セラミックス:日本が誇る職人芸の世界10(最終回)




 電力関連は主力の“がいし”とNAS電池に分けられる。

 NAS電池は世界で唯一、発電所・プラント等で利用される蓄電施設で、2014.3期に売上高51億円、2015.3期158億円、今期は250億円(レポート作成当時)の計画で久々に約10億円の営業黒字に転換する計画。海外及び西日本地区の大口案件によるもの。1〜3Qまでは赤字だが、4Qの大口案件で巻き返す計画。
 しかし今期で大口案件は一巡してしまい受注残が僅かの状況から、2017.3期は小口案件ばかりだと売上高は50億円程度まで急滅してしまうだろう。

 NAS事業に関わるスタッフは200〜300名からなり、事業経費としては人件費が一番重く、好調なセラミックス関連への一時的な人員配置転換が、見た目の事業利益を左右させよう。

 一方、ノリタケから分離し設立された際の祖業である“がいし”事業は安定的となってきた。
 日本の鉄塔・電柱及びがいしは約40年経過し交換時期が訪れようとしている。日本ガイシの説明では2014〜2025年にかけて緩やかに取り換え需要が発生し、2025年以降は急速に需要が拡大することで、工事能力の不足に陥る可能性から前倒し交換を提案していた。

 海外がいし事業は比較的安定している。2014.3期は233億円、2015.3期248億円。内訳は米国100億円、アジア70億円、中近東60億円、中国20億円。
 中国市場も戻りつつあるが、心配なのは中近東やインドネシアで原油動向に左右されそうな地域。それ以外は今後も安定的であろう。


 セラミクス事業中心に10回シリーズの連載とさせて頂きましたが、今テーマではこれをもって終了とさせて頂きます。
 次号は燃焼をテーマとして連載する予定ですが、未調査の分野が多く残っており、少し間をあけてからとなります。


(イノベーションリサーチ 山田順一)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界9




【NOXセンサー つづき】


 燃焼効率を損ねずNOx発生を抑制させる方法としては低温化や低酸素化が有効だ。燃焼用空気の窒素と酸素が燃焼による高温で発生するサーマルNOxと燃料中の窒素成分が燃焼で酸化されて発生するNOxに分かれる。

 だがサーマルNOxは燃焼温度が高い、酸素濃度が高い、高温域の燃焼ガスの滞留時間が長いと多く発生し、燃料中の窒素成分は酸素濃度が高いほど多く発生する。つまり酸素濃度が高いとNOが多く発生し易くなる。多くはこの過程でNOが発生し、大気中の酸化でNO2となる。


 ガソリンと空気(酸素)を完全燃焼させるストイキ(理論空燃比)を採用するガソリンエンジンの排ガスには殆ど酸素を含んでおらず、空気過多の燃焼を行うディーゼルエンジンでも燃焼後の残留酸素は少なくなっており、排ガスの一部を吸気側に戻し、低酸素濃度のガスを吸気することで燃焼温度を低下させており、ポンピングロスも防げる。

 ディーゼルエンジンでは通常HCやCOの発生量は少なく、PMやNOxの発生が問題であったが、燃焼温度の低く、酸素の充分含んだ状態の排ガスでは触媒が利用し難い。
 燃焼温度こそ低いが、急加速などでの全開時に未燃焼部分が発生。また直噴エンジンを採用するディーゼルでは小排気量でピストン径の小さなセッティングでは噴射燃料がシリンダー内壁に付着し、未燃焼領域の領域を広げてしまう。

 ディーゼルエンジンのNOx低減の方法として排ガス中にアンモニア(NH3)を噴射することでNOxと反応させ、窒素(N2)と水(H2O)に還元させる尿素SCR(Selective Catalytic Reduction)や触媒上の吸蔵材にNOxを一旦捕獲し、燃料をリッチまたは排気管に噴射させることでNOxを還元させる吸蔵還元型NOx触媒などがある。


 しかし尿素SCR、吸蔵型ともNOxの発生量はエンジン開発時のテストデータに基づく経験則から割り出した値であり、車両の走行状態によるNOxをリアルタイムで測定し還元させるものではなかった。

 そこで開発されたのが日本ガイシによるNOxセンサーで世界初である。
 元々は日本ガイシと日本特殊陶業がセンサー合弁企業を設立して共同開発してきた技術であり、日本特殊陶業の得意とするジルコニアを利用した酸素測定の原理だ。
 開発途中で合弁が解消され、日本ガイシは単独で開発を続け世界で初めて上市に至っており、世界シェアは約90%だ。センサーは日本ガイシが制御系はドイツの某社が開発し、単品でなく吸気から排気系まで含めたシステムとして完成車メーカーに提案しているという。

 残りの10%シェアは兄弟会社で合弁を解消した日本特殊陶業。こちらは日本ガイシと組むドイツ企業とは別のTier1と組み、噴射系中心のシステムとして提案・販売されている。


 SCRの下流に配置するNOxセンサは、SCR触媒の劣化故障検知に用いられる。最近の厳しいNOx規制に対応するため、非常に高精度なNOx検知が要求されている。

 基本特許は日本ガイシが押さえたものの2015年に切れた。他社からの参入が予想されることや、日本特殊陶業&某社の活躍もあろう。市場は相当大きそうだ。

 現状のNOxセンサー出荷はほぼディーゼルエンジン向けで一部乗用車にも。
 トラックでは台当たり1〜2本、乗用車は0〜1本。


(イノベーションリサーチ 山田順一)


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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界8




【NOXセンサー】


 前回のDPFに続き、ガソリンエンジンにもディーゼルエンジンで利用されているDPFと同様のフィルターが装着する見通しとなった。
 というのが数年前に記述したレポートでして、ガソリンエンジン用のGPFについては、現況を確認してからいずれ億近でフォローさせて頂く予定です。


 今回はNOXセンサーについてです。


 世界的に排ガス規制が強化されることに加え、欧州の二酸化炭素、日米の燃費規制など、省エネ規制が段々と厳しくなってきている。
 HC、CO、NOxを一度に酸化還元できる三元還元触媒採用は、ガソリンエンジンでのクリーンな排ガスが実現したが、燃費規制をクリアーするためには小排気量化や燃焼効率向上が求められる。

 燃焼効率向上のためには圧縮比を高めることが手っ取り早いが、高めすぎるとノッキング、つまり異常燃焼が起こり、最悪の場合、ピストンが融けてしまいエンジンが破壊する。
 排ガスエネルギーを利用し、タービン反対側のコンプレッサを回すことで吸気をシリンダ内に強制的な吸気を行う過給機エンジンではノッキングが生じ易く、ノックセンサーを搭載するようになった。ノッキングが生じる前には特有の振動が発生し、この周波数をノックセンサーが検知することで、エンジンコントロールユニットにフィードバックし、点火タイミングを遅らせることで燃焼効率を意図的に落としノッキングを回避する仕組み。

 排ガス規制強化でBMWを除き直列6気筒エンジンやターボエンジンが激減。
 だが材料の革新と変更、インジェクターの直噴化またはポート噴射との二重システム、シングルインジェクター直噴エンジンの吸気工程での噴射、より強めの吸気タンブルなど設計思想が変化し、燃費性能改善から圧縮比は上昇傾向に。
 約30年前の8〜9の圧縮比は現在では10以上まで高められており、ノンターボエンジンでもノックセンサーが搭載されている。

