【お知らせ】
本日、新執筆者が登場です。新鋭の若手、「アナリスト修行僧」氏です。本人によると、「IT業界について勉強中、愛読書は少年ジャンプ」とのことです。ではご堪能下さい。
◆コラム「アプリックス(3727)について」
アプリックス(3727)についての私の見解を述べたい。
一言で表現するなら、「JBlend」に対する市場の評価は過大、ただしミドルウェアフレームワークの立ち上がりを見極めての投資は妙味あり、である。
以下にその理由を述べたい。
■「JBlend」に対する市場の評価は過大である、と考える理由について■
アプリクスはJavaアプリケーションを動作させるためのソフト「JBlend」を展開する。同ソフトの携帯端末向けのシェアは高く、会社資料によればJava搭載端末の20%、携帯電話全体の10%に搭載されている。
顧客は携帯端末メーカで、売り方は前払いロイヤリティと、後払いロイヤリティ(「JBlend」を搭載した端末が売れた台数に応じてアプリックスに収入が入る方式)の2種類あるが、単純化するため後払いロイヤリティのみで販売していることとして以下の話を進めたい。全て後払いであるとして推定した「JBlend」の単価は(同社は明らかにしていないものの)45円程度と考えられる。
グローバル市場におけるJava搭載端末はおよそ50%。「JBlend」を評価し、有望とする見解は以下の2つのまだ同社が占めていない市場を評価してのことだろう。1)Java搭載端末のうち同社が取っていない部分(携帯全体の30%ほど)と、2)これからJavaが搭載される部分(携帯全体の50%ほど)である。
これらの市場を制し、同社の業績も順調に拡大する、との見解には危険な部分がある。
その理由は、上述した「JBlend」の平均単価45円は二つの価格帯を合成した結果であるからだ。「JBlend」はさまざまな価格帯があり(プロファイルやエクステンションと呼ばれる部分が違う)、当然であるが高機能なものほど単価が高い。ワンセグなどに対応しているものは国内中心である。そのため国内での平均単価を70〜80円ほど、海外での平均単価を15〜20円ほどと私は考えている。
上記の2つの市場を同社が取れることは間違いない。実質上標準化されつつある「JBlend」にはそれくらいの魅力がある。競合は端末メーカの内製であるが、Javaに特化して多くのメーカと取引のある同社とはコスト面から勝負にはならない。
しかしその2つの市場を取る意味はどこまであるのだろうか?
海外での平均単価を15〜20円と考えているとの話を述べた。しかしまだ取っていない市場の平均単価はさらに低い。おそらく3〜5円といった世界である。
長期的には、現在高価格で販売しているものが拡大することもほぼ間違いないだろう。しかしそのころには単価の下落も無視できない。
このような要因から、「JBlend」の将来性に期待し、高いバリュエーションを許容するのは危険極まりない。
それではなぜ投資妙味があると考えるのか?
それはミドルウェアフレームワークに高い可能性があるからだ。
同社は現在、LINUX及びBREW双方のソフトウェア実行環境に対応する、ミドルウェアフレームワークを開発中である。ミドルウェアフレームワークはプラットホームの共通化を促し、携帯電話端末の開発コストを削減させる効果がある。
携帯電話は少量多品種化の流れが進んでおり、開発コストの回収が難しくなっている。
また3Gの時代に入り携帯の開発コストは平均で100億円程度と、2Gの時代は50億円程度だったのに対し高騰している。
ミドルウェアフレームワークの重要性は非常に高い。
「JBlend]の平均単価を45円程度と試算しているという見解を述べた。
ミドルウェアフレームワークの単価は500円程度になると試算している。携帯電話製造の主要コストであるシステム構築とテストの部分(販売台数によって異なるため一概には言えないが、100万台程度の販売台数の場合40%がシステム構築及びテストといわれている)を節約するためこのくらいの単価でも採用メーカには十分メリットがある。
ミドルウェアフレームワークの潜在的な市場規模は「JBlend」の10倍以上になると判断でき、同社の潜在成長力は大きく上昇すると考えられる。
ミドルウェアフレームワークの出荷は、今年上期から始まる。
ミドルウェアフレームワークの動向を見極め、同社への投資を検討したい。
◆おわりに◆
「JBlend]について悪く?書きすぎたが、現在同製品による成長は継続している。世界4位の携帯メーカ、韓国のLGへの納入も決まった。本格的な立ち上がりには2年ほどかかる見込だが、05年の販売実績5,400万台(Java搭載端末は半数程度か?)の同社へ納入するインパクトは小さくないだろう。
そろそろ決算発表だが06/12期の業績は計画未達確実な状況である。最近の株価の下落の一因になっている。
バリュエーションにも少しだけ:同社の収益は、のれんの償却や費用の資産化の有無に大きく影響を受けている。営業CFの過去水準と比較すると、過去最高だった2003/12期の10.4億円を、2006/12期は第3四半期終了時点で20.2億円と大きく上回っている。収益力は確実に高まっており、のれんの償却の消える2007/12期には黒字転換が予想される。
私の予想する09年12月期のEPSは5,500円。
これにPER18倍を乗じた99,000円を目標株価と考える。
(アナリスト修行僧)
<スローガン>
仲間と共に理想社会への投資をはじめよう!
