人間(生物)の本能に逆らうことですが、その本能を理性で押さえてこそ、成功できるというのが「人間(経済)科学」の説くところです。


●相手を待たせるのは自分も待つこと
 巌流島の決闘では、佐々木小次郎が待たされてイライラして平常心を失って負けたことが強調されます。確かに、「自分が負けるかもしれない」という一抹の不安を抱きながら待つことの苦痛は容易に想像できます。「人間(経済)科学」の解説を待つまでも無く、人間は悪いことを想像しやすく(進化論的には、楽観的な個体よりも、悲観的な個体の方が危険を回避しやすく生き残りに有利であった・・・)、小次郎の胸中は負けた瞬間のイメージでいっぱいであったかもしれません。

 しかし、「待たせた」とされる宮本武蔵も実は「待っていた」のです。もし、宮本武蔵が自分は負けるかもしれないと思っていたら、小次郎を待たせている間、彼の胸中も「負けた瞬間のイメージ」ではちきれるほどだったでしょうし、その恐怖で小次郎に勝つことができなかったかもしれません・・・・武蔵は、自分が勝つという自信を持っていたか、負のイメージをコントロールできるほどの胆力の持ち主であったということです。いずれにせよ、武蔵の方が小次郎よりも一枚上手であったことは、間違いありません。

(続く・・・)


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(大原 浩)


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書評:武士道






書評:武士道
   新渡戸稲造 著、ちくま新書
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 本書において、武士道と騎士道が比較されているが、確かになるほどと思う部分がある。
 特に、両者とも封建制度における「御恩と奉公」という一種の「社会契約」(文書によらない社会慣習法)に基づいて成立している点に注目したい。

 武士も騎士も、社会契約により領地(国家)を守るために自己犠牲を払うことを当然とし、その基礎の上に、「名誉を重んじる」あるいは「死を恐れない」というような精神的規範が形成された。

 封建制というと、いかにも古臭くて抑圧的に思われがちであるが、実のところ全く逆である。

 例えば、欧州においては、絶対王政のもと、国民は農奴などの牛や豚(あるいは奴隷)と同じ扱いを受ける人々が大半であった。
 そのような権力者が国民を蹂躙する中で、絶対権力に抵抗するかのように成立したのが封建制度である。

 絶対王政では、国王の権力は「神から与えられ不可侵だ」などという議論がなされたが、封建制度では、領主も武士や騎士の土地を「安堵」するという義務を負う。

 国王だけが、一方的に命令を下す仕組みでは無いのだ。

 つまり「御恩と奉公」=「ギブ・アンド・テイク」=「対等な関係」というところが極めて重要である。

 武士道では主君に忠義を尽くすことが求められるが、「主君が愚かであれば、お家のために正しい道を説くこと」も暗黙の臣下の役割であった。

 そして、最悪の場合は、主君を廃絶し、より賢明な君主を据えることも(成文法では認められていなかったが)武士道における共通のコンセンサスであった。もちろん、そんな大それたことを行えば、自らも切腹するしかないが…。

 つまり、封建制度は絶対王政から民主主義への橋渡し役なのである。

 したがって、封建制度を経験していない社会が、絶対王政、ファシズム、軍事独裁、共産主義などの全体主義から民主主義に移行したことは、歴史上無かったといっても過言では無い。

 アジアで最初に日本が民主化に成功したのも、封建制度のしっかりとした基盤があったからである。

 それに対して、共産主義中国やアラブ、さらには多数の発展途上国で民主化がほぼ不可能なのは、封建制度と産業革命を経験していないからだ。

 欧米諸国は「どんな国でも民主化できる」という幻想を描いているが、封建制度と産業革命をまず経験しなければ、民主化は実現できない。

 どのようなことも「機が熟する」のを待つ必要があるのだ。

 特に「自称儒教国家」の共産主義中国と韓国は、いまだに「対等」という概念さえ理解できていない。すべては「絶対王政」時代のように「どちらが上か下か」ということに固執し、「相手より上で上であれば何をしても良い」という考えが支配的だ。

 特に、共産主義は人民の資産を奪い(奪った資産は共産党員で山分けする)、人民を奴隷化する絶対王政(農奴制)への回帰である。

 このような国々が、先進国と自由に交流していたことが、現在世界を覆っている厄災の原因である。

 最近の香港のデモは「第2の天安門事件」になるかもしれないが、いずれにせよ共産主義中国は元の「巨大な北朝鮮」に戻り、世界に対しては「竹のカーテン」で隔絶するだろう。

 「武士の魂」を尊重する高度に精神的な文化を継承する日本にとっては、「自称儒教国家」が世界市場から退場していくのは、大いに好ましいことである。


(大原 浩)


★2018年4月に大蔵省(財務省)OBの有地浩氏と「人間経済科学研究所」
(JKK)を設立しました。HPは<https://j-kk.org/>です。
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(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)


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