 圧縮比を高める、またはリーンバーン(希薄燃焼)での燃焼領域を使えば燃焼温度は上昇し燃費に貢献するが、常温・常圧では反応しない窒素&酸素が、高温・高圧化では窒素の酸化反応が始まり、温度上昇ともとに酸化が激しくなる。
 この酸化によりNO、NO2などNOxが発生してしまう訳か。


(イノベーションリサーチ 山田順一)


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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界7




【コージェライトDPF、大型ハニカム】


 ガソリンエンジン用に5億個以上の実績を背景に日本ガイシがコージェライトでもDPFに参入してきた。
 特徴は低熱膨張、耐熱衝撃性でSiCの様に分割して製造し接着する必要がない代わりに、SiCと同様に片側の穴の目封じが必要だ。焼成温度は1200〜1300度CとSiCより低く、コージェライトは低コストで製造可能。 DPF市場拡大見込みに加え、ガソリンエンジンでのパティキュレートフィルター搭載が視野に入ってきた(5年以上前のレポートですので、当時GPFは量産されていません)。


 燃費を稼ぐために圧縮比を上昇させるとノッキングが生じやすくなることを記載したが、これを防ぐ方法としてシリンダー内に燃料を噴射する直接燃料噴射方式(一般に直噴という)が増加している。
 吸気・圧縮・爆発・排気の4工程からなるピストンエンジンは排気後に空気とガソリンの混合気を吸引し圧縮させるが、直噴では空気のみを吸引し、圧縮後に直接燃料を噴射する。燃料は高圧にしているものの冷たく、シリンダーに直接噴射することで気化熱がシリンダー内の熱を奪うことでノッキングを防止する効果を狙っている。
 つまり通常の吸気管に燃料を噴射するポート噴射に比べ圧縮比を高く設定することが可能で、直噴では高圧縮比、熱効率向上、低燃費が得られる。しかしながら世の中の科学・自然現象に於いては必ずメリットの反対側としてデメリットがある。

 それがパティキュレートだ。
 ポート噴射では吸気管に燃料を吹くため吸気管からシリンダー、そしてシリンダー内でのピストンの上下運動を経て、点火プラグで着火するまでの距離や時間が長いため燃料と空気が一様に混ざる確率が高い。
 しかし直噴ではピストンの圧縮工程で点火プラグに着火する直前の短い時間内に燃料を吹くため空気と一様に混ざるとは言えない。そこで燃料を高圧にして噴射したり、ピエゾにしたり、噴射穴を細かく加工したりと工夫がされている。

 高燃費を狙う設計からピストン径は短く、ストロークは長めの所謂ロングストローク型が主流になった。また小排気量エンジンではピストン直径が短いため、噴射した際にシリンダー内壁に燃料が付着することで未燃焼となってしまうことがある。
 おまけにダウンサイジングと称して排気量を下げながらターボを搭載。エンジンを熱から守るために本来必要とされる以上の燃料を噴射することで、排気バルブや温度センサーを保護する燃料冷却が行われている。

 こうしたことからポート階射に比べ直噴、特にターボ搭載エンジンはパティキュレートの排出個数が多いのが実情だ。


 つまりPM2.5と言う言葉が一般的になった。
 目に見えないパティキュレートが相当浮遊しているということだ。
 目に見えるパティキュレートは空中での浮遊時間が短く、一度路面に落ちると再浮遊は少なく、仮に人が吸引したとしても鼻や喉の粘膜に留まる。
 しかしながらPM2.5以下だと鼻や喉を通り抜けて肺の奥まで吸引され、そのパティキュレートは長期間肺中に留まってしまう。目で見える粒子は確実に減ったが、見えない粒子は増加した訳だ。


 日本は森林保護で杉を植林したため遥々日光から東京まで花粉がやってくる。
 ちなみに原発事故ではチェルノブイリから日本までセシウムが風に乗って到来したとアイソトープ(放射性同位元素)技術者から聞いており、花粉が良く飛ぶのも頷ける。

 しかし花粉発生は今に始まったことではないが、最近ではアレルギー性鼻炎や花粉症患者が急増している。
 杉を植林した時点での年度での本数を調べると、1960年代以降に花粉を多く発生させる樹齢30年以上の杉林が多くなったからとの報告がなされているが、花粉を吸引しても直ぐ発症する訳ではなく、ストレス反応は環境汚染物質が何らかの要因となっている可能性について各研究機関から報告が相次いでいる。


 数年前にVWによる違法プログラムによる実走行時のNOx問題が大きく報じられたが、直噴ガソリンエンジンのパティキュレート問題は相当前から技術者なら容易にわかっていたことであり、2013年12月には国立環境研究所から直噴ガソリンエンジンのPMが異常に多いことが発表されている。
 欧州1社、日系1社の直噴ガソリンエンジンとポート噴射の1台、合計3台を比較したものである。内容は以下の通りだ。

 なお当該車両については直噴が2011年式、ポート噴射は2007年式と公表しており、ポート噴射車両は不明だが、直噴はVWとマツダのスカイアクティブであることが容易に理解されている。

[測定方法]

 国立環境研究所内の施設に於いて、都市内を加減速を模擬として公のモードであるJC08モードでテストし、以下を計測排出される微粒子の個数と粒径分布、粒子重量の測定、化学組成(炭素成分、元素、イオン、有機成分)、国産直噴エンジンについては粒子径別に捕囚と組成分布。

[結果]

 ポート噴射に対して国産直噴エンジンの粒子個数は10倍以上欧州直噴エンジンは国産直噴に比べ粒子個数は約5倍でポート噴射の50倍以上であった。
 欧州直噴エンジンは2017年に規制される欧州規制を上回り、2014年に規制される数値付近の数値。
 但し、どのエンジンもディーゼルで問題となった30nm付近のナノ粒子の排出は少なかった。

 粒子の主成分は炭素つまりススであり、ポート噴射では粒子重量の約7割、国産直噴で約8割、欧州直噴では約9割を占めている。
 有機炭素(炭化水素)や炭化元素に対して含有する潤滑油の比は10〜30%であり、大半がガソリンの未燃焼、燃焼生成物、熱分解物質ということになる。


(イノベーションリサーチ 山田順一)


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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界6



【ディーゼルエンジン用パティキュレートフィルター:DPF】


 エンジンの排ガス規制が進む状況下、2000年に入り東京都の石原都知事によるディーゼルエンジンのススが問題との提言もあり、日本の規制強化が進み出し、海外に於いてもPM対策が取られるようになった。

 対策としてはススであるパティキュレートを特殊なフィルターを通して捕獲・燃焼させる仕組み。
 ガソリン車に搭載される触媒用フィルター(ハニカム)では入口から入った排ガスは内部の触媒金属で酸化または還元され、ガスはそのまま通り抜け排出される。だがディーゼル用フィルターでは捕獲が必要なため、一つの穴から入った排ガスは内部の壁を通過し隣り合わせの穴を通して排出される仕組みだ。