−投資活動によって理想社会を実現する−
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)
本日、新執筆者が登場です。新鋭の若手、「アナリスト修行僧」氏です。本人によると、「IT業界について勉強中、愛読書は少年ジャンプ」とのことです。ではご堪能下さい。
◆コラム「アプリックス(3727)について」
アプリックス(3727)についての私の見解を述べたい。
一言で表現するなら、「JBlend」に対する市場の評価は過大、ただしミドルウェアフレームワークの立ち上がりを見極めての投資は妙味あり、である。
以下にその理由を述べたい。
■「JBlend」に対する市場の評価は過大である、と考える理由について■
アプリクスはJavaアプリケーションを動作させるためのソフト「JBlend」を展開する。同ソフトの携帯端末向けのシェアは高く、会社資料によればJava搭載端末の20%、携帯電話全体の10%に搭載されている。
顧客は携帯端末メーカで、売り方は前払いロイヤリティと、後払いロイヤリティ(「JBlend」を搭載した端末が売れた台数に応じてアプリックスに収入が入る方式)の2種類あるが、単純化するため後払いロイヤリティのみで販売していることとして以下の話を進めたい。全て後払いであるとして推定した「JBlend」の単価は(同社は明らかにしていないものの)45円程度と考えられる。
グローバル市場におけるJava搭載端末はおよそ50%。「JBlend」を評価し、有望とする見解は以下の2つのまだ同社が占めていない市場を評価してのことだろう。1)Java搭載端末のうち同社が取っていない部分(携帯全体の30%ほど)と、2)これからJavaが搭載される部分(携帯全体の50%ほど)である。
これらの市場を制し、同社の業績も順調に拡大する、との見解には危険な部分がある。
その理由は、上述した「JBlend」の平均単価45円は二つの価格帯を合成した結果であるからだ。「JBlend」はさまざまな価格帯があり(プロファイルやエクステンションと呼ばれる部分が違う)、当然であるが高機能なものほど単価が高い。ワンセグなどに対応しているものは国内中心である。そのため国内での平均単価を70〜80円ほど、海外での平均単価を15〜20円ほどと私は考えている。
上記の2つの市場を同社が取れることは間違いない。実質上標準化されつつある「JBlend」にはそれくらいの魅力がある。競合は端末メーカの内製であるが、Javaに特化して多くのメーカと取引のある同社とはコスト面から勝負にはならない。
しかしその2つの市場を取る意味はどこまであるのだろうか?
海外での平均単価を15〜20円と考えているとの話を述べた。しかしまだ取っていない市場の平均単価はさらに低い。おそらく3〜5円といった世界である。
長期的には、現在高価格で販売しているものが拡大することもほぼ間違いないだろう。しかしそのころには単価の下落も無視できない。
このような要因から、「JBlend」の将来性に期待し、高いバリュエーションを許容するのは危険極まりない。
それではなぜ投資妙味があると考えるのか?
それはミドルウェアフレームワークに高い可能性があるからだ。
同社は現在、LINUX及びBREW双方のソフトウェア実行環境に対応する、ミドルウェアフレームワークを開発中である。ミドルウェアフレームワークはプラットホームの共通化を促し、携帯電話端末の開発コストを削減させる効果がある。
携帯電話は少量多品種化の流れが進んでおり、開発コストの回収が難しくなっている。
また3Gの時代に入り携帯の開発コストは平均で100億円程度と、2Gの時代は50億円程度だったのに対し高騰している。
ミドルウェアフレームワークの重要性は非常に高い。
「JBlend]の平均単価を45円程度と試算しているという見解を述べた。
ミドルウェアフレームワークの単価は500円程度になると試算している。携帯電話製造の主要コストであるシステム構築とテストの部分(販売台数によって異なるため一概には言えないが、100万台程度の販売台数の場合40%がシステム構築及びテストといわれている)を節約するためこのくらいの単価でも採用メーカには十分メリットがある。
ミドルウェアフレームワークの潜在的な市場規模は「JBlend」の10倍以上になると判断でき、同社の潜在成長力は大きく上昇すると考えられる。
ミドルウェアフレームワークの出荷は、今年上期から始まる。
ミドルウェアフレームワークの動向を見極め、同社への投資を検討したい。
◆おわりに◆
「JBlend]について悪く?書きすぎたが、現在同製品による成長は継続している。世界4位の携帯メーカ、韓国のLGへの納入も決まった。本格的な立ち上がりには2年ほどかかる見込だが、05年の販売実績5,400万台(Java搭載端末は半数程度か?)の同社へ納入するインパクトは小さくないだろう。
そろそろ決算発表だが06/12期の業績は計画未達確実な状況である。最近の株価の下落の一因になっている。
バリュエーションにも少しだけ:同社の収益は、のれんの償却や費用の資産化の有無に大きく影響を受けている。営業CFの過去水準と比較すると、過去最高だった2003/12期の10.4億円を、2006/12期は第3四半期終了時点で20.2億円と大きく上回っている。収益力は確実に高まっており、のれんの償却の消える2007/12期には黒字転換が予想される。
私の予想する09年12月期のEPSは5,500円。
これにPER18倍を乗じた99,000円を目標株価と考える。
(アナリスト修行僧)
<スローガン>
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−投資活動によって理想社会を実現する−
(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)