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為替市場動向〜日米の金融緩和期待、追加は?〜

 日本では平成24年度入りの今週。遅咲きの桜が春の嵐による試練に負けずに花開きだしました。寒から暖への変化の春は激しい天気模様になりやすいので気をつけたいものです。

 金融市場を見る上で重要なチェックポイントである米国の金融政策の捉え方がこのところ難しくなっている印象があります。
 昨日4月3日米連邦準備制度理事会(FRB)は3月13日に開催された連邦公開市場委員会FOMCの議事録を公表しました。3月13日の理事会後の発表では、現状の政策据置き(超低金利は時間軸で継続見込み)の一方で景気判断が多少上方修正された経緯があります。そして、昨日発表されたその議事録では、景気拡大の鈍化やインフレ率目標の低下(2%未満)がない限り、追加の金融緩和はない、ゼロ金利政策の時間軸での維持も景気次第では修正の可能性あり、とした部分が目につきました。状況次第では追加刺激策の必要性も指摘した部分は少数派でした。理事会後の反応もそうでしたが、昨日の市場も追加緩和の必要はないという方の捉え方で理解。為替市場はドル買いで、株式市場、債券市場は売りで反応しました。
 ただ思い出してみると、つい先日の3月26日、FRBバーナンキ議長は講演の中で「米景気はまだまだ楽観的にはなれず、金融緩和政策の継続は必要」との発言をして、市場では一気に追加金融緩和QE3期待が再び浮上。株式、債券買い、ドル売りで反応しました。そのバーナンキ発言と議事録中から伺える議論の温度が異なるように感じられます。
 推測されるのは、やはり今年が選挙の年であり、バーナンキ議長は現政権に対して忠実に職務を果たしているということではないでしょうか。前回のFOMC後あたりから、米10年債利回りは急上昇し、それまでのボックス相場2%前後から一気に抵抗線である2.40%を試しにいき、株式相場も反落しました。26日のバーナンキ発言は、相場に柔軟に対応した口先効果を狙った調整策だったのでしょう。経済の大きな落ち込み後の金融緩和の早期修正は大きなリスクであることを熟知した議長の判断かもしれません。

 米経済のリカバリーは最近ではコンセンサスとして捉えられていますが、キーポイントである雇用と住宅に関する米経済指標については楽観的になれないものも多く、今後も米金融政策の追加緩和期待と政策修正への憶測が出たり入ったりして動いていのではないかと思っています。選挙の年と言う事は忘れてならない大きな要因です。

 さて、米国金融政策への捉え方がコロコロ変わる中、ドル・円相場は3月14日の83円73銭を頭にその後は3月期末のリパトリーでの円買い要因もあり、一時82円割れもありましたが、昨日のFOMC議事録公表後には82円後半まで戻してきました。
 そもそも、いわゆる円高修正のきっかけになったのは2月14日の日銀によるデフレ脱却をめざした金融緩和継続と増額政策発表でしたが、昨日発表された3月の日本のマネタリーベース(通貨供給量)が前年同月比0.2%の減速したことで、このままで行くと緩和効果も市場へのメッセージ効果も薄れてしまい円高回帰になりかねないことを懸念する声も聞かれます。先日発表された日銀短観も予想よりも改善されていなかったことから、日銀への緩和期待が高まり、それと共に円相場も動意が増すものと考えます。

 為替相場における主要通貨の3月1日から本日4月3日までの動きは軒並み米ドル高。最も下落率が高かったのはブラジル・レアルの6.05%。その次が豪ドルの4.96%、そして4.06%下落の南アフリカランドといわゆる資源国通貨と区分されるリスクオン時に買われる通貨の下落が目立ちます。対円でも同様に上記の3通貨は下落率トップ3です。
 中でも日本の個人投資家にも人気の高い豪ドルの下落の背景は利下げ期待。昨日、豪準備銀行は金利の据置きを決定しましたが、今後の金利政策についてのコメントでは、成長率が予想を下回りインフレが予想よりも鈍化する場合には金融政策の変更(利下げ)を検討する意図を示唆しました。このオーストラリア経済の成長率の鈍化に最も大きな影響を与えているのが中国経済の減速懸念です。また、中国経済の減速は日本経済の大きな懸念材料でもあり、日本の金融政策への影響も大きいでしょう。
 豪ドル相場は対米ドルで100日、200日の移動平均である1.03後半を割り込み、対ユーロでも下落が続いており、通貨相場で見る限り市場はリスク・オフの状態です。相場底入れの兆しは未だ見えていません。

 今後の予定の中で今週末の6日の米国の3月の雇用統計発表が最も注目されます。予想では失業率8.3%(前月から横ばい)で非農業部門雇用者数は20万人強の増加予想です。米経済の堅調さを予想する声が多いのですが、今週末は欧米でのイースター4連休が控えており市場は薄くなります。ポジション管理には注意が必要です。

 最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。4月が良いツキでありますように。

*本号の情報は4月3日のニューヨーク時間の終値レベルをベースにしています。

式町 みどり拝

(情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。)

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