 フィルターは一つ一つの穴を交互に目封じた構造で、パティキュレートは壁に残り、ガスは壁を通り抜ける一種の濾過作用で、通過出来ないパティキュレートはある程度溜まった段階で、燃料を噴射(増量)させ熱い排気ガスを吹きかけることで燃焼させる仕組み。

 通常走行に於けるガソリン車両の排気温度600〜900度Cと比較して、ディーゼル車両は100〜700度Cと低い。一般にDPF単体の場合は500〜600度C、DPFに触媒を搭載した場合で300度C以上の排ガス温度がないとPMは燃焼せず、渋滞時のアイドリングやトラックの様に高速道を一定速度でゆっくり走行する時には排ガス温度がPM燃焼温度まで上昇しない。
 つまり排ガスをクリーンにするため仕方なく燃費を犠牲にさせている訳だ。どの程度悪化させているかは定かでなかったが、SMBC証券会社で開催された元技術者によるセミナーでは10%程度の悪化と発言されていた。

 一つの穴の貫通せず片面が目封じとなっている構造上、ガソリン車用ハニカム(フィルター)より圧力損失が大きく、PM堆積が一定水準を超えると排ガスが通過し難くなりエンジンは停止する。

 こうしたディーゼル車両の特性を考慮し2つの材料が検討され、SiCとハニカム同様にコージェライトが選択された。
 SiCは高温に強いためPMの堆積限界が高く一気にまとめて燃焼させることが可能で燃費面では有利だが、排ガスに対する抵抗が高く、熱膨張率も高いため大型のフィルターには使えない。そこで考え出されたのが構造を何分割した状態で製造して接着するやり方だ。
 トラックよりより短い距離で加減速を繰り返し、熱負荷の大きい乗用車にはSiCを使い、一定速度で長距離走行が多く熱負荷の少ないトラックには主にコージェライトが用いられるようになった。


[SiC−DPF]

 SiCは炭素と珪素の化合物で、天然物としては存在せず宇宙から飛来する隕石に一部含まれている程度。
 19世紀以来、工業的な製法は黒鉛の粉の上下に珪石、コークスを重ね、電極に電圧をかけて黒鉛が発熱することでSiCに。耐熱性、熱安定性、熱伝導率とも高いのが特徴。極めて高い安定な化合物だが、難焼結材料であり単独で焼結するには2,000度C以上の高温焼成が必要。
 大気中では850度C以上で酸化が始まるため非酸化性雰囲気で焼成する必要がある。

 SiCの基本的な結晶構造はSi原子(珪素)またはC原子(炭素原子)が作る正四面体構造を頂点としてC面(底面)となり、C面の層が六方晶のC軸方向の積み重なる構造。
 積み重ねにより200種類以上の結晶構造を持つSiCは、それぞれに優れた物性を持つ。
 工業材料として焼結体や単結晶に用いられる代表的なSiCは2H、30、4H、6H、15Rなど(Hは六方晶、Cは立方晶、Rは菱面体晶)。2H、3C、4Hの3形態を比較した場合、4Hは高温安定、2Hは低温安定など性質が異なる。
 SiCでは3C構造をβ型、六方晶・菱面体晶をα型と呼ぶ。β型の結晶構造はダイヤモンドの置換型の閃亜鉛鉱型構造であり、α型は閃亜鉛鉱型構造と同質形のウルツ鉱型構造と似た構造。


 SiC−DPFトップシャアのイビデンは長年培ってきたカーボンカーバイトの技術を応用し.独白開発の易焼結性β−SiC粉末を完成させ、低融点の添加物を含まないSiCのみの構造体であり、耐熱性、高熱伝導率で放熱性に有利だ。

 日本ガイシはガソリン車用ハニカムの応用からコージェライト製で先行したが、難焼結性のSiCでは2,000度C以上で高温焼成ではコスト高となるため、Si金属とSiCの複合材を作り上げ焼成温度1,300度Cで可能なDPFで参入した。

 SiCは熱膨張率が高く、急激な温度変化では膨張・収縮が大きく、本来の性質は耐熱衝撃性に弱く、そのままDPFに応用した場合はPMの堆積で一気に燃料増量して燃焼させてしまうと熱膨張でクラックが入る可能性がある。
 そこで上述した様に、フィルターをいくつかに分割したユニットにして接着することで、熱膨張をSiCの限界範疇に抑制している。

 2000年にフランスのプジョーが2.2リッターディーゼルエンジンでDPFを世界で初めて搭載(新車として)イビデン製DPFが使われた。
 SiC−DPFの製造方法はガソリン用のハニカムとほぼ同様であるが、イビデン製では原料粒径の異なるSiC粉末を用い、日本ガイシ製ではSi金属粉末とSiC粉末を水と有機バインダーを加えて混練している。
 双方とも押し出し後目封じを行いイビデン製では約2,000度C、日本ガイシ製では約1,300度Cで焼成する。


 以上の内容は国立科学博物館技術の系統化調査報告からのものです。
 なぜ当時のプジョー(PSA)は初参入のイビデン製を採用したのでしょうか?
 何よりPLを恐れる自動車業界ですから。


 この解を記載した証券会社のレポートを見たことがありません。
 きっとみずほ証券の山田幹也アナリストが一番詳しいかと思います。


(イノベーションリサーチ 山田順一)


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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界5




 自動車触媒担持用ハニカムフィルター(ガソリンエンジン用)のプレーヤーは日本ガイシとコーニングが2強で各々50%弱のシェア。残りはトヨタグループのデンソーで、素材の異なるメタルハニカムでは新日鉄住金マテリアルズ(日鉄ケミカル&マテリアル)。


 触媒コンバータで初期に採用されたセラミックス材料はコージェライトが選定され現在でも利用されている。コージェライトはアルミナ、タルク、カオリンなど土中に含まれる成分でコストは・・・安いですね。

 酸化アルミニウム(通称アルミナ)は地球上で酸素、珪素に次ぎ多い元素で、硝酸アルミニウムや硫酸アルミニウムを1200〜1300度Cで熱分解または塩化アルミニウムを酸素または水蒸気で1000度C以上で反応させる。
 酸化アルミニウムの2019年の輸入価格はキロ当たり30.9円。

 カオリンはカオリン石から取れる粘土鉱物の一種で、カオリンの含有率が高いほど高温に耐える磁器となる。アルミ、シリコン、酸素からなり価格はトン当たり5万円台で、タルクも同様の価格帯でキロ換算だと数十円程度になり
ましょう。

 この3つの粉末を混錬する際、水分やつなぎが必要となるが素早く混ぜようとすると料理でいうところの“ダマ”が出来てしまう。
 まずは粉末だけを混合し、次に水を加えて混練して行くが、短時間で効率良く混ぜる工夫がされている。

 エレクトロニクス向けなど小さく機能性が要求される製品のセラミックスでは分散剤を液体に混ぜて紛体に馴染むようにし、分散剤に覆われることにより粉末は再凝集させない効果もある。


 粉末、水、バインダー、その他原料を混ぜて作ったスラリーは、粉末粒子の周りに空気が存在しない塊でなければならない。
 粉末(粘土)粒子の隙間に水が入り込んで潤滑油のような役目をして、滑りや水と密着して粘りを出して原料粒子を引き付け合わせるという練る工程が重要。時間をかけて練ると滑りやすさを出るが乾燥後に割れてしまうことから、製品の特性に合わせて小さい力、大きい力など機械を使い分けて練りの工程を行う。
 練りでは成型時に形を変えやすいほどの柔らかさ、成型後にはその形を維持できるほどの硬さの粘土にしている。

 10割蕎麦ではポロポロと途切れてしまい裏テクニックがあるとかで、セラミックスの世界でも増粘剤やら混ぜてと裏方企業の存在もありましょう。
 DPFも含め裏方の中小企業名が特許に出てきます。


[ハニカム製造に於ける歴史]

昭和40年代

 排ガス規制強化からハニカム型とペレット型の2つが候補となる。
 ハニカムは軽量で背圧が低いものの高コストに対して、ペレット型は担体が粒状で破壊の心配ないが、背圧・重量が重い。


昭和46年(1971)

 日本ガイシがハニカムの研究開始。他に世界で20社がハニカムの研究を始める。


昭和47年

 日本ガイシが押し出しでのハニカム製造に成功するが国内自動車メーカーは評価せず。
 米国GMはペレット型採用方針で日本ガイシ製を評価せず、唯一フォードのみがハニカムを採用の方針。


昭和48・49年

 日本ガイシが試作品を米触媒メーカーであるエンゲルハルトに提供するも熱衝撃性弱くクラック入り改良に入る。そして衝撃性改良品をフォード、エンゲル社に提供。この頃に米コーニング社のハニカムが評価される。


昭和50年

 日本ガイシにフォードからハニカム100万個の価格と納期照会。フォードはハニカム使用の方針を決める。この時点でハニカム開発企業は米国勢3社と日本ガイシ、デンソーの合計5社に減少。
 GMはペレット型を採用決定。理由はハニカムの低信頼性と供給企業の少なさ。


昭和50年11月

 日本ガイシ、フォードから150万個の引き合いが来る。
 12月にサンプルテスト不合格、契約交渉中断。低熱膨張品の開発急務。


昭和51年

 1月 日本ガイシが低熱膨張品開発し、フォードのテスト合格。
 3月 月産3万個の量産ライン完成。
10月 フォードへ2万個出荷。


昭和52年

 フォードから薄壁化(300→150ミクロン)要求。
 月産12万個体制
 日系自動車メーカーもハニカム方式に採用にシフト。


昭和53年

 日本ガイシ 薄壁化完成


 ハニカムは自動車走行中に於ける急激な温度変化や3次元の大きな振動、そして耐熱性といった厳しい要求から、低膨張かつ耐熱性の材料が検討された。
 全てのセラミックス材料で1,000度C以上の使用環境に耐えられるが、
 膨張係数の大きさでアルミナとムライトは除外された。

 リチウム・アルミニウム・シリケート及びアルニウム・チタネートの熱膨張係数は低いものの高コストであり、後者は高温で熱分解することで対象外となり、コージェライトが選ばれた。
 コージェライト結晶は熱膨張性に異方性があるのが特徴で、この特徴を活かして低膨張化を実現している。A軸、B軸、C軸の結晶軸は各々熱膨張率が異なり、特にC軸方向ではマイナスの膨張係数をとることが特徴的である。
 含有率が高いほど耐熱性が上昇するカオリンのカオリナイト結晶は板状の平たい結晶構造であることから、圧力をかけて口金を通す成形過程でせん断力を受けて結晶の方向がハニカムセル面と同じ方向に配向する。この現象があったからこそコージェライトの低膨張ハニカムが完成した訳だ。

 ところが、このメカニズムは当初わからなかった。

 低膨張材料の開発実験中に焼成後のコージェライト原料粉末を粉砕した時に、ある条件のもとで結晶方向が揃う現象を日本ガイシの技術者が発見したのだ。

 コージェライト結晶はカオリナイト結晶を基準に生成するため、負の膨張性を示すC軸方向がハニカムの壁面と平行となって成長する。
 このためハニカム構造体の熱膨張に寄与しないセル壁厚み方向に高膨張成分が向けられ、低膨張率のハニカム構造体が完成した。

 日本ガイシは日米欧で特許を申請したが、コーニングが先に低熱膨張コージェライトとして特許を出願していたため、長い交渉ののち昭和53年にクロスライセンスとして技術提携し、コーニング社と対等合弁で販売企業エヌコアを設立した経緯がある。

 現在ではセラミックス製触媒単体(ハニカム)供給企業は世界3社でシェア100%であり、新規参入はほぼ不可能。


 上述した原料を分級したのち混練りし押し出し口金を通すが、日本ガイシでは独自方法であったが1976年に英国企業とクロスライセンス契約を結び特許問題を解決。

 だが口金(金型)の製造が難しい。
 口金裏側から入った粘土スラリーは口金内部のスリットを通過する際に十文字に広がり、隣通しのスラリーが圧着・合体してハニカムを形成する。この口金内部のスリット加工には放電加工が施され、それ以外にもドリルなどが用いられている。
 ドリル加工する穴の深さと径の比、つまりアスペクト比は20を超え、穴の数も数千となるため非常に難しい金型製造となる。口金はハニカムの直径より多少大きい程度であり大きさは10センチ強と小さいが、価格は驚くほど高い。

 比較対象にするべきかの問題はあるが、重量当たり単価では超高級車ブカッティ・ヴェイロンと比べて桁違い。


 ここにも裏方企業が登場する。

 金属中に緩やかながらも曲がった穴を形成可能とする凄腕企業が存在し、モノを見させて頂いてビックリ。三菱重工、ブリジストンなどメジャー企業の裏方として活躍している。

 排ガス規制がより厳しくなる先進国では薄壁2ミルの方に、新興国でも一部の国ではより薄壁化へ、新興国では搭載無しから搭載の方向へ向いて行くことが予想される。
 現在、コージェライトハニカムの競合品はメタル製しかなく、日鉄グループが製造販売を行っているものの、高価で採用が増えている状況になさそう(数年前の段階)。

 約20年前だが、スバルのスポーツ車両であるインプレッサWRXはターボ搭載のハイパワーエンジンでメタル製の触媒担体を使用していた。エンジンルーム内での取り回し(配置)からコージェライト製は無理で、形体を変更できるメタル製でしか解決出来なかったからであるとの回答をスバル技術者から得ている。300万円を超える価格帯であるから採用できたとの側面もあろう。


 コージェライトハニカムが登場して40年以上。これを代替するものは未だ出てこない。


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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界4




 セラミックス製造方法は前号で終了し、今回は排ガス規制についてです。


 日本ガイシ・日本特殊陶業ともガソリン、ディーゼル車両の排ガス、燃費規制強化により、ビジネスが大きく育ってきた。

 1963年に米国で酸性雨、オゾン層保護が目的の大気浄化法が制定され、自動車排ガスや二酸化硫黄排出の制限やフロン、四塩化炭素全廃の規制が成された。
 その後、1970年に改正法であるマスキー法が提案され、、1970年以降製造される車両の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の排出量を10分の1以下に、1976年以降の車両では窒素酸化物(Nox)を10分の1以下とする世界一厳しい内容であった。

 技術的に高い壁となったものの本田技研工業がCO、HC、Noxを同時に低減させるには燃料を完全に燃焼させる以外に方法はないと判断し、希薄燃焼実現に漕ぎ着けた。完成したエンジンはCVCCと名付られ、主燃焼室の上部に設けられた副燃焼室で若干濃い混合気を燃焼させたあと、希薄燃焼させる主燃焼室に火炎を伝播・燃焼させることでCO、Nox、HC低減を図った。
 だがHCは1975年の規制値以下に低減することは出来ず、その後の技術研究で排ガスの保持熱による排気管での酸化反応によるHC低減が可能となり、酸化触媒を用いずにマスキー法をクリアする目処が立った。

 余りに厳しい規制から米国ビッグ3が反発し、実質的に廃案となったが、その後先進国中心に規制が強化されて行くことになった。


 日本では昭和48年規制(1973年)が制定され、その後昭和50年規制、そしてマスキー法を達成するレベルの昭和53年規制を迎えることになり、この53年規制が100年に一度とも思える大きな転換点化になったと個人的には今でも思っている。

 昭和53年規制では従来のベルヌーイの定理によるベンチュリ管を利用したキャブレターでの燃料噴射では規制をクリアー出来ず、レースや高級車の一部で採用されていた電子制御による適切な燃料噴射と燃焼室を出た排ガスをクリーンにするためHC、CO、Noxを同時に浄化できる三元還元触媒が利用されるようになった。規制前の電子制御ではボッシュのDジェトロやJジェトロが有名である。

 この燃焼度合いを測る装置として登場したのが酸素センサーで1976年にボッシュが初めて世に送りだした。
 完全燃焼となる理論空燃比1:14.7(燃料対空気)をある程度図るための部品である。ボッシュより1年後の1977年にデンソーが、6年遅れの1982年(昭和57年)に日本特殊陶業が酸素センサーの製造販売を開始した。

 昭和53年以降、日本ではガソリン、LPG、軽油など燃料ごとや、車両(大型、小型)毎、ほぼ毎年のように規制が強化され、2000年(平成12年)には現在のベースとも言える、昭和53年以来の厳しい規制が図られ(海
外も同様に強化)、2000年の排出ガス規制は昭和53年規制値のCO、HC、Noxを70%下回る数値となり、スカイラインGTR、スープラ、RX−7などのスポーツカーやターボ車両、直列6気筒エンジンなどが生産中止となっていった。


 昭和53年以降に順次導入された三元還元触媒は規制強化が成される毎に新製品が投入されてきた。三元還元触媒には触媒金属を担持するセラミック製などのハニカムが用いられる。
 ハニカムは細かい蜂の巣状の微細なセルが設けられておりセル中の表面に触媒金属が担持され、排気ガスが通過することで無害な物質に還元され仕組み。
 規制が強化される毎にセルの壁厚は薄くなり、上市当初壁厚12milで200cpsi(ミルとは千分の一インチ、cpsiは1インチ平行当たりの穴の数)であったが、その後6mil/400cpsiが登場。薄壁化するこ
とで触媒金属が早く温まり浄化機能が改善する他、排気ガスの圧力損失も低減する。またセル数を多くすることはセル内部の表面積を増すこととなり、通過する排ガスが分解される面積が広くなることで浄化性能の向上につながる。
 1999年にはティッシュペーパー1枚分の厚さの2mil、1インチ平方当たり900cpsiの製品が日本ガイシより投入された。


 2000年以降、東京都の石原知事がディーゼルエンジンの粒子状物質が問題だとして、ペットボトルを振りかざし国に先駆けて規制を強化する記者会見をきっかけに2003年には粒子状物質の規制が開始され、ススを一旦フィルターで捕獲し熱で焼く仕組みのDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)が登場する(日本ガイシ、イビデン)。

 1990年以降、特に1996年の米国LEV法や、当時導入予定であった日本の2000年法を鑑み、HCの特に厳しい規制強化から自動車会社は冷間始動時での空燃比制御を開始することでHCを低減させる効果を狙い、酸素センサーでは不十分であった空燃比制御を、精密な測定可能なセンサーに置き換えていった。
 1996年に世界で初めてデンソーがAFセンサーを上市し、日本特殊陶業は1991年に上市。

 1997年に気候変動枠組条約に関する京都議定書が採択され、1998年にUEとAECA(欧州自動車工業会)の間で二酸化炭素排出に関する自主規制の合意があり、2008年までに欧州で販売される乗用車の平均二酸化炭素排出量を140グラム/Kmまで削減することになり、日本、欧州の自動車メーカーでは燃料噴射をより精緻にコントロールするための手段としてAFセンサーの搭載比率が上昇していった。


 以上、排気ガス規制についてでした。


 余談になりますが、日本のガソリンエンジン量産車輛でいち早く電子制御燃料噴射を採用したメーカーは?
 1970年に他社に先駆けて117クーペなんですね。

 いすゞ イコールトラックメーカーになってしまいましたが、私が幼いときは父親と友人の会話で117は良いらしい、ベレG(ベレット)も良かったからなあと良く言っていたもんです。
 その後はジェミニを投入し、特にガソリンエンジンのZZはファンも多く正に走り屋仕様。欧州で撮影されたCMでは2台でのドリフトや、バックスピンターンを決めて地下鉄構内のホームに進入した時に電車が来るシーンなどなど、今も当時も考えられないCMです。是非ともユーチューブで御覧ください。

 実はいすゞ自動車、レースの最高峰のF−1用の12気筒ガソリンエンジンを独自に作っています。初めてのタイムアタックは他社本番のレース車輛より遅かったですが、熟成されていない状況下で初のテストとしては驚きであったと言われています。

 私の免許取り立て当時は初心者マークを付けてジェミニでした。その後、2トントラックのエルフや4トンのフォワード7,000ccも運転し、完成度の高さが感じられるメーカーでしたね。
 個人所有では3.1リッターのディーゼルに乗ってましたが、三菱自動車の2.8リッターよりカタログ表記の馬力では負けてますが、実際の加速はいすゞが上。メーターベースで180キロは無理ですが、結構出ましたね。燃費もいいし、いすゞディーゼルエンジンの凄さを感じました。


(山田順一)


(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。また、当該情報は執筆時点での取材及び調査に基づいております。配信時点と状況が変化している可能性があります。)

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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界3




前号ではセラミックス製造の混錬を記載しましたが、今回は成形工程以降です。


【成形工程】


 成形方法には押出し、射出成形、加圧成形、鋳込み等がある。


 押出し成形はセラミックス原料である粘度に圧力をかけ口金(一種の金型)から押出す方式。断面積が一定なのでパイプ状に適しており自動車排ガス用フィルターなどの多孔質セラミックス製造に適している。
 押出し速度を一定にしないと断面積形状が変化してしまい、他に粘土成分、密度、特性も一定にする必要あり。
 生産性向上を狙い押出し速度を高めると圧力による摩擦熱で原料特性が変化したり、口金の摩耗が激しくなる。かといって水分量を増やすと強度不足で重力に負け押出し直後に成形体として形状を維持できなくなり、可能な限り小さな力で押し出せる流動性と口金を出た時に形が崩れない保形成が必要である。


 鋳込み成形とはセラミックス原料に水を入れてスラリーを作り、型に流し込む方式。
 但しセラミックスは吸水量に限界があり厚手の製品が作れず、粒子の密度分布が広がってしまうため乾燥・焼成工程で変形が起こりやすい。最近では温度や化学変化を利用してスラリーを型内で固化させるゲルギャスト法が開発され、複雑な形状を簡単に成形することが出来るようになりつつある。

 このように成形工程も進歩を遂げているものの、ベースとなるスラリーの粒度配合、水素イオン濃度の調整、分散剤添加で濃度、粘性、粒子凝集状態の徹底管理を行っている。


【焼成工程】(日本ガイシ技術資料より)


 セラミックス成形体に熱を与えることで水分、バインダーを除去することで原料粒子同士が密着し、粒子間距離が縮小することで全体が縮小する。
 この現象を焼結と呼び、焼成温度が高いほど、原料粒子が小さく・丸く・粒子分布が揃っているほど焼結後の製品は緻密になり硬くなる。
 焼成工程で硬度・強度以外にも気孔率、電磁気的、熱的特性が決まる。焼成時間・温度・雰囲気など条件を変えることでいろいろな機能が作り出せる。

 セラミックスの焼成では時間をかけながら温度を上昇させ、最高温度を保持したあと常温に戻す工程が一般的だ。ゆっくりと温度を上昇させる初期の領域では混練時に加えた水分やバインダーを熱で除去することで、原料粒子間の距離が縮み成形品全体が縮小する。急激に温度を上昇させると成形体の表面と内部に温度差や収縮差が生じてしまうため、クラックなどの原因となる。

 次の領域では初期の領域から高温とすることで原料粒子が結合し更に収縮する。
 温度上昇時間、ピーク温度及び維持時間によって製品の機能(気孔率、耐熱性、教祖)が決定されるため、非常に重要な領域であり各企業のノウハウである。
 ピーク後の冷却領域では原料によっては収縮するケースもあるので、沈降温度と時間の管理が必要。

 焼成釜は主に2種類。
 一つはある大きさの釜を用意し成形体を投入し、上述のAからC工程の順に焼き上げる方法のバッチ処理だ。
 もう一つは流し焚きの方法を用いるトンネル釜方式。高さ2〜3メートル、長さ数十メートル以上の煉瓦造りのトンネルを作り、その中をトロッコ列車(の様な)が走行する。トロッコ列車の荷台にセラミックス成形体を並べてお
き、例えば午前9時に1番トロッコを出発させ、2番トロッコは昼の12時に出発させるといった具合に間隔をあけて投入し、予熱帯、焼成帯、冷却帯を通過させて行く。

 1928年に日本ガイシが流し焚きを開始し、焼成帯でバーナー加熱するときに発生した燃焼ガスを予熱帯に流し、成形体加熱後の釜出口で排気する方法を採用してきたが、ピーク温度領域で発生した燃焼ガスの熱量によって予熱帯での温度が決まってしまうため釜内部の温度差が発生し易く、狙った温度分布を実現するためにはファインセラミックス製品のより高度化から温度管理が難しくなり、従来の流し焚きでは焼成が難しくなり、2001年からは新しい焼成方法に変更されている。

 バーナー内部に蓄熱体を装備したリジェネバーナーの採用で、燃焼と排気を周期的に切り替えることで蓄熱体を介して燃焼ガスの熱を回収し、燃焼空気を予熱するもの。
 またゾーン制御と呼ぶAからC領域にで各々発生した燃焼ガスを各領域で排気することで各領域での独立した温度制御を組み合わせている。
 このリジェネバーナーとゾーン制御によりトンネル釜の温度コントロール性は飛躍的に向上し、焼成品質、焼成時間、効率とも大幅に向上した。

 但し、これでも排気として熱が捨てられているため、これを熱源として利用することが研究・開発されている。
 これとは別に投入されるエネルギー量を減少させる方式も考えられている。

 セラミックス焼成を低温で行いたいという願いはオイルショック以降、高まった。低温焼成はエネルギーコスト低減に直結するが、及び釜構成部品の損傷低減や安価な材料活用が見込める。
 低温焼成のためには焼結助剤添加、加圧焼結、易焼結粉末の利用などがある。
 焼結助剤添加によりセラミックス原料原子の拡散や焼結速度の上昇が見込めるが、添加剤により製品の高温特性の低下が若干見られ、この犠牲を余儀なくされても構わない場合に用いられている。
 加圧効果はホロプレス方式があり、高温・高圧力を利用する。

 排ガスフィルターメーカーの実際の製造ラインでは焼成前に100度強の熱風乾燥で水分をある程度飛ばしているのは日本の2大メーカーとも当時同様であった。
 焼成工程では製品投入後の最高温度は一般的にコージェライトでは1,000+数百度で焼き上げるが、最高温度到達を急ぐとクラックが発生するためゆっくりと温度を上昇させて行く。ところが到達までの時間が競合に比べ早いのが日本ガイシさん。さすがです。


【加工工程】


 ファインセラミックスは一般に難加工である。
 しかし焼成を終えた段階では表面状態など出荷出来る状態になく、要求通りの形状・特性に合わせた仕上げが必要だ。
 その一つがダイヤモンド等の砥粒を使った研削で砥石の粒子や削る時の荷重加減が材料によって決定される。ナノオーダーのものではレーザーによる熱源や化学エネルギーを利用するケースも。


[多孔質ファインセラミックスについて](国立科学博物館産業技術史より)

 多孔質セラミックスは多数の細孔と耐熱性、強度、耐食性を併せ持ち、分離、吸着、ろ過、拡散などのフィルター、触媒担体、吸着材、断熱材、吸音対など広い用途がある。
 細孔は20Å以下のミクロポア、20〜500Åのメソポア、500Å以上のマクロポアに分類される。
 他に開気孔と閉気孔にも大別され貫通もしくは非貫通の開気孔、閉気孔など。開気孔は主に分級やろ過に、閉気孔は断熱や吸音に利用される。

 細孔は原料粒子相互に形成される空隙に由来するマクロポアとゼオライトに見られる粒子内のミクロポア、中間のメソポアに分かれる。
 一般に焼成工程で存在するのはマクロポアであり、自動車排ガスフィルターのハニカムでは薄壁中の細孔をミクロポアとして、薄壁によって形成されるチャンネルをマクロポアとする二様性細孔構造。
 排ガスフィルターとしての用途では補足される環境汚染物質の粒子径は最大細孔径によって決まる。
 細孔径分布は焼結体の特性としてある細孔径でピークとなり、一様性の細孔構造となるが、原料骨材(粒子)の粒子分布を均一化すると細孔径分布はシャープになる。ミクロポアを持つ粒子を適正な条件で製造すると細孔径分布は大小2つのピークを持ち二様性を持つ。触媒担体として用いるときはミクロ・マクロポアの2つが共存するように細孔径分布を制御する場合も。

 また触媒担体として用いる場合には単位重量当たりの物質の表面積(比表面積)が重要となり、ガス圧力の変化に対してのガス成分の吸着量の変化を調べ、吸着量を求める。比表面積を大きくとるために平均細孔径の微細化と細孔容積の増加が必要。


 次回は自動車の排ガス規制。


(山田順一)


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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界2




 前号のセラミックスの種類に続き、2回目の今回は製造工程の混錬まで。


【ファインセラミックス製造工程】


 原料 → 混練 ⇒ 成形 → 乾燥 ⇒ 焼成 ⇒ 加工 → 製品

 ファインセラミックス製品を作るのには、天然に存在する原料の人工的処理が必要で、ファインパウダー(微粉末)の研究がまず第一にある。

 ファインセラミックス製品に使われるファインパウダーの条件は、
 1)微粒子であること
 2)粒子の凝集がないこと
 3)粒子径が揃っている(狭い範囲での粒子径分布)
 4)球状であること。
 5)化学的に高純度

 上記条件を満たすために気相・液体・個相反応により合成され、必要なら精製を行う。
 微粉末にする際は粉砕法と合成法が使われる。


【混練工程】


 混練工程は原料・水・バインダーを調合して練り、成形で付きやすい(くっつく)混合物とし、成形後は保形成の良い原料とする工程。
 練る工程は均質に分散させた粘土やバインダー、水、その他をなじませ、原料中の空気を充分抜いて成形しやすい塊にする。水が粘土粒子とバインダーの間に入り込み潤滑油の役割をし、滑りを出すとともに水の密着で粘りを出し、粘土内粉末の摩擦力に打ち勝つ必要がある。
 練りの時間を加えることで硬さと粘り度合に変化が現れるが、成形方法に合わせた硬さと粘りのバランスを取る必要から、微妙な力加減と時間の調整が必要。
 バインダーが加わった原料は練時間を加え続けると、粒子同士の滑りは向上するが、バインダーがズタズタに壊れ乾燥後の糊(のり)としての性能が低下するため割れてしまう。
 実際のファインセラミックス練り工程では餅つき機のような小さなものから、圧力をかけながら大小2枚の羽根でかき混ぜるタイプなど、様々な練りを行っている。
 滑りやすい、粘り強い、という相反する特性のバランスが粘土の優劣を決めるが数値化が難しく職人芸の世界であったが、日本ガイシではNGK式硬度計や各種のレオロジー測定(変形させるときの必要な力)の科学的分析を進めた。

(以下、流体説明は一関高専の資料から)

 ここでレオロジーというものを考えてみるが、その中で重要な要素は粘度であり、これは流体の流れ難さを表現するもの。

 水を入れたグラスを傾けると水は何の抵抗もなくこぼれ落ちて行くが、蜂蜜を入れた場合はグラスを傾けると、ゆっくりこぼれ落ちて行く。これは水と比較して蜂蜜の粘度が高いから生じる現象である。

 では次にマーガリンと蜂蜜(一般的な)を考える。
 マーガリンをグラスの底に入れて傾けても形を保持して流れ出ることはない、つまりマーガリンは蜂蜜より粘度が高く、マーガリン>蜂蜜の関係。
 今度はトーストの上に蜂蜜を、もう一枚のトーストの上にマーガリンを載せて塗ってみるとほぼ同じ力を加えただけで塗ることが出来る。
 粘性はマーガリン イコール蜂蜜となる。

 では2つのボールにマーガリン、蜂蜜を各々入れて攪拌すると蜂蜜は結構な力を加えないとかき混ぜられないが、マーガリンは徐々に小さな力でかき混ぜることが出来るようになる。つまり粘性は蜂蜜>はちみつとなり、グラスに入れた時と逆になっているではないか!!!

 つまりかき混ぜる力によってマーガリンの粘度が変化する訳で、簡単に言ってしまえば加える力によって粘度が変わるものを非ニュートン流体、蜂蜜や水の様に変わらないものをニュートン流体と呼ぶ。
 水、食用油、水飴は粘度の違いはあるがニュートン流体に含まれ、マヨネーズやヨーグルトは非ニュートン流体に含まれる。
 この非ニュートン流体が単純でなく、加える力によって粘度が上がるものもあれば下がるものもあり、経過時間によって変わるものもあり、大きく3つに分類される。

[ビンガム流体]

 マーガリンやバターは少しの力では動き出さないが、一定を超えると動き出し、バターを流動させるに必要な力を降伏応力と呼び、その値を降伏値と言う。
 降伏値を超えるとニュートン流体の様に一定の粘度となるものをビンガム流体と呼び、別名塑性流体。

[擬塑性流体]

 降伏値を持たず力を加えると粘度の低下するものを言う。
 力を加えるまでは高い粘度を持ちビンガム流体の様な振る舞いをすることから頭に“もどき”“擬”が付き、マヨネーズ・ケチャップなどチューブに入った身近な食品がこれに当たる。

[ダイラタント流体]

 力を加えると粘度が上昇する流体を言う。例を挙げると、片栗粉に水を加えかき混ぜると徐々に粘度が上昇して行くのがこれに当たる。

[チキソトロピー」

 かき混ぜると粘度が低下すると言う点では擬塑性流体と同じだが、低下したあと一定時間経過すると元に戻ったりする。
 そのような性質をチキン性と言い、チキソ性がある、チキソ性が強いなどの表現を使う。ペイントがこの性質。

[レオペクシー]

 力を加え粘度の低下したチキソ流体に緩やかな振動・攪拌を加えると、放置したままより粘度が上昇する。または流体に力を加え続けた時に時間の経過とともに粘度が上昇して行く現象で、逆チキソトロピーと呼ばれる。


【流体の弾性について】

 薄い鉄板にある一定レベルの荷重を与えると曲がるが、その荷重を取り除くともとの形に戻る現象を弾性と呼ぶ。
 ゴムは大きく伸縮する弾性を持つ傍ら、オイルの様な流動性も持ち合わせ、これを粘弾性と呼び樹脂など高分子系や、食品だとネバネバ系がこのような性質。これらネバネバ系の非ニュートン流体をビーカーに入れて攪拌すると、攪拌棒に沿って這い上がって行く現象が起こるがこれをワイゼンベルグ現象(効果)と言い、ニュートン流体でこれを行うと遠心力により攪拌棒近郊の液面は低下し、外側のビーカーに近付くほど液面は上昇するため、非ニュートン・ニュートン流体では反対の事象が生じる。

 粘度とは流体の動かし易さの度合いであり、傾けたとき、指で触れたとき、攪拌した時など場面によって捉えることがことが出来るが、これを数値化したものであり、細い管に通して流れる時間と両端の圧力差から計測したものを細管式粘度計、静止流体に球を落として落下時間から計測するものを球形式粘度計、流体を回転させてその時に加えるトルクから測定する方式を回転式粘度計などがある。
 細管式や球形式はニュートン流体以外に向かず回転式が一般的に用いられ、この回転数を自在に制御できる装置をレオメーターと呼ぶ。レオメーターでは回転数を自在に操れるため、その瞬間ごとの粘度を測定することが可能だ。
 急激に流動させた場合、徐々に流動化させた場合などに対応可能で、ニュートンか非ニュートンか?ビンガムか?など。
 こうした特性を良く理解したうえで、混ぜ合わせた粘土が自重で形が崩れないような硬さを図るために、日本ガイシではNGK式硬度計を発明し使用している。このNGK式硬度計は製造販売されており、名古屋に本社を置く大蔵商事が扱っている。


 今回は混錬までとし、次回は成形工程に移ります。

 セラミックスを理解するため高校の理科の教科書を読むだけでも大分違いますね。

 日本ガイシをカバーしている証券会社勤務アナリストでも流体の勉強している方も何人かはいることでしょう。でもバイサイド(投資家)では結構います。


 億近読者の方には本業が職人芸の世界の方も多数いらっしゃると思いますが、コミュニティサイトでも立ち上げたいものです。


(山田順一)


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セラミックス:日本が誇る職人芸の世界




 皆さんこんにちは。イノベーションリサーチの山田順一と申します。
 今回から億の近道に投稿させて頂くことになりました。


 まずは自己紹介から。

 現在のみずほ証券(旧和光証券)で支店営業、引受企画部、国際金融部、国際営業部、営業企画部営業戦略室とプライマリーを2年経験しましたが、ほとんどはセカンダリーに従事し11年ほどのブローカー勤務です。
 その後、現在のリンクスリサーチの山本さんのお世話になりバイサイドに転向し17年間運用業務に従事しました。ロングオンリーを3年、残り14年はロングショート運用担当です。

 趣味は自動車で現在はスバリスト。自動車のほか、航空、原子力関係に従事する技術者の友人が多く、自動運転屋、電動航空機屋もいまして、話題を提供出来ればと考えています。


 今回から隔週ではありますがセラミックスについて数回に分けて掲載させて頂くことになりました。
 数年前に所属していた運用会社在職中に書いた森村グループ中心のレポートです。解かり易い一関高専のウエブや日本ガイシの技術資料からの抜粋したものをベースに、取材等で得たことを一部御紹介出来ればと思います。

 投資調査では単独で、その後複数回の工場見学や、山本さんと二人でフェロー研究者であり現在の武内副社長との面談など、当時の日本ガイシ磯部副社長、和田部長、杉山課長には大変お世話になりました。

 また自動車部品ナンバーワンアナリストの松本さんからのお誘いにより二人で競合デンソーの排ガスフィルター生産ライン見学や研究者とのミーティングも非常に有意義で、2社の違いもある程度理解出来ました。

 5〜6年前には日本特殊陶業の本社工場を単独で見学させて頂き、4年前には野村證券さん主催による東農の新工場見学も大変参考になりました。

 狭角志向からプラグはより細くなっているのにコルゲートなし!それで4万ボルト以上OK?マジですかみたいな(笑)。またプラグ内にクッションまで備えているとは皆驚きでしたね。
 説明は当時専務執行役員であった現社長の川合さんです。技術面で何でも答えられる凄い方。だけど溶接の質問はNGだったのかな?
 その後、私、工場長含め3人で休憩中に川合さんが「溶接は…」その後有報には記載されてますが何かポイントでもあったのでしょう。
 プラグ用セラミックス(絶縁体)の焼成はお見事の一言に尽きます。白い人形(絶縁体)が3軸全てで縮小し小さくなって行く。見ていると少し不気味でしたが、歩留まりはほぼ100%、凄い!マブチモーター大連工場の磁石焼きを思い浮かべました。

 あまり詳しいことは書きませんが、日本のセラミックス技術の凄さを理解してくださればと幸いです。


【セラミックス:日本が誇る職人芸の世界】


 セラミックスとは陶磁器、最近では耐火物、ガラス、セメントを含む非金属・無機材料を高温で焼き固めたものを言う。
 1970年代以降、エレクトロニクス産業向け磁器では高い精度と性能が要求され、粘土など自然から得て製造される製品と区別しファインセラミックスと呼ばれるようになった。精製または合成された原料粉末をベースに精密調整された化学組成、制御された成形・焼結法によるセラミックス製品である。


 ファインセラミックスの主な種類と用途は以下の通り。


[種類・主要成分・用途]

・チタン酸バリウム Ba03Ti
 高い誘電率に特徴
 主にコンデンサ材料

・チタン酸ジルコン酸鉛 Pb(Zr, Ti)03
 電気を与えると振動する
 圧電材料向け

・フェライト AFe204(AはMn, Co.Ni,Cu,Zn等
 透磁率高く、電気抵抗・耐摩耗性大きく磁性体として利用

・アルミナ AI203
 機械的強度・絶縁性・高周波損失・熱伝導率・耐熱性・耐摩耗性・耐食性良好でファインセラミックスの代表的存在

・フォルステライト Mg2Si04
 マイクロ波損失小さく、高温絶縁性に優れる 電子回路基板に利用される

・ジルコニア Zr02
 ファインセラミックスの中で最も高い強度と靱性を持つ
 ハサミや包丁、単結晶ではダイヤモンドの様な輝きから宝飾品にも

・ジルコン ZrSiO4
 熱膨張小さく耐熱衝撃性に優れる
 耐熱部品・電子管に利用

・ムライト AI6013Si2
 ジルコンの特徴かつクリープ特性良好

・ステアタイト MgO・SiO2
 電気的・機械的特性が普通磁器より優れる

・コージェライト MgO A1203.SiO2
 低熱膨張から耐熱衝撃性に優れる
 多孔質材料としてハニカム担体として利用

・窒化アルミニウム AIN
 熱伝導率高く放熱性が求められる半導体パッケージに利用

・窒化珪素 Si3N4
 高温時の強靭性・耐熱衝撃性に優れる
 エンジン部材として最適の材料

・炭化珪素 Sic
 天然に存在しない人工化合物
 1500度まで強度持続する耐熱材料


 陶器は縄文時代から続き、弥生時代に入って野焼きとして薪を燃やして600〜800度の熱で器を焼いていた。
 1500年前に大陸からロクロで回しながら器の形を整え1000度以上の温度で長時間焼く穴窯(あながま)が伝わる。
 400年前の安土桃山時代には大陸から磁器が伝わり、粘土に長石を混ぜて焼いた緻密な焼き物が始まった。

 一般に焼き物は電気を通さず、同じ性質を持つ紙や木材と比較し、温度や湿度など外部環境の変化があっても性質が変わりにくいといった高い安定性・信頼性が特徴である。

 20世紀に入り高い周波数で使用しても高い出力が得られるセラミックスの特性は他の材料で代替出来ず、応用拡大が続いている。


[セラミックスの進歩]

 陶器など従来の酸化物中心のセラミックスと比較し、ファインセラミックスは窒化珪素、炭化珪素など合成原料である非酸化物の登場で材料が増加するとともに、製造技術の発展により完成品の機能が飛躍的に向上してきた。
 特にセラミックスの粒子径は従来型セラミックスの数十ミクロンに対して、ファインでは数ミクロンまで小さくなり寸法精度が向上し同じ材料でも形体や寸法が異なれば機能や用途が変わる。

 微粒子化以外では焼結添加剤を配合せず、または配合しても焼結体本来の機能を損なわれないような適切な助剤の少量使用、緻密化・寸法精度、形状の制御を可能する成形法、焼結法、仕上げ加工法の開発、高温処理でのエネルギーコスト削減を実現するための低温熱処理法やより緻密な製品高性能化を目指すべく真空やホットプレスなど、焼結雰囲気の多様化が進んでいる。


(次回は製造工程)

(山田順一)


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